うんどうエッセイ「猫なべの定点観測」

おもに運動に関して、気ままに話したいと思います。
のんびり更新しますので、どうぞ気長にお付き合い下さい。

世界どころかアジアでも番外地と化した男子バスケットボール日本代表

2011年09月27日 | 団体球技(室内)
◆第26回男子バスケットボールアジア選手権(2011年9月15~25日 @中国・武漢)

・今大会の日本の成績
1次リーグC組                     2次リーグF組  ※1次リーグの成績を持ち越し
9月15日 vsインドネシア ○81-59        9月19日 vsUAE ○101-61
9月16日 vsヨルダン ○92-87           9月20日 vsフィリピン ●76-83
9月17日 vsシリア ○77-55           9月21日 vs中国 ●58-84
〔日本は3勝で首位通過〕             〔日本は3勝2敗で3位通過〕

準々決勝
9月23日 vs韓国 ●67-86

5-8位決定予備戦
9月24日 vsレバノン ●78-80

7位決定戦
9月25日 vs台湾 ○81-72

・最終順位
優勝・中国、2位・ヨルダン、3位・韓国、4位・フィリピン、5位・イラン、6位・レバノン、7位・日本、8位・台湾、9位・シリア、10位・UAE、11位・マレーシア、12位・ウズベキスタン、13位・インドネシア、14位・インド、15位・バーレーン、16位・カタール

※3大会ぶり15度目の優勝を飾った中国はロンドン五輪の出場権を獲得。
  7位に終わった日本は1976年モントリオール五輪以来となる本大会の出場権獲得に失敗。
  2位ヨルダンと3位韓国は、来年7月2~8日までに行われる世界最終予選(会場は未定)に回ります。

日本バスケットボール協会の今大会の関連ページ
今大会の日本代表12名
今大会の詳細の記録
今大会の予選を兼ねた6月の東アジア選手権の詳細の記録


〔写真は大会公式サイトより〕


                          *  *  *  *  * 


男子バスケとラグビーは一体どちらが酷いのでしょうか?

2年に1度、奇数年に開催されている男子バスケットボールのナショナルチームのアジア王者を決めるこの大会。五輪前年の大会は五輪アジア予選を兼ねております(なお、五輪翌年の大会は世界選手権のアジア予選を兼ねてます)。今大会は、9月15~25日まで中国の武漢で開催。優勝国のみにロンドン五輪の本大会の出場権が与えられ、2~3位の国が来年7月2~8日までに行われる世界最終予選(会場は未定)に回ります。なお、世界最終予選は12チームが参加し、上位3ヶ国が五輪出場権を獲得するレギュレーションです。

女子と同じ「隼ジャパン」の愛称を持つ男子日本代表は、1976年モントリオール五輪以来36年ぶりに本大会の出場を目指して今大会に臨みました。だが、結果はご存知の通りに日本は7位に終わり、9大会連続で五輪出場権獲得に失敗。同時に、男子バスケは日本の団体球技の中でロンドン五輪予選敗退第1号となりました。たしかに残念な結果だとはいえ、日本は今大会の出場国の中では世界ランキングが6番目の34位に過ぎません。下馬評では、世界最終予選に進出できる3位に入ることですら困難との見方が大勢でした。なにせ、過去6大会のアジア選手権の日本の成績は、1999年が5位、2001年が6位、2003年が6位、2005年が5位、自国開催だった2007年が8位、2009年は過去最低の10位と準決勝にすら1度も進んでません。今の日本の実力はアジアでも中堅国以下なので、今大会は当然の順位です。予想通りの結末だったのでショックは全く無いけど、あらためて失望感は覚えますね。

