たまには専門の分野のことを書いてみようと思います。
その前に、「病児保育」という言葉はご存知でしょうか?
おそらくあまり聞きなれないという方も多いと思います。
病児保育については
ここを参照してください。
病児保育についての定義は、おそらくこの「新 病児保育マニュアル」から引用することがベストだと思います。
以下は、私が考える病児保育(病気の急性期を過ぎ、回復期にある子どもを保育する病後児保育も含む)のあり方です。
これは、私が行った全国調査の結果を踏まえて書いているため、わかりづらい部分もあると思いますが、できる限り加筆・修正は加えずに記載しています。
資料がほしい方がいましたら、ご相談ください。
また、無断引用はご遠慮ください。
念のため。あくまでも、念のためですよ・・・
子どもが病気の時は誰が観るべきであろうか。子どもの視点に立つのならば、それは親がついて看てあげるのが最善なのかもしれない。しかし、保護者の視点に立てば、どうしても仕事を休めない時には、誰かに看て欲しいと思うニーズがある。大阪府医師会の調査では、病児保育の制度について、「病気の時は親が看護すべきだが、現実には必要な制度である」という回答が全体の回答数の76.5%を占め、「女性の子育てと就業の両立に必要な制度」が56.5%の回答で次いで、「病児休暇を取れることが必要」が40.6%で3位となっていた。(%は複数回答のため)今回の調査では、同じ質問項目は設けていないが、「病気の時は親が看るべきという意見をどう思うか」という設問の中で、親が看るべきという回答の中で、どうしても休めない時があることや、病児・病後児保育の制度を知って、それらが利用できるなら利用したいという意見が見られた。つまり、現実的な視点に立つならば、病児・病後児保育は必要な制度なのである。
しかしながら、子供が病気の時には親が看たいという気持ちがあるのは当然のことである。子どもが病気の時、不安な気持ちを和らげられるのは、親という存在である。このことは、アンケート結果からも読み取れる。現在、仕事を休んで親が子どもを看ることは、困難であるが、実現するにはどうしたらいいだろうか。それには、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の一部を改正する法律」が挙げられる。これは、平成13年11月9日に成立、平成13年11月16日に公布され、改正法が平成14年4月1日から施行されている。内容としては以下の通りである。
①育児休業や介護休業の申出や取得を理由とする解雇その他不利益な取扱いは禁止される。
②小学校就学前の子の養育又は要介護状態にある対象家族の介護を行う労働者は、1か月当たり24時間、1年当たり150時間を超える時間外労働の免除を請求できる。
③事業主は、小学校就学前の子の看護のための休暇制度を導入するよう努めなければならない。
④事業主は、労働者を転勤させようとする場合には、その育児又は介護の状況に配慮しなければならない。
⑤国は、労働者の仕事と家庭の両立についての意識啓発等を行う。
この中で、③に注目したい。小学校就学前という制限はあるものの、休暇制度の導入を勧めている。しかし、アンケートの回答にもあったように、休暇を取れる「権利」ではなく、休暇を取ることを認めなければならない「義務」としてなければ、安心して仕事を休み、病気の子どもを看ることはできない。
また、「フレックスタイム制」というものにも着目してみよう。フレックスタイム制とは、1か月以内の一定期間における総労働時間をあらかじめ定めておき、労働者はその枠内で各日の始業及び終業の時刻を自主的に決定し働く制度で、労働者がその生活と業務の調和を図りながら、効率的に働くことができ、労働時間を短縮しようとするものである。フレックスタイム制は、1日の労働時間帯を、必ず勤務すべき時間帯(コアタイム)と、その時間帯の中であればいつ出社または退社してもよい時間帯(フレキシブルタイム)とに分け、出社、退社の時刻を労働者の決定に委ねるものである。なお、コアタイムは必ず設けなければならないものではないので、全部をフレキシブルタイムとすることもできる。両親が共にフレックスタイム制の導入された職場で働くなら、交代で病児・病後児を看る事も可能である。
こういった育児休暇や、休暇をとらなくても子どもを看れる制度を勧めていくならば、子どもが病気の時、親が看てあげられる社会の形成ができるかもしれない。だが、それでも仕事を休めない状況は無いと言えるだろうか。パートタイマー労働者などは、この制度が活用できるだろうか。また、病気が長期化した時や、急性期を過ぎ、完治に向かっているが保育園などにまだ通わせることが出来ないときなど、仕事を長くは休んでいられないだろう。そういった時に利用できるサービスが必要ではないだろうか。それが、乳幼児健康支援一時預かり事業に他ならない。そして、乳幼児健康支援一時預かり事業だけでは、すべて補えるわけではなく、補充する形でファミリー・サポート・センター事業が病児・病後児保育を展開することが理想である。乳幼児健康支援一時預かり事業、ファミリー・サポート・センター事業、共に解決しなければならない課題もあるが、それらを解決し、今後の事業の発展を望む。