軽井沢は久々の本格的な雪。
我が車は雪に埋もれ、
謎の動物の足跡もあった。
そして雪とは何の関係もないが、正月ふらっと入った本屋で買った池波正太郎の『食卓の情景』
この中に次のような子母沢寛の『味覚極楽』という本の引用があった。
「……鍋に湯をたぎらせ、これに豚肉を二百匁ほど入れ、ぐたぐたと煮立てた中へ、うどんをさっと入れ、玉がくずれてさらさらとなったところをつまみあげて下地へつけて食べる。……」
池波氏はうどんを醤油1,みりん1、昆布だし4の割合にととのえたものへつけて食べる、と子母沢氏から直接教わり、やってみたところ「まことにうまい」のだそうだ。
ここまで材料が単純なら味の想像は付く。これでまずいわけがない。
実際にやってみることにした。さっと入れて玉がくずれてさらさらとなるというのは、うどんは乾麺ではないだろうし、讃岐うどんのような腰のある本格的な麺でもないだろう。やはりなべ用に売っているゆでうどんであろうから、それを1玉買ってきた。
水を入れた鍋に切り昆布を1本投入し、火をつける。同時にうどんを入れる鍋にも水を入れて、火をつけた。
昆布の鍋が沸騰したら火を止め、うどんの鍋には豚肉を入れ、色が変わった頃にうどんを入れる。ネギも入れたらまたうまいだろうと思うが、文豪メニューの真似が目的なのでここは我慢だ。「うどんの芯まで熱くなっては駄目」とあるので、うどんがほどけたころに引き上げ、これを上の分量で作ったつゆにつけて食べる。
味はだいたい想像通り。それよりも2人の文豪のおっさんがこんなものを作って喜んでいたとは、何ともほほ笑ましい。そしてそれを真似して喜んでいる自分も。