ニコワッカ -niko W akka- FZ1

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08北海道ツーリング 一日目

2008-08-23 22:52:14 | ツーリング
8月10日

午前3時半
そとはまだ明けきれてはいない
デッキに出てみると遠くに小樽の明かりが見える
気の早いライダー連中は早くも起き始め、待ちきれないといった様子でフェリーの中をうろついている
かくいう自分も喫煙所に行ってみたり、意味も無いのに洗面所で顔を洗ったりと忙しない

一時間ほど経つとフェリーが接岸した
大抵のライダーは準備万端といった様子でロビーに集まっているのだが、バイクの下船は車の後になるとの事
周囲を見回してみると、平静を装ってはいるが明らかに「まだか、まだか」と心の中で貧乏ゆすりをしているライダーの顔ばかり
自分もタバコを数本消化しきったところでバイクの下船がアナウンスされた


甲板に下りると早くも多くのライダー達が自分のバイクに取り付き、荷物の積み込みを始めている
自分も急ぎ足でFZ1に向い、出発準備に取り掛かる
慣れたものでそう時間がかかる作業でもないが、「お先に」とばかりに先に下船していくバイクを横目に気持ちばかり焦る
いよいよ準備を終え、バイクに跨ってセルを回す
エンジンがかかららない……ギアがローに入りっぱなしだった
ニュートラルに入れなおして再びセルスイッチを押した
FZ1も待ってましたとばかりに元気良くエンジンを吹かせる
隣で作業をしていたライダーに片手を挙げて『先に行くよ!』と合図をすると、そいつもニヤリと笑い片手を挙げて返事をしてくれた
甲板を出てスロープを下る
左手から差してくる朝日はだいぶ高くなってしまったが、一日は始まったばかりだ
サングラスを忘れてしまったが、眩しい朝日が逆に何かを予感させる

二年ぶりの北の大地だ
去年は来ることのかなわなかったこの地も、どういう巡り会わせか再び上陸することができた
本州とは違う冷たくて少し渇いた空気を吸いこんだ
エンジンも湿気を孕んだ熱風のような空気を吸っていない分、かなり元気だ
まだ店も開いていない早朝の小樽を駆け抜け5号線に出ると、ギアを一段落として勢い良くスロットルを回した

小樽郊外のうねった道をパスし留萌方面、337号へ出ると、そこはもう本州とは全く違う道だ
広い車線と長い直線
早くも北海道を走っていると実感する
暫く走って見かけたセイコーマートに入る

おにぎりを2つとカツゲンを購入
おにぎりを買って「あたためますか?」と尋ねられるのは久しぶりだ
腹ごしらえをすると再び走り出す
いつもでは車の流れリードするようなスピードでさえ、この地では軽トラに軽く追い抜かれる
普段よりもスロットルを気持ち多めに回して更に追い抜き返す
気が付けば液晶の速度表示はいけない数字だが、自重することもない
なにせここは北海道だ

ひたすら日本海沿いを北上していく
小樽では多少雲が多くまぎれた青空だったが、気が付けば青の面積の方が広くなっていた
今日は殆ど寄り道をするつもりはない
宗谷岬を目指してひた走るだけだ
とはいっても本州のつまらない国道なんかと比べれば圧倒的に面白い道だが
増毛から留萌を通過し、232号へいよいよ天売国道に入る
ニシン番屋で休憩

この時点でまだ10時あたりなので殆ど走りっぱなしだ
特に見所もないので軽く一服しただけで再び走り出す

さらに北を目指し北上
天塩を抜ければもうそこはこの日の目的地の一つオトンルイ風力発電所が見えてくる

左手に日本海と利尻富士、右手にサロベツ原野とこの28基もの巨大な風車群を望む直線ろは北海道に上陸したライダー達の憧れの地であり、自分も行っておくべき場所のひとつとして数えていた。
ここからはひたすらの直線路だ
地平線に道が消えていく場所なんてそうあるものじゃない
走っているだけなのに気分が高揚し、思わず叫びたくなる