日本協会の今大会の戦評を読む限りでは、相変わらずな結果と内容ですね。日本は1次リーグでは3戦全勝と予想外に好発進を切ります。2次リーグは大勝した初戦のUAE戦までは良かったのですが、次戦のフィリピン戦で落とし穴に嵌ります。第1ピリオドで5点リードを奪うが、なぜか第2ピリオドからフリースローが入らなくなり、逆に反撃されて逆転を許します。以降は、点差を縮めるどころか、逆に広げられ、結局76-83で痛恨の逆転負け。日本はこの敗北で一気にガタガタになり、なんと4連敗を喫します。もし、このフィリピン戦を勝利していれば、日本は準々決勝では大の苦手の韓国との対戦を回避出来て、比較的に同等の台湾との対戦となり、2位入賞した1997年大会以来14年ぶりの準決勝進出も夢ではなかったです。日本は結果的に韓国に敗れて引導を渡されましたが、やはり勝負所だったフィリピン戦を落としたのが最大の敗因です。しかも、2年前の前回大会もフィリピンに逆転負けしたことが命取りとなってます。今回も同じ轍を踏んだので、言い逃れは出来ないです。

前回大会の時にも感じましたが、今の日本は格下には大勝できるが、格上が相手だと赤子の手を捻られるように弄ばれ、拮抗した相手には終盤の勝負所の潮目を読めずに競り負けます。たしかに、アジア勢は帰化選手を擁する国が多いので、体格と身体能力に差があります。しかし、日本は日頃の取り組み方が甘いから、体力が全く備わってなく、肝心な勝負所でもあっさりと負けるのです。やはり、企業アマの限界を痛感させられますね。なにせ、今回日本が敗れた国は全てプロリーグがある国です。一方、日本は国内リーグが未だに分裂状態。「bjリーグ」はたしかにプロリーグだとはいえ、サラリーキャップ制度なのでその待遇は決してよくなく、企業チーム主体の「日本バスケットボールリーグ」(JBL)の方が生涯賃金はもちろんのこと、福利厚生面を含めると遥かに優遇されてます。両リーグの待遇格差が統合を阻み、プロとアマが実力で逆転するおかしな現象が起きてます。バスケは国内の球技ではサッカーに次いで競技人口が多い競技だけに、協会の無策によって有為な人材をスポイルさせているのかがよく分かります。ハッキリ言って、今のままだと競技そのものの存在意義すら問われます。

それにしても、今大会は五輪予選を兼ねていたのに、世間では全くと言ってよいほど話題にすらされてない方が、本当に問題ですね。過去2大会はBSフジで中継してましたが、如何せん前回大会が結果だけでなく内容があまりにも無残だったので、さすがに今大会は地上波はもちろんのこと、BSでも中継は一切無しでした(なお、CSでは中継がありました)。それどころか、今大会の新聞の記事は殆どが共同通信社からの配信記事でした。つまり、主要新聞社は1社も今大会には特派員を派遣してないということです。しかも、その記事のスペースが、有名人の死亡記事よりも遥かに小さかったです(爆)。メディア各社は営利を追求した企業なので慈善事業ではありませんし、NHKだって需要が無いものを公共の電波に乗せることは到底無理な話です。メディアからも完全に見放された今の日本男子バスケは、世間から期待は全くされてないどころか、関心すら全く持たれてないことがよく分かります。まさに「負のスパイラル」に陥ってます。

奇しくも、今大会と同時期にNZで行われたW杯に挑んで未勝利で予選プール最下位に沈んだラグビー日本代表も、男子バスケと同じく世界で全く通用しない日本の球技の代表格です。アジアのラグビーは世界最弱地域なので、真剣に強化している国はあまり無く、アジアでは無双状態の日本は世界最高峰の大会には実質的にフリーパスで参加できます。だが、日本は本大会では決勝トーナメント進出は皆無ですし、勝利からは20年間も遠ざかってます。日本はW杯には全7大会に皆勤出場ですが、通算成績が24戦1勝21敗2分と無残な戦績です。おそらく、1991年の第2回大会のようにアジアとオセアニアが合同で予選を実施したら、間違いなく日本は大苦戦を強いられます。早い話が、W杯にお情けで出場させてもらっている今の日本は、対戦相手に無抵抗で白星を献上する“咬ませ犬”のような存在です。

