ブログ de なんで屋 @東京

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10月21日なんでや劇場レポート②「多細胞生物って何?」

2007-10-29 00:45:36 | なんでや劇場
さてさておさらいです。
あなたは、

「多細胞生物って何

って聞かれて答えることが出来るでしょうか?

答えられる人も答え切れなかった人も、
サクッとクリックしてしまって、答えを見てみましょう。

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多細胞生物とは、単細胞生物への可逆性を失い、組織でしか生きられなくなった生物である

そうなんです。多細胞生物になってしまうと単細胞生物に戻ることが出来ないのです。


では、なんで戻ることができないのでしょうか?

一つ一つ明らかにしていきましょう。

生物にとって、最重要課題ってなんなのか?

それは種の保存

これは、生物にとって生殖負担が最も重いということを意味しています。
また種の保存のためには、常に変異体を作ることが必要であり、そのためには減数分裂による“組み換え”が不可欠になります。
そしてこの減数分裂の過程こそが、細胞にとっての負担そのものなんです。

一方で、摂食しながら、なおかつ種の保存のために、減数分裂を繰り返さなきゃいけない。
結構、矛盾?というか大変な構造なんです。

(単細胞生物は一つの細胞が生殖(分裂→保存)も摂食も行う、言わば全能細胞(なんでもできちゃう、というか、なんでも出来ないと適応できなったんです)。しかし、重い生殖負担を負ったままでは、摂食(仕事)機能を向上させることは出来なかったんです。)




そんな単細胞生物から多細胞になるとどうなったのか?

一番のポイントは、上記の問題を解決すべく、生殖摂食分化することが出来たことです。

・生殖負担を生殖細胞に特化させる

→その他の仕事細胞(体細胞)の負担を軽くすることができる。

→体の多様な機能分化と高度化、それによる運動機能(摂食機能)の発達が実現!

単細胞生物 = 全能(なんでもやる)
多細胞生物 = 専門分化(各細胞に役割があり、その役割を高度化していった)


でもいいことだらけじゃーない。
多様な機能分化が進めば進むほど、高度な統合機能が必要になってくる
その統合役にかってでたのは、脳細胞であり神経細胞であるのです!


ということで、最初の問題の答えは、
単細胞生物は、一つでも存在することが出来ましたが、多細胞生物は、専門分化してしまったため、一つの細胞ではもはや生存することが不可。
しかし、専門分化することが可能になったからこそ、より高度化できたともいえます。


そして、多細胞生物は、単細胞生物のような全能性を捨てて、分化⇔統合(=組織化)によって生きる道に可能性収束し、それによって初めて高度な進化を実現することが出来たのです。


でもこれって今の企業の仕組みと似ていますよね~
一人で全ての課題をこなすのは大変。
また、いくらたくさんの人がいても、バラバラの動きをしているだけの個人プレー集団でも、より高度な仕事になると対応できなくなってしまいます。
一人一人の役割・課題(どんなに小さなことであっても)があって、互いにコミュニケーションを取り合いながら一つのものをつくるのに統合されていく様。

単体では適応できない様な外圧に晒され、適応するために、共同性、細胞同士のコミュニケーションによって多細胞生物は誕生したのです。

仕事の進め方も自然の摂理を考えると、共通点が多いことだらけ。
改めて、自然の摂理を細胞レベルから考える大切さを再認しました

サリオ

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10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (どう)
2007-10-30 09:58:41
なるほど~
わかりやすい
劇場に参加できなかったのでまとめてくれるとすごく助かります
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Unknown (わたか)
2007-10-30 10:18:08
>多細胞生物とは、単細胞生物への可逆性を失い、組織でしか生きられなくなった生物

>細胞が役割分担したら、高度な統合機能が必要となった・・・・それが脳細胞や神経細胞になっていく

 TOPのきれいな写真の生物や、植物の場合はどうなのかな・・・・
返信する
Unknown (小笠原?or朝倉?or山井?)
2007-10-30 10:54:36
>多様な機能分化が進めば進むほど、高度な統合機能が必要になってくる
その統合役にかってでたのは、脳細胞であり神経細胞であるのです!

脳細胞や神経細胞が出来たのって、多細胞生物になってからだいぶ年代が進んでからのことだよね?
その間はどうやって細胞間のコミュニケーションを図っていたんだろう?
返信する
投稿の補足⇒修正が必要です。 (NISHI)
2007-10-30 11:12:19
劇場の内容がわかりやすくまとまってます。
ただ、以下の2点は認識間違いをしているので、修正が必要です。

>減数分裂の過程こそが、細胞にとっての負担そのものなんです。

この論理でいくと、”減数分裂を行わない”原核単細胞生物は、生殖負担が小さく、多細胞化も可能であるかのように受け取れます。しかし現実はそうなっていません。
「減数分裂」はあくまで生殖細胞の分裂過程の一つの有り様で、本質的に重荷なのは「生殖」過程そのものなのです。
減数分裂も含めた「生殖」過程がなぜ重荷になるのか、その論理の説明に「減数分裂」を持ってきたことで、論理が誤魔化された投稿になっています。
その点を修正して下さい。

>多様な機能分化が進めば進むほど、高度な統合機能が必要になってくる
その統合役にかってでたのは、脳細胞であり神経細胞であるのです!

