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4月29日なんでや劇場レポート(2)免疫細胞の起源

2008-05-10 20:32:49 | なんでや劇場
4/29(火)に開催されたなんでや劇場「生物史から学ぶ自然の摂理⑨ 免疫細胞の認識機能 ~知られざる膜タンパクの仕組み~」の「劇レポ」第2弾は免疫細胞の主力である「マクロファージ」「NK細胞」「T・B細胞」の起源は?をお送りします!!
・・・・既に5/3に一文字さん「るいネット」秀作投稿を引用しつつ紹介してくれていますので、今回は、彼らの記事をベースに、超素人の私なりの気付きや疑問点を書いてみたいと思います。
間違った理解や更なる補足がある人は、是非コメントくださいね

写真はマクロファージの先祖であるアメーバ細胞が活躍する「カイメン」です。


まず、いつものやつをお願いします
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ありがとうございます




>生まれた順は、①マクロファージ、②NK細胞、③T・B細胞。

この順番って、その背後で進行する生物進化とリンクさせて考えると各々の起源が理解しやすくなりますね。

①マクロファージ 
約6億年前(エディアカラ動物群)=多細胞化(殖産分化)し始めた時代
②NK細胞
約5.5億年前(カンブリア大爆発)=生体の変異が加速し、様々な生物が登場した時代
③T・B細胞>(神経系が発達した)脊椎動物で登場 
約4.7億年前=脊椎動物が登場し、運動機能の発達⇒神経系が発達した時代


>①マクロファージの起源は?
>殖産分化(多細胞化)の段階=エディアカラ動物群レベル(海綿動物)で登場。
>カイメンのマクロファージ(アメーバ細胞)は、死細胞や、エリ細胞から送られた栄養を摂取する。後に生殖細胞にもなる。
>⇒初期のマクロファージは、免疫細胞というより「栄養細胞=生殖原細胞」だった! (異物を排除することでなく、栄養を蓄えることが、貪食の目的だった。)

【気付き】
・単細胞時点では各々単体の生き物が分裂して増えたり死んだりするだけですが、多細胞化した瞬間に死んだ細胞や老廃物を処理する(排出する)必要性が生じますよね?

だから、体内に単細胞のままのアメーバ細胞(初期マクロファージ)を残したのでは?・・・アメーバ細胞は当然自らが生きるために餌を食います・・・これが後に「貪食細胞」に!

・しかも、驚くべきは、ただ食うだけではなく、「食う⇒栄養を蓄える⇒生殖細胞に変化する」機能を持たせることで、体細胞(多細胞)と生殖細胞(単細胞)の仲立ちも行っている。(まだ殖産分化が不十分)・・・極めて合理的なシステムってわけですね。

・ここで凄く大事なことは、「マクロファージは免疫細胞」という固定観念に縛られていては、この起源のもつ意味を見誤ってしまうということ!固定観念なしで事実追求し、仮説を組み立てていく思考法の重要性を痛感すると共に、可能性を感じました。

・そして、後の②の段階で生殖細胞が完全に分離してはじめて、このアメーバ細胞は、外敵を食う=免疫機能に特化することができたわけです。



>②NK(ナチュラルキラー)細胞の起源は?
>(体細胞と生殖細胞が専門分化した)有性生殖の推進段階=大変異システムの確立期(ex.ミミズやヒトデ)で登場
>⇒NK細胞は、大変異の過程で誕生した「変異細胞」そのものであった可能性が高い(一種のガン細胞で、たまたま適応的だった)!

【気付き】
・登場の背景として、体細胞と生殖細胞が専門分化し、体細胞から生殖細胞に戻る負担が取り除かれ、そのことで体細胞の変異が加速されたんですね。
(また、体細胞がキャッチした外圧情報を生殖細胞に伝達するシステムの確立も、環境外圧に応じて様々な変異体が出現した条件)

・ここで、変異にミスはつきもの。ミスによって偶然生まれ、ミスゆえに体細胞群に組み込まれず、体内で単独細胞として生きる道を獲得した(その危険な殺傷力が免疫細胞としてたまたま役に立った)のがNK細胞ではないか?

なにやら、20億年前に原核単細胞が、極めて危険で獰猛な好気性細菌(酸素大好き)や光合成生物(紫外線大好き)を取り込んだ頃を思い出しますね・・・一か八か敵を取り込み共生することで新たな機能(ミトコンドリアと葉緑体)を獲得したのと似てない?!
(因みに、現段階でNK細胞のような殺傷力を持つ原基構造を持つ単細胞生物は発見されておらず、従って、カンブリア大爆発による変異体である可能性は高いのだそう)

・③で登場するライバルである様々な細菌やウィルスも、同時期にカンブリア大爆発の最中に生まれた変異体である可能性が高い!