一方、アジアの男子バスケも世界最弱地域ですが、アジアではわりと盛んな競技なので参加国がとても多く、サッカーと同じく各国の序列がピラミッド型のように階層化されてます。ただ、アジアでは中堅国以下の日本は、最強の中国はもちろんのこと、韓国や近年躍進著しい中東勢の後塵を拝し、自力では世界の舞台に立つことすら出来ません。それどころか、国際競技力が下落する一方の日本男子バスケは、下手をすると出場枠次第では予選を兼ねた東アジア選手権でライバルに敗れて規定の順位に入れずに、アジア選手権にすら出られない最悪の事態もありえます。男子バスケとラグビーとではアジアにおける状況が全く異なりますが、プロ化に行き詰っていることや、世界における立ち位置、そして無謀に等しい世界大会の自国への誘致など、ある意味似た者兄弟です。

ちなみに、ラグビーは今回のW杯では外国出身選手を10人も揃えましたが、男子バスケは珍しく帰化選手が皆無でした。帰化選手や外国出身選手の起用には賛否両論はありますが、結局のところ、両者とも日本人選手のレベルがあまりにも低すぎることが、成績不振の根本的な原因です。今のままだと日本代表選手を全員外国出身者でなければ国際水準には達することが出来ず、純粋な日本人選手だけでは本当の真剣勝負では全く太刀打ちできないです。両者とも現状を変えない限り、永遠に進歩はありえないですし、衰退の一途を辿るだけです。今回の男子バスケのアジア選手権とラグビーW杯に挑んだ2つの日本代表チームには、暗澹たる気分にさせられると同時に、色々と考えさせられました。


・関連記事
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決して勝てない相手ではなかった。だけど勝てそうも無い試合だった



☆準々決勝の日本vs韓国のダイジェスト



☆2次リーグの日本vsフィリピンのダイジェスト

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2 コメント

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共通項はプロ化拒否 (こーじ)
2011-10-01 00:13:20
 男子バスケットでもラグビーでもプロ化を嫌がってますからね。
 
 バスケットはbjリーグがありますけど、あくまで主軸はアマチュアのJBLですし2つの団体が
対立しているのですから救いようがないです。

 プロ化した韓国では国内のビッグゲームがスポーツ新聞の1面を飾るぐらいメジャーなのに
中国という厚い壁に阻まれてますから、アマチュアに過ぎない日本が勝てるわけがないですよ。

 とりあえずラグビーは外国人選手を使えたりしますので、アジア・オセアニアからの代表となっても何とかなりそうな気がします。

 とはいえラグビーの方が いくらか希望があるというレベルですけどね。

 それでもラグビーは協会内が分裂してないだけでもマシかもしれませんし、バスケは暗愚の
沼に沈みきってしまってますね。

 サッカーがプロ化してから急成長したように
これからの競技はプロ化が避けられないでしょう。

 
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コメントありがとうございます (猫なべ)
2011-10-01 17:02:08
こんばんは、こーじさん

個人的には、男子バスケとラグビー、そして男子マラソンを加えたのが「日本3大引き篭もりスポーツ」だと思ってます(笑)。
3つとも協会の幹部は無能で世界の潮流に疎いけど、昔からしょっちゅう協会の幹部同士が現場を無視して内部抗争をしているバスケがやはり東の横綱でしょうか。

ただ、ラグビーは8年後のW杯では、13億円の赤字を出した2006年世界バスケよりも上回るのが確実視されてます。
バスケは共同事業体だった博報堂と折半して何とか返しましたが、ラグビーは赤字をtotoで穴埋めすることを検討しているそうです。
ラグビー協会の幹部連中は選民意識が高いくせして、己の失敗を人に尻拭いをさせる親方日の丸の体質だから、無責任さにおいてはバスケよりも遥かにクズだと思います。

ダメ御三家に共通しているのが、日の丸を背負って世界を渡り歩いて腕を試すことよりも、自社企業の看板を背負って“企業対抗運動会”に執心していることです。
しかも、これらの競技は国内でチマチマやっても食いはぐれないから、選手自身も安定した身分を捨ててリスを覚悟でプロになる気はさらさら無いでしょうね。
危機感が皆無のこいつ等には、なでしこジャパンの選手の爪の垢をダイレクトで飲ませるべきです。

このダメ御三家は現状を変えない限りは国際競争力がどんどん下落する一方なので、某女子プロゴルファーの発言じゃないけど、まさに「先が無いスポーツ」なのかもしれませんね。
暴論ですけど、体格や運動能力が優れた子供たちには違うスポーツを勧めたくなります。
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