うんどうエッセイ「猫なべの定点観測」

おもに運動に関して、気ままに話したいと思います。
のんびり更新しますので、どうぞ気長にお付き合い下さい。

「サッカー日本代表 vs W杯優勝経験国」を調べてみて感じたこと

2010年10月09日 | サッカー(全般)
▼サッカー日本代表のW杯優勝経験国との全対戦成績
(通算対戦成績・32戦2勝23敗7分、27得点・81失点)

※日本サッカー協会が認定した国際Aマッチでのみ集計(日本サッカー協会のHPを参考にしました)。
 (H)はホームゲーム、(A)はアウェーゲーム、(N)は中立地での試合、PK戦は引き分けとして扱ってます。
  大会名が記入してない試合は全て親善試合です。


・ブラジル (通算対戦成績・8戦6敗2分、4得点・20失点)
1989/07/23 @リオデジャネイロ(A)       ●0-1      横山謙三
1995/06/06 @リバプール(N)          ●0-3     加茂周
1995/08/09 @東京・国立競技場(H)     ●1-5       〃
1997/08/13 @大阪・長居陸上競技場(H)  ●0-3       〃
1999/03/31 @東京・国立競技場(H)     ●0-2     フィリップ・トルシエ
2001/06/04 @茨城・カシマスタジアム(H)   △0-0       〃  
〔コンフェデレーションズ杯日韓大会・1次リーグ〕
2005/06/22 @ケルン(N)             △2-2     ジーコ
〔コンフェデレーションズ杯ドイツ大会・1次リーグ〕
2006/06/22 @ドルトムント(N)          ●1-4      〃
〔ドイツW杯・1次リーグ〕


・アルゼンチン (通算対戦成績・7戦1勝6敗、4得点・15失点)
1992/05/31 @東京・国立競技場(H)      ●0-1     ハンス・オフト
1995/01/08 @リヤド(N)             ●1-5     加茂周
〔インターコンチネンタル杯サウジアラビア大会・1次リーグ〕
1998/06/14 @トゥールーズ(N)          ●0-1     岡田武史
〔フランスW杯・1次リーグ〕
2002/11/20 @埼玉スタジアム(H)        ●0-2     ジーコ
2003/06/08 @大阪・長居陸上競技場(H)   ●1-4      〃
2004/08/18 @静岡・エコパスタジアム(H)   ●1-2      〃
2010/10/08 @埼玉スタジアム(H)       ○1-0     アルベルト・ザッケローニ


・フランス (通算対戦成績・5戦4敗1分、4得点・14失点)
1994/05/29 @東京・国立競技場(H)        ●1-4 注1) パウロ・ロベルト・ファルカン
2000/06/04 @カサブランカ(N)          △2-2 注2) フィリップ・トルシエ
2001/03/24 @サンドニ(A)              ●0-5          〃
2001/06/10 @横浜国際総合競技場(H)     ●0-1          〃
〔コンフェデレーションズ杯日韓大会・決勝〕
2003/06/20 @サンテティエンヌ(A)        ●1-2     ジーコ
〔コンフェデレーションズ杯フランス大会・1次リーグ〕
注1)この試合はフランスがまだW杯を優勝する前の時代です
注2)この試合はPK戦でフランスが勝利



・ウルグアイ (通算対戦成績・4戦1勝2敗1分、9得点・12失点)
1985/05/26 @東京・国立競技場(H)       ●1-4     森孝慈
1996/08/25 @大阪・長居陸上競技場(H)   ○5-3     加茂周  →この試合がW杯優勝経験国から初勝利
2003/03/28 @東京・国立競技場(H)       △2-2     ジーコ
2008/08/20 @札幌ドーム(H)          ●1-3     岡田武史


・イングランド (通算対戦成績・3戦2敗1分、3得点・5失点)
1995/06/03 @ロンドン(A)             ●1-2     加茂周
2004/06/01 @マンチェスター(A)        △1-1     ジーコ
2010/05/30 @グラーツ(N)            ●1-2     岡田武史