非常に長い道のはずなのにあっという間に終わってしまった
戻りたくなったが先を急ぐので泣く泣く進む
抜海を抜けるとこの大地の終わりを感じさせる空気になってきた
稚内の町を避けてノシャップ岬へ
寂しげな道を暫く行くとそこが見えてきた
バイクを停めるとブラックバードに乗った人に話しかけられる
昨日のフェリーで苫小牧から来たらしい
食事をしないかと誘われたので喜んでご相伴に預からせて頂く

食事は岬の側にある『樺太食堂』
マップにも載っている有名な食堂だ
そこで二人して三色うに丼を頼む
旅人の財布とは不思議なもので、紐が極端にきつくなるか逆に極端に緩くなるかのどちらからしい
自分らの場合は後者のようで、普段であれば間違いなく馬鹿にするような価格設定でも平気で金を出してしまう
値段に関しては白けてしまうので詳しく書かないが、定食2食分といったところだ
確かに高い買い物なのだが、その分旨さは折り紙つきである
ミョウバン漬けでは味わえないウニの甘さととろけるような食感、それに負けないぐらいに旨いホタテ、カニ、イクラ……
北海道でなければ絶対に味わえない味だ
二人とも物が出てくるまでには何処を回っただの何処に行きたいだのの会話をしていたのだが、食べ始めた途端に無言になる
時折どちらとも無く「うめぇ」だの「甘っ!」だのの独り言を……
食べ終わって店を出たときには揃って呆けたような顔をしていたことだろう



腹ごなしに岬の辺りをうろついてから再出発
ブラックバードのライダーはサロマ湖の辺りまで行きたい(この時点で昼過ぎ、到達は午後五時位か)と言っていたので先を急ぐらしく、宗谷丘陵を走りたい自分とはお互いに旅の安全を祈って途中で分かれた
そこから宗谷丘陵を走りぬけ、再び海側へ





このあたりからは樺太も見える

最北端のガソリンスタンドで給油し、今度はオホーツク沿いに東へ向う
宗谷国道も中々良い道で、七月にくれば白いノリウツギが咲き誇っていて非常に美しい
本当に真っ白になるのだ
さすがに一月も違うので既にノリウツギは少なくなってしまったが、ハマナスやクルマユリの花が点々と咲いていた

クッチャロ湖を横目に更に先を急ぐ
ここらまでくれば今日の幕営地まではもう直ぐだ
以前も来たウスタイベ千畳岩キャンプ場
特に変わったキャンプ場ではないのだが、全面が柔らかな芝生で車両の乗り入れが可能だという非常に便利なキャンプ場である
2kmも走れば枝幸の市街地に入ることが出来、大きなショッピングセンターもある
この日は3時過ぎにはここに到着して幕営の準備をした
テントを張り、米だけ研いで買出しに行く
ショッピングセンターの駐車場にバイクを停めると、シニアカーに乗った爺さんが話しかけてきた
今朝に小樽に着いてここまで来たというと驚いていた
「これ(シニアカー)で小樽まで行ったらどれぐらいかかるかな?」なんて話をしたのち買い物をする
特には考えていなかったが、ジンギスカンの材料を手にとってみる
野菜の詰め合わせもあったので購入
このショッピングセンターは意外と何でも揃っており、テントなどのアウトドア用品まで置いてあった
やる気になればバッグだけで中身なしの状態でここまで来て全てを揃えることも出来たと思う(笑)

テントに戻ると食事
ジンギスカンなんて最初からタレ付けになっているので特に準備なんてしない
野菜と一緒にクッカーにぶち込み火に掛けるだけ
米炊きも難しいものではないし、非常に簡素な食事だ


ビールを煽りながらの食事を済ませると既にすることはない
届いていたメールに写真つきの返信などを済ませているうちに日が暮れてきた


完全に真っ暗になると凄い物が見られる
天の川だ
唸るほどの星の海
ずっと眺めていても飽きやしない

この日は本当に天気に恵まれた
明日も良い天気になることを願いつつ、空の天の川を何時までも眺めていられないことを惜しみつつ寝袋に入った


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