これは飛びすぎです。
原始多細胞生物(カイメン類)には脳細胞どころか神経細胞も存在しません。
ワタカさんが突込みを入れている、「TOPのきれいな写真の生物」=ボルボックス(細胞群体からごく最近多細胞化したと言われている)も多細胞生物ですが、同じく脳細胞も神経細胞も存在していません。

細胞統合の最も根源的機能は、ホルモン等の情報伝達物質による細胞間コミュニケーション(細胞間情報伝達)です。
その後、多細胞生物の誕生によって高まる外圧(=餌の獲得戦)に適応する為、この細胞間コミュニケーションをより高度化・効率化していく必要が生まれます。そこで、細胞間情報の統合系である「神経細胞」が誕生してくるのです。(これがクラゲ=エディアカラ生物群?の段階)

脳の誕生はこれよりずっと後になります。
せっかくなので情報神経系の進化過程の詳細を調べてぜひ「るいネット」、ブログ「生物史から、自然の摂理を読み解く」に投稿してください。
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Unknown (ムラカミ)
2007-10-30 11:54:44
きれいなボルボックスの写真ですね
ボルボックスファンとしてはうれしい

ボルボックスは、単細胞生物と多細胞生物の中間に位置する生物。細胞群体と言われています。多細胞生物を知るには分かりやすいですね。

中央の緑の○が生殖細胞、その周りに鞭毛という毛を持った一種類の体細胞が並んでいます。この鞭毛で水をかいて泳ぎます。この段階で役割を分けているんですね。

ここの詳細は、http://www.biological-j.net/blog/2007/07/000250.html がお勧めです。

鞭毛を持った体細胞間は、繋がっていますが、まだまだ弱いみたいです。

これが、多細胞生物になると外側の上皮がしっかりつながり外と内を分けて、より役割が明確になります。そして内側に体細胞の仲間が増えていろいろな機能を作って統合された複雑な組織を作って行くんですね。

まさに企業が成長していくみたいです。
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細胞間のコミュニケーション (zen)
2007-10-30 18:03:54
●細胞間のコミュニケーションの方式

【接触して認識】
  ↓
【傍分泌】局所ホルモン→【神経】情報伝達物質
  ↓
【内分泌】ホルモン
                    

多細胞生物では、細胞は孤立しているのではなくまわりと接触して配列し、信号分子を使って周囲の細胞と情報交換を行っている。この細胞間の接触と情報交換によって、細胞はその場所にふさわしいはたらきをすることができる。

最も根源的な情報交換の方式は、細胞表面に存在する信号分子を受容体が認識する方式で、認識が成立すると密着結合や接着結合などが形成される。

離れた細胞同士が情報を交換するために、信号分子は細胞から外へ分泌され、分泌された信号分子を受容体が受け取る方式が生まれた。この方式を傍分泌といい、信号分子を局所ホルモンとよぶ。

これと並行して、細胞の一部を引き伸ばして配線する神経系による情報伝達の方式が生まれた。信号分子は引き伸ばされた部分(軸索)の先端から神経伝達物質として分泌され、直近の膜にある受容体と結合して信号を伝える。

さらに、もっと遠くまで信号分子を運ぶために、血流によって体内に信号分子を配送する内分泌という方式が生まれた。この方式の信号分子はホルモンとよばれ、ホルモンに対する受容体を備えた細胞だけにはたらき掛ける。ホルモンが受容体と結合するとGタンパク質というアダプタータンパク質を介して細胞膜の内側にある酵素を活性化し、セカンドメッセンジャー分子を細胞内につくり出す。セカンドメッセンジャー分子は特定のタンパク質と結合して細胞内で化学反応を促進する。細胞内で起こるこのようなカスケード反応をシグナル伝達という。

※参考:『基礎から学ぶ生物学・細胞生物学』和田勝(著),羊土社(2006/12)
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多細胞生物 (ニシヒデ)
2007-10-30 19:18:04
多細胞生物って、一倍体(n)だと実現していないのが、気になりますね。
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どっちが有利? (kawaix)
2007-10-31 01:09:49
面白い実験結果が見つかりましたよ。

適応速度だけ見ると、一倍体の方が早い、という実験結果。ただし、変異の多様性についてはまだ未明のようです。培養液という特殊な環境での実験なので、そのまま事実認定とはいかないですが、参考までに見てみてね!↓↓

Highlights: 進化:1つの方が2つより有利?
http://www.natureasia.com/japan/genetics/highlights/article.php?i=797

> Zeyl et al.の研究は、二倍性を有するからとい言って必ずしも適応速度が上昇するとは限らないことを示しているため、適応速度が速いから二倍体の方が多いと一般的に説明できなくなった。Zeylたちは、この論点に関する今後の理論的、実証的研究では選択と優性のさまざまな相関を調べ、その影響を考慮に入れるべきだと考えている。これからは、二倍体が多い理由を解明する上で、適応変異の優性の程度が適応変異による適応速度の上昇によってどのように変化するのかを解明することが極めて重要になるかもしれない。
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コメント★ありがとう(゜Д゜)ノ ァィ (サリオ★)
2007-11-02 00:45:22
>どうさん
ど~もです。
喜んでもらえてうれしいっす((=゜Д゜=)ノ

>わたかさん
NISHIさんが詳しく答えてくれています★

>小笠原?or朝倉?or山井?さん
zenさんが詳しく答えてくれました~★
zenさんのコメントを見て下さい

>NISHIさん
指摘ありがとうございます♪
修正しておきます+詳しいコメントありがとございます(´∇`)

>ムラカミさん
記事の紹介ありがとうございます★

>zenさん
補足コメント
細胞間のコミュニケーションの方式
書いてくれてありがとうございます。
返信する
コメント★ありがとう(゜Д゜)ノ ァィpart2 (サリオ★)
2007-11-02 00:47:26
>ニシヒデさん
そのことについては③で明らかになるポイントです。
楽しみにしておいてください。

>kawaixさん
参考コメントありがとうございます!
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