・ドイツ (通算対戦成績・2戦1敗1分、2得点・5失点)
2004/12/16 @横浜国際総合競技場(H)    ●0-3     ジーコ
2006/05/30 @レバークーゼン(A)        △2-2      〃


・イタリア (通算対戦成績・2戦1敗1分、1得点・9失点)
1936/08/07 @ベルリン(N)             ●0-8 注3)  鈴木重義  →この試合がW杯優勝経験国と初対戦
〔ベルリン五輪・準々決勝〕
2001/11/07 @埼玉スタジアム(H)        △1-1     フィリップ・トルシエ
注3)五輪の試合の取り扱いは国際サッカー連盟(FIFA)や各国協会によっても見解が分かれますが、ベルリン五輪のイタリア戦はFIFAと日本協会も国際Aマッチとして認定してますので、今回は含めました。


・スペイン (通算対戦成績・1敗、0得点・1失点)
2001/04/25 @コルドバ(A)             ●0-1 注4) フィリップ・トルシエ
注4)この試合はスペインがまだW杯を優勝する前の時代です


                           *  *  *  *  *


昨日のアルゼンチン戦の勝利は、日本がW杯優勝経験国から挙げた2つ目の白星となりました。1994年5月29日のフランス戦と2001年4月25日のスペイン戦は、まだ両国ともW杯優勝する前の時代での対戦でしたが、一応この2試合も含めてW杯優勝経験国との対戦成績を計算してみました。日本は1936年8月7日にベルリン五輪でイタリアと初めて対戦してから今回のアルゼンチン戦までW杯優勝経験国とは合計32試合を戦い、通算対戦成績は2勝23敗7分です。また、得失点の内訳は、27得点・81失点です(優勝前の成績を除くと、通算対戦成績は30戦2勝21敗7分、26得点・76失点)。この成績を健闘したと思うのか、それとも妥当と思うのか、はたまた酷いと感じるのかは、人それぞれだと思います。あと、生まれた年代によっても、捉え方は異なるでしょうね。

ちなみに、サッカーの親戚のラグビーもついでに調べてみました。ただ、ラグビーのW杯は1987年に創設されたのでまだ歴史が浅く、国際ラグビー評議会(IRB)を創設した8協会との対戦で調べました。日本は前回W杯優勝国の南アフリカとはまだ対戦経験はありませんが、ウェールズとは11戦全敗(144得点・692失点)、フランスとは8戦全敗(78得点・353失点)、アイルランドとは7戦全敗(111得点・332失点)、イングランドとは6戦全敗(78得点・191失点)、豪州とは4戦全敗(58得点・220失点)、NZとは3戦全敗(21得点・325失点)、そして唯一の勝利を挙げたスコットランドとは1勝6敗(92得点・344失点)です。通算では33戦1勝32敗(582得点・2457失点)となります。ラグビーのテストマッチは国外での試合が多いこともありますが、IRBがプロ化容認を決定した1995年以降は日本は改革に遅れたこともあり、もはや手の届かないところにまで差を付けられたと思います。9年後の自国開催のW杯は大丈夫かな?(なお、ラグビーの詳細の資料はこちらです

ただ、こうやってサッカーの対戦成績を眺めてみると、1992年に史上初めて外国人の日本代表監督となったハンス・オフト監督以降から、W杯優勝国とのマッチメークが増えたと思います。やはり、国内リーグのプロ化の影響でしょう。あとは2002年W杯招致活動もあると思いますね。1980年代までの日本のマッチメークは、外国のフル代表よりも、欧州&南米のクラブチームとの対戦がメインでした。せいぜい、この頃はアジアのタイトルマッチぐらいでしか、国際Aマッチがありませんでした。つまり、強化よりも興行を優先したマッチメークだった為、どうしても肝心の勝負所で甘さが出てアジアの壁を突破出来ませんでした。ましてや、世界なんて夢のまた夢の時代でした。一方、ラグビーは大西鐡之祐が監督の時代、1968年6月に敵地でオールブラックスジュニアを23-9で破る金星を挙げ、3年後の1971年9月に国内で開催されたイングランド戦を皮切りに世界の強豪と頻繁に試合を組みました。ラグビーと比べてもサッカーのマッチメークは明らかに遅れていたと思います。なので、この時代を知っている人間からすると、現在は感慨深いものがあると思いますね。

