過去2回にわたってお届けしてきた なんでや劇場レポートも今日でお終い。(よっしーさん、こうさんご苦労様です)
最後の今回は、「有性生殖」の具体的な姿についてお話ししましょう。これがなかなかすごいシステムなんです。というのは・・・・・・
・・・・・・「四の五の言わずに、早く中身を語れ」という声が聞こえてきそうです。それじゃ、さっそく本文へどうぞ。
いらっしゃいませ。
さっそく、いつものヤツをお願いします。
さて、
今回のなんでや劇場「有性生殖への道のり」の終着点。「有性生殖」の姿が今回の報告。
その前に、「有性生殖」とは何か?を考えてみましょう。
私たち人類も有性生殖をして子を残し、(個体)数を増やします。じゃぁ、有性の「性」とは何でしょう?ちゃんと考えたことありますか?有性生殖を考える前には、「生物学的な『性』」とは何かを考える必要があります。
「生物学的な『性』」とは・・・・・・
「多様な変異体(同類他者)を生み出すシステム」 です。
「おいおい、『性』っていってんだから、♂:オスと♀:メスのことに決ってるだろ」とか「『性』っていやあ、お前ぇ~あれだ、あれ。セックスのことに決ってるだろ」などという声が聞こえてきそう。
ところがどっこい、それは本来的な回答になっていない。それは、「先入観」もしくは「価値観」と言います。平たく言うと「目先」の理解。
たとえば、「♂:オスと♀:メス」の理解。これは「多様な変異体(同類他者)を生み出すシステム」を実現するためにとった役割分化という方法の一端であり、その結果の姿です。根底には「多様な変異体(同類他者)を生み出すシステム」を如何にして実現するか、という目標がある。・・・「目先」の理解、という意味がおわかりいただけましたか。
自然の摂理を読み解こうとする上で、その地平に立って生物学を理解する上で、先入観や価値観は、無用。はっきりいって邪魔。ってかそんな事を言っていると、全く理解できない、ということを、まずは理解しておきましょう。
その上で、もう一つ、原核単細胞生物の段階から生物が一貫して取り組んできたとんでもない難課題を理解しておきましょう。それは、「一方では安定性を保持しつつ、他方では変異を作り出すという極めて困難な課題(実現論:ロ.雌雄の役割分化)」 です。
平常時は、別に進化なんてしなくて適応できています。つまり、「安定」が求められる。下手に「変異」したら繁栄できない。
しかし、非常事態、このままでは「死ぬ」というときに「安定」ばかりしていたら、「死ぬ」だけです。別の適応の仕方が出来る進化=「変異」を生み出さなければならない。
「安定」と「変異」の共存。この矛盾する両面をどうやって存在させ機能させるのか。
・・・・・・
私たちは、今いる生物を眺めてそのヒントを得ることができます。が、最初の生物達の頃にはそんなオリジナルは存在しない(だって、自分たちがオリジナルなのだから)。どこにもヒントやお手本がない状態で答えを導き出さないといけない。そのうえ、答えを間違うとどうなるか。それは、「死」。間違いの結果、待っているのは情け容赦のない「絶滅」です。
単細胞生物の彼らが挑んできた課題がどれほど困難なものだったか、そして、どれほどすごい圧力だったのか。少しは察することが出来ますよね。
そんな「彼らの身になって考える」。これも生物進化を理解する上でのポイントです。
さてさて、
大きな前提を押えたところで、じゃぁ、本題に入っていきましょう。
<原核単細胞生物のDNA組み換え:分裂の仕方>
原核単細胞生物の分裂は、2回目の報告に詳細はありますが、イメージ的に言うと、細胞の真ん中らしきところで目星を付け、ブチッと切れる。けっこうアバウトですよね。
また、これは、自分自身が二つに分かれる分裂。他者と合体することはありません。つまり、配偶子の合体を経ない「無性生殖」です。
この段階も、一応は、変異と安定がある程度共存できているものの、ブチッと切れるのですから、エラー任せで、偶発性によるところが大きい。なんか、イマイチ。この先ずーっとこれでいけるのか、ちょっと心配になりますよね。
このイマイチで不安な点に進化する余地がありました。
<真核単細胞生物のDNA組み換え:分裂の仕方>
2回目の報告にあった有糸分裂。この機構を獲得したことによって、DNAをほぼ等分割することが可能になりました。アバウトにブチッと切れるのではなく、かなり正確に二つに分裂する機構を得たということですね。
