これからおやすみの方、おはようの方

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Tシャツ

2016-08-28 19:07:02 | 長い長い舌打ち
そしてバーベキュー開始。「さて、そろそろか。締めの焼きおにぎりの前に、最後の肉としてこの小ぶりのハンバーグを食べるのがウチ流だ。牛100%でつなぎは卵黄のみ。レアで召し上がれ」「美味しそう」「こんなに食べたのに、性懲りもなくヨダレが出るね」しかしハワードは箸でつかんで皿に運ぶ途中でうっかり落としてしまう。「ああっー!」絶叫する一同。余分はない。「ダイジョーブです。ちょっと落ちたところだけ剥げば」しかし箸でつかんで持ち上げようとするも、つなぎが卵黄だけだからか崩れてしまう。「ああっー!」絶叫する一同。「もう、下手くそね」「アスホール野郎」「猿以下だな」「これを使え」調理用トングを手渡そうとする清水。しかし焦って箸で救出しようとした結果、嬲られたハンバーグは既に無惨にも崩壊していた。「あーあ、こりゃ食えねえな」「勿体ない」「信じられない愚行だわ」「そりゃ国家財政も破綻するわ」「やはりアメリカ人は食べ物の扱いがね」「ゲータレードばかり飲んでるからこうなる」四面楚歌に泣きそうになるハワード。しかしそこに救いの手が。「僕の分、半分食べなよ」「その時、私には道真君が、夕飯の救世主、夕メシアに見えました。今思えば、それが最後の晩餐でしたが……」この期に及んでの駄洒落に唖然とする一同。しかし本気でボロ泣きするハワードの姿に、やがて泣き笑いに。


木下古栗「金を払うから殴らせてくれないか?」所収の「Tシャツ」という短編の記述

ソープ嬢が水死したような夏休みを送っている

2016-08-09 16:57:00 | 長い長い舌打ち
課題を受け取るため久々に学校へ行ったらウザい奴にウザい絡み方をされムカついたので、うるせーよ死ね、と言ったらそのアホとオレ(アホ)以外誰もいない教室が静寂した。突然そいつは静寂を破り机を殴って威嚇してくる、「俺は死ねって言葉で親友が一人死んでるんすよ!!!」とかいうエピソードを披瀝してくる。知らねえよとしか思えなかった。また、「死ねなんてコトバ軽々しく使ってんじゃねーよ!!」とマジギレされる。恐怖は感じなかったがそもそも気怠いのに輪をかけて面倒臭いことこの上なく呆然としてるだけだった。唐突に教師が入ってきた。

毎日暑く、毎日これといって何もせず、脳みそが俺に飽きている…
ソープ嬢が水死したような夏休みを送っている

色盲の人は何色の夢を見るの?

2016-08-03 16:11:12 | 長い長い舌打ち
公園のベンチで気だるげにウイスキーをまずそうにのむ。滑り台ジャングルジムベンチ樹々、色々な物が背骨をなくし曲がる

誰もいない夏の公園で 誰もいない昼の公園で暑いなあと呟こうとしたら、atuinaaとローマ字表記の声が出た。
もう一度暑いなあといったら今度はしっかり「あついなあ」とひらがなで入力されただから変換し勢いよくエンターすると「厚いなあ」と発語された。私は自分の言語中枢の低能にあきれ果てどうでもよくなり暑いなあと言うのをいい加減あきらめた。言ったところで何も変わらないし暑いときに暑いというその行為になんの意味があるのかわからないしそんな自己表出に幾度も拘泥している自分自身に嫌気がさしたのだどうでもいい。そういえば色盲の人は何色の夢を見るんだろうか

気づいたらあたりの蝉が全部奇妙に静かになっている。目を凝らすと抜け殻が多数白い砂の上に散らばって落ちている。一匹のゴキブリが蛍の如く光りつつ蝉の如く鳴いている。

イヤホンを30本くらい絡ませてへばったようなジャングルジムの前の空間にいつのまにか一個の扇風機が在った。
その扇風機はなぜか長い髪の毛が生えていてビショビショに濡れて臭そうな上、首を下へ傾けて笑っている。何を私を嘲笑している気もするし自暴自棄になった人が凶悪殺人を犯す前みたいな雰囲気を放ってるし気味が悪い。前時代の機械のくせになめんじゃねーと心底で思いつつ首と思しき部分に蹴りを入れるとその扇風機はあっけなく倒れた。シャツと背中の間に何かを告げるような風が吹いた。

帰ろうとして当該公園を立ち去り振り返るとその公園は紫の空気に均一に充溢されていた。
足下のマンホールの穴から人の指が蛆の如く出ていて若干地面から蓋が浮いている隙間で作業着を着た派遣みたいな人々が集結してカップラーメンを啜ったり煙草を吸ったり談笑したりしつつじっと私を凝視している。

街全体に私の頭痛が響きわたり突然土砂降りが来たが30秒くらいで止んですぐに通り過ぎる。いまや向こう側にあの雨は見える。こちら側では日光が照っている。正常に汗が流れ、あっ青い海が見えた。だけど海水はするするとシャワーノズルのように穴の開いた空へ麺のように吸い上げられ、やはり私は元の町に立ってる