うんどうエッセイ「猫なべの定点観測」

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「さむらいジャパン」準決勝進出ならず

2009年05月13日 | 団体球技(屋外)
◆第8回男子ホッケー・アジア杯(@マレーシア・クアンタン)

・予選リーグA組最終戦(2009年5月12日)
日本 1(0-2)4 マレーシア

・予選リーグ順位
A組:1位・韓国(勝ち点7)、2位・マレーシア(勝ち点7)、3位・日本(勝ち点3)、4位・バングラデシュ(勝ち点0)
B組:1位・パキスタン(勝ち点4)、2位・中国(勝ち点2)、3位・インド(勝ち点1)
※各組2位までが準決勝に進出

・準決勝   韓国vs中国  パキスタンvsマレーシア
・5位決定戦 日本vsインド


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この記事の見出しを見られた方は?と思われた方は多いでしょう。こちらの「さむらいジャパン」は野球のWBCではなく、男子ホッケーの日本代表チームの愛称です。あまり知らない方は多いと思われますが、実は「さむらいジャパン」の愛称は、男子ホッケーの方が元祖であり本家です。なお、野球の愛称は「侍ジャパン」です。昨年4月に、岐阜県各務原市で開催された、男子ホッケー・北京五輪世界最終予選に臨む日本代表チームを盛り上げようと、愛称を一般から公募しました(ちなみに、女子代表の愛称である「さくらジャパン」は一昨年の秋に、一般から公募で制定されました)。その結果、「さむらいジャパン」が選ばれ、商標登録もされました。要するに、野球界は、恥も外聞も無く、堂々とパクっているのです(怒)。たぶん、野球の関係者は、男子ホッケーの代表に愛称があったこと自体、知らなかったと思われますが・・・

男子ホッケーは、1968年メキシコ五輪を最後に、五輪本大会の出場が途絶えてます。ただ、本来なら4年後のミュンヘン五輪にも出場していたはずでした。「はずでした」という表現には、悲しい理由があります。日本は、1970年12月のバンコクアジア大会の3位決定戦でマレーシアを1-0で倒し、この大会の3位以内までに与えられる五輪出場権を自力で獲得しました。しかし、1972年1月に、翌月に札幌五輪の開催の準備に忙殺された日本体育協会と日本オリンピック委員会が、男子ホッケーの五輪出場の派遣手続きを怠る、信じられない大チョンボを犯しました。その結果、せっかく苦労して獲得した出場権をフイにする羽目になる悲劇が発生しました。更に不幸な事に、ミュンヘン五輪の手続きミス以降は、男子は全て予選で敗退し、五輪出場権を獲得できたことはありません(女子はアテネと北京の両大会に出場し、アテネでは8位入賞)。

この結果、日本の大チョンボでお鉢が回ってきたのが、バンコクアジア大会で日本に敗れたマレーシアです。これ以降、日本はマレーシアを苦手にします。詳しい両国の通算対戦成績は存知ませんが、アジア大会だと、1974年テヘラン大会から1990年北京大会まで、5大会連続で日本はマレーシアに順位で下回ってます。また五輪予選でも、9年前の2000年3月に大阪で行われたシドニー五輪世界最終予選で、両国は直接五輪出場を賭けて対戦。日本は前半に先制点を奪うも、試合終了間際にマレーシアに決勝点を許して1-2で逆転負けを喰らってしまい、目の前でシドニー行きの切符を奪われた、苦すぎる思い出があります。

近年でも、この両国の対戦には因縁があります。2006年12月のドーハアジア大会の予選リーグでは日本はマレーシアと引き分けに持ち込み、日本とパキスタンとマレーシアの3チームが勝ち点で並びましたが、得失点差でパキスタンと日本が準決勝進出を果たしました。しかし、この予選の最終戦では日本とパキスタンが対戦したので、両国はまるで申し合わせたような“談合試合”のような消極的な展開になり、予定通りスコアレスドローに終わったので、マレーシアはとばっちりを食らいました。

このアジア大会では、2位以内に入れば北京五輪の出場権を獲得できましたが、日本は準決勝で韓国に0-2で敗れて一旦は五輪出場権は遠のきました。しかし、北京五輪開催国の中国がもう一つの準決勝でパキスタンに2-1で勝利したので、再び日本に五輪出場のチャンスが巡って来ました。しかし、この3位決定戦では、地力で上回るパキスタンに2-4で逆転負けを喰らい、結局この大会での五輪出場権獲得はなりませんでした(なお、優勝は韓国)。一昨年2007年8月にインドで開催されたアジア杯では、予選リーグで日本はパキスタンに3-1で勝利し、史上初めて同国から白星を挙げるも、マレーシアとは予選リーグで0-2、3位決定戦では3-5でそれぞれ敗れてしまい、仕返しされました(なお優勝はインド)。

そして、昨年2008年4月に岐阜で開催された北京五輪世界最終予選の予選リーグでも、日本はマレーシアと対戦。この時は、日本がマレーシアに前半2-3とリードを許し、一進一退の状態で中々同点に追いつけないまま、刻々と時計が進みました。しかし、試合終了間際の69分に、日本はPCを獲得。PCは崩れましたが、小澤和幸がゴール前に流したボールをマレーシアGKがクリアし、そのリバウンドを片山兼一が押し込んで、日本は執念で3-3の同点に追いつきました。しかし、この片山の得点を巡って、マレーシアが審判に激しく抗議。だが、抗議は認められず、試合はそのまま3-3で試合は終了し、日本が辛うじて五輪出場を直接賭けた決勝戦に駒を進めました。ただ、この時の決勝戦の相手が、不幸にも当時の世界ランキング1位だったドイツだったので0-4で完敗(なぜか、欧州予選でベルギーにまさかの敗退!!)。メキシコ五輪以来40年ぶりの五輪出場は果たせませんでした(ちなみにドイツは北京五輪では優勝)。

近年のアジアの男子ホッケーは、韓国とパキスタンとインドの3強に、日本とマレーシアと北京五輪開催国(本大会では11位)の中国が追いかける展開です。ただ、かつては世界の強国だったインドとパキスタンは、1970年代にフィールドが天然芝から人工芝に変更して以降は弱体化してます。インドは昨年の北京五輪には世界最終予選で敗退し、ついに五輪出場権を初めて逃しました。また、今回のアジア杯でも、インドは中国に前半に2点のリードを奪うも、終盤に追いつかれて2-2の引き分けてしまい、予選リーグは3位に終わったので、日本との5位決定戦に回りました。中国は、女子に比べて男子はそれほど実績はなかったが、近年の中国男子の躍進には目を見張るばかりなので、要警戒です。

日本は、昨年の北京五輪世界最終予選以来の代表チームの活動でした。また、監督も交代した事もあり、チームとしての成熟度は他のチームと比較して遅れていたと思います。現在の男子のアジアは混沌としており、ちょっとした事で結果に差が出るので、ある意味妥当な成績なのかもしれません。ただ、現在の日本は、五輪出場の圏内に位置するチームだと思うので、しっかりとロンドンに向けて強化に勤しんでもらいたいです。来年には、W杯予選&本大会、アジア大会(兼・ロンドン五輪アジア予選)があるので、今年は多くの若手選手を起用して、チームの骨格を作って生きたいところです。今回は不本意な成績でしたが、インドは強敵なので、来るべき戦いの為にも勝利を追及してもらいたいです。

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