うんどうエッセイ「猫なべの定点観測」

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U-17日本代表、3戦全敗で1次リーグ敗退

2009年10月31日 | サッカー(年代別)
◆サッカー・第13回FIFA U-17ワールドカップ ナイジェリア大会(2009年10月30日 @ナイジェリア・ラゴス)

・1次リーグB組 (第3節)
メキシコ 2(0-0)0 日本
得点者:メキシコ)65分 カルロス・カンポス、79分 カルロス・ペラ

※3戦全敗となった日本は1次リーグを最下位で敗退


国際サッカー連盟の今大会の関連ページ
日本サッカー協会の今大会の関連ページ
今大会のU-17日本代表21名(日本サッカー協会HPより)
出場24チームの最終登録メンバー(各国21名)


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今回のU-17日本代表は、近年稀に見る有望選手を多数揃えて期待が大きかっただけに、正直言って落胆が大きいです。しかも、3戦全敗ですから。日本はU-17W杯には過去4度出場してますが、勝ち点0に終わったのは今回が初めてです。過去の大会では、いずれもこの大会で優勝経験のあるガーナ(1991年イタリア大会と1995年エクアドル大会の2度)とナイジェリア(1985年中国大会と1993年日本大会と2007年韓国大会の3度)のブラックアフリカ勢と同組になり、圧倒的な身体能力でズタズタにやられました。しかし、今回はアフリカ勢との同組は避けられ、過去に親善試合で対戦経験のあるブラジルとメキシコとの対戦だっただけに、少しは期待を持てました。それだけに、今回の結果はかなり堪えました。

とはいえ、日本は1次リーグの全3試合とも、内容的には対戦国に全く見劣りした訳ではありません。むしろ、相手を圧倒的に押し込む時間帯があって、大健闘していた場面も多々ありました。攻撃面でも、パスワークやスピードや技術面などで十分に通用していました。ただ、それでも試合には全て負けました。やはり、U-15~17ぐらいの世代は日本がとても苦手にしている分野だけに、世界水準における日本のこの世代の課題が浮き彫りになりました。同時に、日本の育成システムの限界も感じました。

まず、守備が弱すぎでした。たしかにこの世代のGKは試合経験が不足しているので、完璧な選手なんか世界中探してもおりませんが、2戦目のスイス戦のミスの連発にはさすがに目を覆いたくなりました。あと、守備陣の上背も低すぎですね。サッカーは身長が必ずしも絶対ではないとはいえ、CBの選手が170cm台ではさすがに体格やフィジカル面で世界を相手に勝負になりません(あと体幹の違いもあります)。そして、試合の潮目が読めなかったのも痛恨でした。初戦のブラジル戦と2戦目のスイス戦では点を取れる時に取れず、逆にスイス戦では1本のロングパスで崩されて失点を喰らってからは相手の戦術の変化に全く対応出来ず仕舞い。後半優勢に進めていたメキシコ戦でも、宇佐美が再三決定機を外しまくったあげく、堪え所を踏ん張りきれずに失点。どの場面でも、失点を喫してからの日本の選手は明らかに心身ともに動揺をしていたので、非常に淡白さを感じました。

やはり、勝負所を見極められなかったのは、この世代の選手が試合経験が少ない事が最大の原因でしょう。本来であれば、南米のように1歳刻みでユースチームがあるのが理想ですが、現状の日本の中学&高校の部活動やユースチームでは基本的に3歳刻みのチームです。なので、高校1年生の選手だと、どうしても体格や体力で劣る事もあり、試合に起用される事が少ないです。それに、日本の中学&高校年代の大会はトーナメントが主体なので、選手の育成よりも目先の勝利を追及する傾向があり、創造性が欠如しがちです。二重登録の禁止も試合経験の機会を奪ってます。そして、中学3年の受験によるブランクも育成や体調管理の上でも影響が大きいです。受験制度ばかりは、さすがにどうしようもないです。ただ、協会はこの年代の試合経験を増やす努力を真剣にやらないと、欧州のクラブとプロ契約を交わした選手を多く抱える、先進国の同世代の選手との実力格差は更に広がると思います。

そして、この世代の選手を預かる代表チームの指導者にも大きな問題があると思います。守備に欠陥があったのは初戦で分かっていたのにも関わらず、それを手当てせずに放置して更に傷口を広げました。ポテンシャルの高い選手を揃えても、指揮官が無策で使いこなす術が無ければ才能は開花しません。ましてや、日本は地理上のハンディがあるので、世界大会ぐらいしか強豪国との真剣勝負の機会がありません。だからこそ、決勝トーナメントに進出して1試合でも公式戦の機会を得る為に、指揮官は勝利に拘って欲しかったです。日本の若手世代の代表監督には、毎回これといった実績の無い経験不足の人物が2年契約ぐらいの短い期間で就任します。いくら素材のよい食材を集めても、料理人の技量が劣っていれば全て台無しになります。協会は海外から育成に実績のある著名な指導者を長期契約で招聘して欲しいです。同時に、国内の指導者の育成を真剣に取り組むなど、育成システムを抜本的に見直しをしないと世界の潮流から大きく取り残されると思います。

たしかに、この世代は結果のみが全てではありません。重要なのは、この大会で世界の同世代の選手との真剣勝負を通して、何が通用して何が課題だったのかを感じ取り、成長の糧にする事です。そして、この大会で学んだ事を、必ず次の機会に活かさなければなりません。それは、選手個人だけでなく指導者や協会もです。勝負の世界は、参加するだけでは意義は全くありませんから。



☆あまりにも無念だったメキシコ戦の敗戦

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