そして、更に、驚くべきDNA組み換え:分裂の仕方を獲得します。それが「減数分裂」です。
①1セット(1n)のDNAを持つ真核単細胞生物が『合体』。そして、1nが2セット、倍のDNA(2n)をもつ一つの細胞になる。
②1n 2セットを更にコピー。
③(隣り合った)DNAの組み合わせを変える。(交叉・組み換え)
④有糸分裂で2nの細胞二つに戻る(第一分裂)
⑤更に有糸分裂
⑥DNAが1セット(1n)のもとの形に戻る:【完成】
減数分裂が終わったあとの成果品をよく見てみましょう。
・もとの1セットのDNAを単純に交換して合体させた細胞(ピンクと青が二つならんだもの)が2個。
・もとの1セットのDANを交互に組み替えた(ピンクと青が1入り混じった)DNAを1セットもつ細胞が2個。
あわせて4つの細胞に分裂しました。
この4つの細胞はいずれも、同類他者。これが大きなポイントです。
実は、最終成果品として現われるDNAの組み合わせは、もっとパターンがあります。ですから、この図に示されたパターンはあくまで1事例として理解してください。
いずれにしても、元の細胞のDNAから変異しているわけですね。
また、①~⑥の分裂過程を見て、「上手い!」と思った方。あなたは鋭い。
そう。ここで「上手い!」のは、これら4つの新しい細胞を生み出す過程において、2nに合体したDNAを更に複製する過程=②を間にはさんでいることです。
これは、更新する前にバックアップをとっておく作業。
僕達もPCを使った作業などで、何か心配があるときに、一度、バックアップをとります。そしてバックアップ版以外の新しいファイル上で作業し「上書き保存」しますよね。心配があるときは、決してオリジナルのファイルに「上書き保存」することはしません(たまにやってしまって後戻りできずに往生しますが)。これと全く同じ事をしているんです。「上手い!」。
これら減数分裂の過程は、ブチッと切れる原核単細胞生物の分裂の仕方とは明らかに異なります。
つまり、同類他者=変異体を「確実」に、かつ「安定」して生み出すことができる。意図的に「安定」的な「変異」をつくり出しているシステムです。
これによって、進化の基幹戦略である「出来る限り多様な同類他者(非自己)を作り出すこと」が可能になったのですね。
ということで、
長々と最終回の報告をしてきましたが、劇場会議の本編はいったんここでお終い。
次回、私たちは、2n(倍数体)が主役の多細胞生物に進化します。
もはや完璧、と思われる分裂方法を獲得した私たちが、更にどんな進化を遂げるのか。次回もとても楽しみですね!!
たしょう
~オマケ、だけど結構重要 是非読んで!!~
【ありがち「先入観」のコーナー】
●1nの細胞より2n細胞の方が優れている、は本当か。
生物学では、1nの細胞を「半数体」と呼びます。
これは、細胞同士が合体して2セットのDNAをもつ状態を「倍数体」ということから、その半分=「半数体」といわれているそうです。
・・・・・・なんだか、「半数体」などといわれると、必要なものを半分しか持ち合わせていない「不完全なモノ」というニュアンスで捉えてしまいませんか?
また、私たち人類がもつ細胞の多くが「倍数体」の細胞であることから、私たち「高等」な人類を中心に考えれて、半数体は「下等」である、なんてニュアンスで捉えていたりしませんか?
でも、実は、生物進化の歴史上は1n=「半数体」として過ごしてきた時間の方が長いのだそうです。
そういった歴史的事実を抜きにして「半分だから不完全だ」とか「私たちの2n=倍数体が“高等”で1n=半数体は“下等”だ」などというのは、先入観であり、価値観。全く意味がありませんよね。
●X染色体はその形状からそう呼ばれている、のか。
↑この絵!
皆さん、生物の教科書などで一度は見たことがあるはずです。「染色体」といえば「もう、これしかない」とお考えの方も多いでしょう。僕はそのクチでした。
そして、この「X」っぽい形(かたち)から、「エックス染色体」=「Xの形をした染色体」と理解されている方も多いでしょう。僕はそのクチでした。
でも、それは間違い。
この絵は、実は、今まさに有糸分裂によって分裂しようとしている染色体の“ちょうどその時”(特異点)の状態なんだそうです。
マニアックに言えば、Xの交点=中心体に動原体がくっついて紡錘糸を巻き取ろうとしてる、ちょうどそのとき、というわけですね。
●「例外」はないのか?
