うんどうエッセイ「猫なべの定点観測」

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さくらジャパン、3大会連続のW杯出場権を獲得

2010年04月27日 | 団体球技(屋外)
◆第12回女子ホッケーW杯 世界最終予選第2組(2010年4月17日~25日 @ロシア・カザン)

・決勝(4月25日)
日本 1(0-0)0 アゼルバイジャン

※この試合に勝利した日本が、8月29日からアルゼンチンで開催されるW杯本大会の出場権を獲得。
  日本は3大会連続6度目のW杯出場。

・予選リーグの日本の成績
4月17日 vsウェールズ ○4(0-1)1      4月22日 vsアゼルバイジャン ○2(2-0)0
4月18日 vsベラルーシ ○10(5-1)2      4月24日 vsロシア △2(0-2)2
4月20日 vsイタリア ○3(2-0)1   
〔日本は予選リーグ首位で決勝に進出〕

※予選方式は、全6チームが1回戦総当りでリーグ戦を実施。
  リーグ戦の1-2位が決勝戦に進出し、勝者がW杯本大会の出場権を獲得。

・最終順位
優勝:日本(W杯本大会出場権獲得)
2位:アゼルバイジャン
3位:ロシア
4位:ベラルーシ
5位:イタリア
6位:ウェールズ


今大会の詳細の記録
今大会の日本代表選手のリスト(pdf)
日本ホッケー協会ホームページ
日本ホッケー協会公認ブログ

〔写真は国際ホッケー連盟より〕


                           *  *  *  *  *


「さくらジャパン」こと、女子ホッケー日本代表。今年8月に開催されるW杯の出場権を賭けて、ロシアのカザンで世界最終予選を戦いました。21世紀以降、日本女子の活躍は目覚しく、五輪とW杯にそれぞれ2大会連続出場。アテネ五輪の世界最終予選では強豪のドイツと韓国とスペインなどを倒して優勝し、五輪出場権を初めて獲得。本大会でも8位入賞を果たしました。4年前の前回のW杯では史上最高の5位入賞。アジアの大会においても、ドーハアジア大会では準優勝し、ソフトボールに次いで日本選手団の全競技を通じて2番目の早さで北京五輪出場権を獲得。3年前の前回のアジア杯では初優勝を飾ってます。

しかし、期待された北京五輪では無念の10位に終わりました。さらに、日本は昨年秋にタイで開催されたアジア杯では中国と韓国に敗れて4位に終わり、大会2位以内のチームに与えられるW杯出場権を逃し、今回の世界最終予選に回る事を余儀なくされた経緯があります。なので、今回のW杯出場権を逃すと、世界の強豪国との真剣勝負を喪失する事を意味し、日本の将来に大きな不安を残します。世代交代を進めたこともありましたが、北京五輪後は成績がやや低迷気味なだけに、日本としては今回の予選は絶対に勝利することを義務付けられてました。

今回の予選のレギュレーションは、まず参加6チームが1回戦総当りのリーグ戦を実施。そして、リーグ戦の1位と2位のチームが決勝戦に進出し、優勝国のみがW杯出場権を獲得できる大変厳しいルールでした。ちなみに、参加国の世界ランキングは、アゼルバイジャンが14位、イタリアが17位、ロシアが20位、ベラルーシが24位、ウェールズが28位。そして、日本が参加6チーム中最高位となる8位です。現在の日本の実力を考慮すれば、勝ち抜きの大本命です。

予選の初戦となったウェールズ戦。日本ホッケー協会の戦評によると、日本は圧倒的に攻め込むものの詰めが甘く、逆に一瞬の隙を衝かれて失点を喰らいます。しかし、その後は運動量が落ちた相手から得点を奪い、日本が4-1で逆転勝利。危なげなく勝利を挙げたとはいえ、初戦の重圧や格下相手の勝利が当然視されたことが、どこかぎこちなさを感じる試合運びとなりました。その後は、ベラルーシ、イタリア、アゼルバイジャンに勝利。エンジンの掛かりが遅い試合もありましたが、日本はどの試合もシュート数やペナルティーコーナー(PC)の数などで相手を上回り、スコア以上に試合内容で圧倒。1試合を残して日本は決勝戦に進出を決めたこともあり、予選リーグ最終戦のロシア戦は控え選手を出す余裕も見せました。