とはいえ、W杯優勝経験国との対戦といっても、必ずしも相手がベストメンバーだとは限らないです。最も対戦しているブラジルは、ハッキリ言って日本を舐めて掛かってますから。初対戦の時は後半に8人もメンバーを入れ替えました。ブラジルは過去4度来日してますが、来る度にメンバーの質が落ちてます。ただ、Jリーグ発足当初は日本に現役のセレソンが多く在籍してましたが、各クラブチームの経営環境の悪化や1995年のボスマン判決に伴う年俸の高騰化の影響で、次第にビッグネームがいなくなったことも要因だと思われます。ウルグアイもブラジルと同様に格落ちしたメンバーが主体の時がありました。それでも、日本は彼らの狡猾さにやられて全然歯が立ちませんけどね(苦笑)。それだけに、アルゼンチンは毎回ベストに近いメンバーを揃えて、割と真面目に戦ってくれるから好感が持てます。あと、フランスとの対戦は、監督の力量が問われたり、進退の懸かるケースが多いです。日本が内容的に健闘している相手は、やはりイングランドでしょうかね。ドイツとは両極端な試合でしたから。

ちなみに、日本がW杯優勝経験国と初めて対戦した記念すべき一戦は、今から74年前の1936年のベルリン五輪です。大学生主体だった日本は初戦で強豪のスウェーデンと対戦し、のちに「ベルリンの奇跡」と呼ばれる歴史的な大番狂わせで3-2で逆転勝利を収め、準々決勝に進出しました。そして準々決勝で対戦したのが、この大会で金メダルを獲得するイタリアです。実はイタリアは1934年に地元で開催された第2回W杯の優勝国でした(のちに、1938年第3回フランス大会も制覇)。当時の五輪参加資格はアマチュアでしたが、この時のイタリアは実質的なプロ軍団でW杯優勝メンバーを多く含んでました。更に、監督もW杯で優勝したヴィットリオ・ポッツォでした。

さすがに試合は実力通りに日本が0-8で大敗しましたが、この当時の日本は1938年フランスW杯の予選に初めてエントリーし、更には1940年の五輪は東京での開催が決まってたこともあり上昇気流でした。しかし、日本は戦争の拡大の影響もあり、W杯予選のエントリーを取り止めただけでなく、五輪開催も返上しました。なお、日本がW杯に初めて出場したのは、この60年後に同じフランスの地で開催された1998年第16回大会です。なので、戦争の惨禍が無ければ、日本のサッカーは現在の姿とは相当変わっていた可能性があったと思われます。なお、このイタリア戦は戦前に行われた試合ということもあり、近年まで日本協会は国際Aマッチとして認定しなかった経緯があります。ただ、扱いはどうであれ、両国ともベストメンバーで公式戦を戦ったので、この試合こそが最初のW杯優勝経験国との対戦だと言えます。

話を元に戻しまして、現在の日本代表のマッチメークは体調不十分なチームとホームで頻繁に行うなど、スポンサーの為に組んだ興行優先の嫌いがあります。観光目的に来日した欧米のクラブチームから、飛車角落ちした真剣味の薄い代表チームに相手が変わったに過ぎず、本質的には1980年代の頃と構図が似ているとも言えなくも無いです。W杯優勝経験国との対戦にしても、全31戦中17試合がホームでの対戦です。当然、時差や遠征の疲労が伴うから体調は不十分なので、本当の厳しさを味わえる訳ではありません。日本が今以上に飛躍を望みたいのであれば、やはりホームでの試合よりも、アウェーで強豪との対戦を増やすのは不可欠でしょう。なにせ、W杯は自国で開催しない限りは、常に海外での開催ですから。

〔記録は2010年10月9日現在です〕

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