個人的に、議長が仰っていた言葉で最も感銘したのはこれです。
完璧と思われる減数分裂。しかし、「完璧」といってしまうと、そこに必ず「失敗」や「例外」はないのか?という発想が浮かびます。
その答えは簡単。生物には「ミスや例外は必ずある」のだそうです。更に「ミスや例外の問題が顕在化したら、必ずその問題を修復するように進化する」のだそうです。
私たちは、減数分裂などの事実を後になってから研究によって知り、「そのように完成されたシステムだ」と評価するわけです。
すると、生物の進化は一直線であって常に完璧であった、なとどいう誤解が生ずる。なぜ誤解するのか。
それは、生物学というものは、進化の現場に立ち会うのではなく“後から研究・評価して”現在の生物につながる進化を認めている、という 後と先の関係を考えていないからでしょう。
今、私たちが勉強している生物学は「ミス」や「例外」を除いた「正解」。最も適応的であったごく一部の進化を見ている(むしろこっちの方が例外)、という認識が必要なんだと思います。
その背後には圧倒的多数の「ミス」=「絶滅」があることを忘れてはならないのですね。
・・・・・・
私たちは、日本語という含蓄の深い言語によってや、自らの(狭い)経験の蓄積によって、知らず知らずのうちに「先入観」や「価値観」に捕らわれています。
また、私たちが受けてきた学校教育は、その多くがパターンとして覚え込ませるやり方をするので、反射的にある事象に収束していしまいがちです。エックス染色体は好例ですね。
もっというなら、“厳格で崇高な”学術の中にも、このような「価値観」を帯びた、または「価値観」を連想させる用語が数多く存在します。(「劣性遺伝」「突然変異」などなど)
こういった「先入観」「価値観」「パターン認識」は、私たちの思考妨げるものでしかありません。そんなものがあるから「事実」が見えない。
これらに惑わされることなく、無垢な心で「事実」とは何か。見て・考えていきたいものです。
たしょう
最後の今回は、「有性生殖」の具体的な姿についてお話ししましょう。これがなかなかすごいシステムなんです。というのは・・・・・・
・・・・・・「四の五の言わずに、早く中身を語れ」という声が聞こえてきそうです。それじゃ、さっそく本文へどうぞ。
いらっしゃいませ。
さっそく、いつものヤツをお願いします。
さて、
今回のなんでや劇場「有性生殖への道のり」の終着点。「有性生殖」の姿が今回の報告。
その前に、「有性生殖」とは何か?を考えてみましょう。
私たち人類も有性生殖をして子を残し、(個体)数を増やします。じゃぁ、有性の「性」とは何でしょう?ちゃんと考えたことありますか?有性生殖を考える前には、「生物学的な『性』」とは何かを考える必要があります。
「生物学的な『性』」とは・・・・・・
「多様な変異体(同類他者)を生み出すシステム」 です。
「おいおい、『性』っていってんだから、♂:オスと♀:メスのことに決ってるだろ」とか「『性』っていやあ、お前ぇ~あれだ、あれ。セックスのことに決ってるだろ」などという声が聞こえてきそう。
ところがどっこい、それは本来的な回答になっていない。それは、「先入観」もしくは「価値観」と言います。平たく言うと「目先」の理解。
たとえば、「♂:オスと♀:メス」の理解。これは「多様な変異体(同類他者)を生み出すシステム」を実現するためにとった役割分化という方法の一端であり、その結果の姿です。根底には「多様な変異体(同類他者)を生み出すシステム」を如何にして実現するか、という目標がある。・・・「目先」の理解、という意味がおわかりいただけましたか。
自然の摂理を読み解こうとする上で、その地平に立って生物学を理解する上で、先入観や価値観は、無用。はっきりいって邪魔。ってかそんな事を言っていると、全く理解できない、ということを、まずは理解しておきましょう。
その上で、もう一つ、原核単細胞生物の段階から生物が一貫して取り組んできたとんでもない難課題を理解しておきましょう。それは、「一方では安定性を保持しつつ、他方では変異を作り出すという極めて困難な課題(実現論:ロ.雌雄の役割分化)」 です。
平常時は、別に進化なんてしなくて適応できています。つまり、「安定」が求められる。下手に「変異」したら繁栄できない。
しかし、非常事態、このままでは「死ぬ」というときに「安定」ばかりしていたら、「死ぬ」だけです。別の適応の仕方が出来る進化=「変異」を生み出さなければならない。