世界への切符を賭けた決勝戦の相手はアゼルバイジャン。アゼルバイジャンは今大会で日本に次ぐランキングでしたが、順位以上に不気味な存在でした。アゼルバイジャンは五輪とW杯の本大会にはまだ出場経験はありませんが、北京五輪世界最終予選では敗退するものの、五輪本大会で7位入賞するスペインとは互角の戦いを演じてます。近年は欧州の大会においては、オランダ、ドイツ、スペイン、イングランドに次ぐ位置にまで躍進し、クラブレベルでも欧州の大会で上位進出しております。

しかも、アゼルバイジャンには集団で帰化した元韓国人を大勢含んでおり、国を挙げて強化を施しております。日本は予選で対戦した時は、アゼルバイジャンをシュート数とPC数をゼロに抑えましたが、かえって不気味でした。しかも、決勝戦は一発勝負だでしたから尚更でした。

協会の戦評を読むと、やはり決勝戦ならではの緊張感のある試合内容だったそうです。試合序盤は、両チームとも様子を探るように慎重な立ち上がり。次第に地力で勝る日本が試合を優勢に展開するものの、中々決定的なチャンスを作れずじまい。前半10分に、日本はPCのチャンスを得るが先制点には至らず。逆に、日本は18分に左から崩されてGKまでかわされて決定的なピンチを迎えるが、主将の駒澤李佳が日本ゴールを死守。後半に入ると、徐々にアゼルバイジャンの運動量は低下。日本は更に優位に試合を進めてPCを連続で取得するが、相手の体を張った必死の守備の前に得点に至らず。逆にアゼルバイジャンに連続でPCを与えるが、日本はこれを凌ぎます。

その後は、再び日本が主導権を握るものの、肝心の得点を奪えず。このまま、同点に終わって延長になるかと思われた試合終了2分前、サークル内でパスを受けたエースの千葉香織が値千金の得点。結局、これが決勝点となって、日本は3大会連続のW杯本大会出場権を獲得しました。戦評を読んでいるだけで、真剣勝負ならではのドキドキする試合展開です。この試合は是非とも映像で観たかったですね。ちなみに、今回のW杯世界最終予選の大会方式は、北京五輪と同じ形式です。ロンドン五輪でも同様だと思われますので、良い経験になったと思います(もちろん、世界最終予選には行きたくはありませんが(苦笑))。なお、千葉はこの予選の最優秀選手賞を受賞しました。

8月のアルゼンチンでのW杯は世界の強豪国が相手なので、相手を圧倒した今回の試合展開とは異なり、日本が押される展開となるでしょう。だからこそ、少ない好機を活かす為にも、PCを確実に決めたいところです。また、コンタクトスポーツなだけに、運動量を活かして早いパスワークを磨くなど、体格や身体能力の差をいかに克服するのかも課題です。そして11月には、ロンドン五輪のアジア代表の切符を賭けた広州アジア大会があります(なお、現時点では出場枠は未定)。ロンドン五輪に向けた手ごたえを掴むためにも、さらにチーム力を高めて前回の5位入賞に匹敵する好成績を期待したいです。

最後に、安田善治郎監督をはじめ選手や関係者の皆様、本当にお疲れ様でした。



▼第12回女子ホッケーW杯出場国 (世界ランキングは2009年12月15日発表分
(2010年8月30日~9月12日 @アルゼンチン/ロサリオ)

開催国:アルゼンチン(2009年パンアメリカン杯優勝、世界2位)
欧州【4】:オランダ(2009年欧州ネーションズ杯優勝、世界1位)
      ドイツ(同大会2位、世界4位)
      イングランド(同大会3位、世界7位)
      スペイン(同大会4位、世界6位)
アジア【4】:中国(2009年アジア杯優勝、世界3位)
       インド(同大会2位、世界13位)
       韓国(同大会3位、世界最終予選1組優勝、世界11位)
       日本(同大会4位、世界最終予選2組優勝、世界8位)
オセアニア【2】:ニュージーランド(2009年オセアニア杯優勝、世界9位)
          豪州(同大会2位、世界最終予選3組優勝、世界5位)      
アフリカ【1】:南アフリカ(2009年アフリカ杯優勝、世界12位)


〔追記〕
ちなみに、本日NHK衛星第1で放送される「スポーツ大陸」で主将の駒澤李佳が取り上げられます。

◆放送予定◆
5月8日(土)午後10時00分~NHK衛星第1
※5月9日(日)のNHK総合でも午前10時5分から放送されます


NHKの番組ホームページ



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