議会雑感

国会のルールや決まりごとなど、議会人が備忘録を兼ねて記します。

国会審議活性化法と政府参考人制度-その1

2017-06-08 | 国会ルール
○衆議院規則第45条の3

委員会は、前条の規定にかかわらず、行政に関する細目的又は技術的事項について審査又は調査を行う場合において、必要があると認めるときは、政府参考人の出頭を求め、その説明を聴く。

○参議院規則第42条の3

委員会は、前条の規定にかかわらず、行政に関する細目的又は技術的事項について審査又は調査を行う場合において、必要があると認めるときは、政府参考人の出席を求め、その説明を聴く。(以下略)


平成11年に制定された国会審議活性化法は、中央省庁の再編・改革と時を同じくしながら、以下のことを規定しました。

1.国家基本政策委員会の設置
2.政府委員制度の廃止
3.政務次官の増員と副大臣・大臣政務官への移行
4.政府特別補佐人の本会議・委員会への出席

国家基本政策委員会については、前回、改めて紹介しましたので、政府委員制度の廃止について、その意義を含め紹介します。

明治憲法下では、政府委員に選任された官吏は、議院に出席し、発言する権限が与えられていました。

つまり、明治憲法下の帝国議会時代は、行政府の都合で、政府委員を一方的に国会に出席させ、発言できる権限を政府委員に与えていたのです。

日本国憲法では、政府側にあって議院に出席し、発言できる者を「内閣総理大臣その他の国務大臣」と規定し、政府委員の文言は削除されましたが、国会法制定時には、政府委員の規定が残されていたため、政府委員制度は法的には新国会に引き継がれました。

政府委員制度では、本省局長級以上の職員、局次長級職員等の官職にある者等が任命されていましたが、委員会等において、大臣に代わって政府委員の答弁が常態化していました。

さらには、課長級の職員も説明員として発言が許されていたのです。

よって、国会審議活性化法等により、委員会における対政府質疑に関しては、政策決定の権限及び責任を有する大臣等の政治家が答弁することを原則としたのです。

また、これに対応すべく副大臣・大臣政務官制度を導入し、行政府側の議員を増員したのです。

ただ、行政の細目的・技術的事項については、委員会が政府参考人の出席を求め、説明を行わせることができるという規定が、衆参議院規則に新設されたことにより、従前より限定的ではあるものの、政府職員による答弁は、結局、残ることとなったのです。

しかしながら、本来は議員同士のやり取りで立法に責任を持つという立法府の立場から、政府参考人を立法府の委員会に呼んで細目的・技術的事項について発言させるときは、委員会前の理事会で協議し、委員会冒頭、「政府参考人の出頭(出席)要求に関する件」として全会一致でこれを議決したうえで、政府参考人の発言を認めることにしたのです。

つまり、政府参考人の答弁はあくまで細目的・技術的事項に限ること、政府参考人制度では委員会の全会一致の議決があって初めて国会で発言を認めること、等の政府参考人制度が導入された本来の趣旨からすれば、今の立法府は、程遠い姿となってはいないでしょうか。

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