「安定」と「変異」の共存。この矛盾する両面をどうやって存在させ機能させるのか。
・・・・・・
私たちは、今いる生物を眺めてそのヒントを得ることができます。が、最初の生物達の頃にはそんなオリジナルは存在しない(だって、自分たちがオリジナルなのだから)。どこにもヒントやお手本がない状態で答えを導き出さないといけない。そのうえ、答えを間違うとどうなるか。それは、「死」。間違いの結果、待っているのは情け容赦のない「絶滅」です。
単細胞生物の彼らが挑んできた課題がどれほど困難なものだったか、そして、どれほどすごい圧力だったのか。少しは察することが出来ますよね。
そんな「彼らの身になって考える」。これも生物進化を理解する上でのポイントです。
さてさて、
大きな前提を押えたところで、じゃぁ、本題に入っていきましょう。
<原核単細胞生物のDNA組み換え:分裂の仕方>
原核単細胞生物の分裂は、2回目の報告に詳細はありますが、イメージ的に言うと、細胞の真ん中らしきところで目星を付け、ブチッと切れる。けっこうアバウトですよね。
また、これは、自分自身が二つに分かれる分裂。他者と合体することはありません。つまり、配偶子の合体を経ない「無性生殖」です。
この段階も、一応は、変異と安定がある程度共存できているものの、ブチッと切れるのですから、エラー任せで、偶発性によるところが大きい。なんか、イマイチ。この先ずーっとこれでいけるのか、ちょっと心配になりますよね。
このイマイチで不安な点に進化する余地がありました。
<真核単細胞生物のDNA組み換え:分裂の仕方>
2回目の報告にあった有糸分裂。この機構を獲得したことによって、DNAをほぼ等分割することが可能になりました。アバウトにブチッと切れるのではなく、かなり正確に二つに分裂する機構を得たということですね。
そして、更に、驚くべきDNA組み換え:分裂の仕方を獲得します。それが「減数分裂」です。
①1セット(1n)のDNAを持つ真核単細胞生物が『合体』。そして、1nが2セット、倍のDNA(2n)をもつ一つの細胞になる。
②1n 2セットを更にコピー。
③(隣り合った)DNAの組み合わせを変える。(交叉・組み換え)
④有糸分裂で2nの細胞二つに戻る(第一分裂)
⑤更に有糸分裂
⑥DNAが1セット(1n)のもとの形に戻る:【完成】
減数分裂が終わったあとの成果品をよく見てみましょう。
・もとの1セットのDNAを単純に交換して合体させた細胞(ピンクと青が二つならんだもの)が2個。
・もとの1セットのDANを交互に組み替えた(ピンクと青が1入り混じった)DNAを1セットもつ細胞が2個。
あわせて4つの細胞に分裂しました。
この4つの細胞はいずれも、同類他者。これが大きなポイントです。
実は、最終成果品として現われるDNAの組み合わせは、もっとパターンがあります。ですから、この図に示されたパターンはあくまで1事例として理解してください。
いずれにしても、元の細胞のDNAから変異しているわけですね。
また、①~⑥の分裂過程を見て、「上手い!」と思った方。あなたは鋭い。
そう。ここで「上手い!」のは、これら4つの新しい細胞を生み出す過程において、2nに合体したDNAを更に複製する過程=②を間にはさんでいることです。
これは、更新する前にバックアップをとっておく作業。
僕達もPCを使った作業などで、何か心配があるときに、一度、バックアップをとります。そしてバックアップ版以外の新しいファイル上で作業し「上書き保存」しますよね。心配があるときは、決してオリジナルのファイルに「上書き保存」することはしません(たまにやってしまって後戻りできずに往生しますが)。これと全く同じ事をしているんです。「上手い!」。
これら減数分裂の過程は、ブチッと切れる原核単細胞生物の分裂の仕方とは明らかに異なります。
つまり、同類他者=変異体を「確実」に、かつ「安定」して生み出すことができる。意図的に「安定」的な「変異」をつくり出しているシステムです。
これによって、進化の基幹戦略である「出来る限り多様な同類他者(非自己)を作り出すこと」が可能になったのですね。
ということで、
長々と最終回の報告をしてきましたが、劇場会議の本編はいったんここでお終い。
次回、私たちは、2n(倍数体)が主役の多細胞生物に進化します。
もはや完璧、と思われる分裂方法を獲得した私たちが、更にどんな進化を遂げるのか。次回もとても楽しみですね!!
