まだ夏のまま、残暑とは思えない暑さの残る9月の野音。連休の終わり。
時おり思い出したように吹き抜ける風に、気持ちよさを覚える。
それでも。
少しずつ上昇していく体温を、静かな熱気を、
感じたひとときだった。
ワンマンとしては10年ぶり。
(10年の間でバインのライブに行けたのはOTODAMAくらいだったと思う。)
10周年で開催された、場所も同じ野音から数えれば16年ぶり(!)
意を決してチケットを手配したのは、色々タイミングもあったわけだけど
都合よく後から考えれば、これはやっぱり運命なのだ。
だって野音だしね。
感慨深くもあり、衝動に突き動かされる瞬間もたくさんあった。
かれこれ10年ほど新譜も聴いておらず、なんとなく覚えてはいてもタイトルが思い出せない曲もたくさん。
アルバム発売前のセットリストなので、新曲もたくさんあったと思う。
最近の曲を少し勉強していったけど、テスト前の状態に違いよね…。
とはいえ、
どんな曲にしてもやっぱりバインはバイン。
気持ちのいい亀ちゃんのピシッとしたドラム。
昔から彼のドラムを聴くにつけ、見るにつけ、背筋が伸びる。
アニキが奏でるギターの音色は、改めてこのバンドの中枢にあると思った。
もう…グッとくるのである。
人の数ほどある、個々それぞれの琴線に触れる音色。
見事にそれに絡め取られている。
そこに説明不要な田中さんの歌声。
年を重ねるごとに安心感というか、不安定な要素のない声になっていく。
気持ちのいい声。
調子の悪い時に遭遇したことがないだけなのか、元々鉄壁なのか。
そしてやっぱり外というのもあるかもしれない。
伸びやかに、放たれる声。
何年も来ていなかったライブで、
アルバム『Here』から「想うということ」「here」の2曲を聴くことができた。
自分の中でピークにバインを聴いていた時期を思い出す。
美しいメロディと切ない歌詞だけではない。ぐぐぐっと盛り上がった自分の中身を少し裏切るような着地点へと導くアルバムの曲たち。
そう。肩の力が抜けている、というのか。
フラット。
けして、パツンパツンに中身の入ってはいない。
いつでもバインには余白があったのだと思う。
おそらく。
20代も30代も言葉にならなくても同じことを感じて、思っていた。
そして40代も半ばになって、そんなことが言葉として浮かんでくる。
これ何てタイトルやったかな…
メロディとか歌詞は覚えてるな…
ああ、やっぱり放浪フリークは野外に映える…!
的な感じで、ブランクは最早取り戻せない気もするけれど。
イベントでは満足できなかったものが、どんどん満たされていった。
田中さんの声からしか得られないものがある。
2時間弱のSUMMER SHOW。
格別のひとときだった。
今度はいつ行けるだろう?
そんなの自分次第、だよね。