たしょう
~オマケ、だけど結構重要 是非読んで!!~
【ありがち「先入観」のコーナー】
●1nの細胞より2n細胞の方が優れている、は本当か。
生物学では、1nの細胞を「半数体」と呼びます。
これは、細胞同士が合体して2セットのDNAをもつ状態を「倍数体」ということから、その半分=「半数体」といわれているそうです。
・・・・・・なんだか、「半数体」などといわれると、必要なものを半分しか持ち合わせていない「不完全なモノ」というニュアンスで捉えてしまいませんか?
また、私たち人類がもつ細胞の多くが「倍数体」の細胞であることから、私たち「高等」な人類を中心に考えれて、半数体は「下等」である、なんてニュアンスで捉えていたりしませんか?
でも、実は、生物進化の歴史上は1n=「半数体」として過ごしてきた時間の方が長いのだそうです。
そういった歴史的事実を抜きにして「半分だから不完全だ」とか「私たちの2n=倍数体が“高等”で1n=半数体は“下等”だ」などというのは、先入観であり、価値観。全く意味がありませんよね。
●X染色体はその形状からそう呼ばれている、のか。
↑この絵!
皆さん、生物の教科書などで一度は見たことがあるはずです。「染色体」といえば「もう、これしかない」とお考えの方も多いでしょう。僕はそのクチでした。
そして、この「X」っぽい形(かたち)から、「エックス染色体」=「Xの形をした染色体」と理解されている方も多いでしょう。僕はそのクチでした。
でも、それは間違い。
この絵は、実は、今まさに有糸分裂によって分裂しようとしている染色体の“ちょうどその時”(特異点)の状態なんだそうです。
マニアックに言えば、Xの交点=中心体に動原体がくっついて紡錘糸を巻き取ろうとしてる、ちょうどそのとき、というわけですね。
●「例外」はないのか?
個人的に、議長が仰っていた言葉で最も感銘したのはこれです。
完璧と思われる減数分裂。しかし、「完璧」といってしまうと、そこに必ず「失敗」や「例外」はないのか?という発想が浮かびます。
その答えは簡単。生物には「ミスや例外は必ずある」のだそうです。更に「ミスや例外の問題が顕在化したら、必ずその問題を修復するように進化する」のだそうです。
私たちは、減数分裂などの事実を後になってから研究によって知り、「そのように完成されたシステムだ」と評価するわけです。
すると、生物の進化は一直線であって常に完璧であった、なとどいう誤解が生ずる。なぜ誤解するのか。
それは、生物学というものは、進化の現場に立ち会うのではなく“後から研究・評価して”現在の生物につながる進化を認めている、という 後と先の関係を考えていないからでしょう。
今、私たちが勉強している生物学は「ミス」や「例外」を除いた「正解」。最も適応的であったごく一部の進化を見ている(むしろこっちの方が例外)、という認識が必要なんだと思います。
その背後には圧倒的多数の「ミス」=「絶滅」があることを忘れてはならないのですね。
・・・・・・
私たちは、日本語という含蓄の深い言語によってや、自らの(狭い)経験の蓄積によって、知らず知らずのうちに「先入観」や「価値観」に捕らわれています。
また、私たちが受けてきた学校教育は、その多くがパターンとして覚え込ませるやり方をするので、反射的にある事象に収束していしまいがちです。エックス染色体は好例ですね。
もっというなら、“厳格で崇高な”学術の中にも、このような「価値観」を帯びた、または「価値観」を連想させる用語が数多く存在します。(「劣性遺伝」「突然変異」などなど)
こういった「先入観」「価値観」「パターン認識」は、私たちの思考妨げるものでしかありません。そんなものがあるから「事実」が見えない。
これらに惑わされることなく、無垢な心で「事実」とは何か。見て・考えていきたいものです。
たしょう
そうそう、僕も何となく“不完全なもの”って捉えていました
「性」「高等」「下等」etc
事実が見えなくなる\(◎o◎)/!
以下の部分はちょっと違うと思います。
実際は、組み合わせパターンは任意ですので、図の4つ以外のパターンも当然生じます。いずれにしても、元の半数体から変異しているところがポイントだと思います。
>以下の部分はちょっと違うと思います。
iwaiさん、
ご指摘ありがとうございます。
不勉強ですみません。
急いで修正します。
(修正内容を相談させてください)
どうでしょう?
コメント待ってますよ~。
ちなみにヒトの生殖細胞の減数分裂では、染色体の倍化→分配により、2の23乗=838万8608通りの組み合わせが可能になります。これに遺伝子の交叉・組み換えが加われば、無限に近い多様性が生み出されます。
あと、細かいところですが、ちょっと気になった点。
×多用な変異体(同類他者)を・・・
○多様な・・・ ですよね?