>③T細胞やB細胞の起源は?
>(神経系が発達した)脊椎動物で登場。
>神経細胞は、それを取り巻く絶縁体(シュワン細胞)や、末端では筋肉と密着する必要から、反発系膜タンパクを封鎖。
>→そのため、(脊椎動物の)変異促進で多発したウィルスや病原菌が、体細胞にくっつきやすくなる。
>⇒これらウィルスetc.を防御するために、T細胞・B細胞が誕生。
>→T・B細胞自身の変異促進がウィルス増殖を招き、それを防御するためT・B細胞をさらに変異させる必要が出てくる、という「イタチごっこ」に。

【気付き】
・この部分を理解するにはなんでや劇場前半の議論のおさらいが大事ですね。(たしょうさんの第1弾の記事に分かりやすく解説されています。)

「食べる」=「くっつく」
→免疫細胞も侵入者たる病原菌・ウィルスも相手にくっつき食べようとするのはお互い生き物として当然
自細胞同士は食べ合わないように反発因子(反発型膜タンパク)も持っている。⇒“着かず離れず”組織を形成。

・でっ、脊椎動物=運動能力の進化⇒神経系の進化⇒神経伝達スピードアップなどのために細胞間の密着度アップ⇒反発因子を封鎖

結果、敵である病原菌やウィルスもくっつきやすくなる。(運動機能と引き換えに弱点を抱えることに・・・)

おまけに、敵(原核細菌)は頻繁にDNAの組み替えを行っており、次から次へと新たなタイプが侵入してくる。

迎え撃つT・B細胞も変異機能に特化することで自らのDNAを組み替え(病原菌個別認識)

・・・敵も更に新種に変異し・・・互いの外圧に適応すべく変異合戦に・・・あぁ~きりがない→進化の袋小路=自滅構造に・・・

・また、これらウィルスや病原菌は、外からやってくるというイメージが強いですが、実は、我々人類も含む脊椎動物の体内で生み出されている(ex.鳥インフルエンザ)というのも気付きでした。

【疑問】
・病原菌は原核単細胞生物であり、変異しやすい構造であることは、既に過去のなんでや劇場で勉強しましたが、「ウィルス」ってやつはどのような存在?で、どこでどうやって変異体を生み出しているのか?この当たりも是非知りたいところです。


しかし・・・アメーバ単体⇒アメーバ細胞(栄養細胞兼生殖細胞)⇒マクロファージ(免疫細胞)の進化の経緯や、殺傷力の高いNK細胞の取り込みなど、逆境下において、現段階で使えそうな機能に先端可能性収束し、新たな統合状態に至るという共通のメカニズムが見て取れるあたりが非常に面白く、更に次回以降の展開が楽しみになりますね。

それでは、明日の第3弾をお楽しみに~  

Gen



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4 コメント

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初期マクロファージ (ニシヒデ)
2008-05-11 18:34:38
細かいかもしれませんが、「体内の死細胞や老廃物処理の必要性⇒初期マクロファージ」というよりは、「生殖細胞(栄養摂取細胞)の形成⇒初期マクロファージ」ではないでしょうか?

あくまでも生殖細胞を形成するための栄養摂取が主で、それが死細胞や老廃物の処理という形になっていたという感じで。

>そして、後の②の段階で生殖細胞が完全に分離してはじめて、このアメーバ細胞は、外敵を食う=免疫機能に特化することができたわけです。<

有性生殖を行う生物のマクロファージも、生殖細胞を形成する役割が分離されたという大きな変化はありますが、あくまでも栄養摂取(貪食)がベースであるように思います。
(∵外敵に限らず、相変わらず死細胞や老廃物処理も行うし、埃に対しても食作用がある)
返信する
Unknown (nom)
2008-05-12 12:44:31
なんでも食べてしまう→なんでも包摂してしまう→なんでも吸収する⇒なんでも貪欲に吸収する応望性や柔軟性、肯定性の高さは、このマクロファージ由来?ってな気もしてきました。
返信する
Unknown (G2)
2008-05-12 19:48:42
>「ウィルス」ってやつはどのような存在?で、どこでどうやって変異体を生み出しているのか?この当たりも是非知りたいところです。

ウイルスについては、るいネットの「ウィルス=大進化が生み出した生物の断片」http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=175514という投稿が参考になりますよ。この他にも「生物史から、自然の摂理を読み解く」ブログhttp://www.biological-j.net/blog/の中にも面白い投稿がたくさんあります。はまると結構面白い世界が待ってますよ
生物は
返信する
ありがとうございます (Gen)
2008-05-15 00:15:38
ニシヒデさん

突っ込みありがとうございます。あらためて考えてみました。

>細かいかもしれませんが、「体内の死細胞や老廃物処理の必要性⇒初期マクロファージ」というよりは、「生殖細胞(栄養摂取細胞)の形成⇒初期マクロファージ」ではないでしょうか?
>あくまでも生殖細胞を形成するための栄養摂取が主で、それが死細胞や老廃物の処理という形になっていたという感じで。

本文に貼り付けた図にもあるように、歴史的には多細胞化と殖産分化(体細胞と生殖細胞の分化)は同時(というかほぼ同義)ですよね。生殖細胞を専門分化させることによって多細胞化が可能になるわけですから。そして、カイメンはまさにその初期段階に登場した生物。
ということは、多細胞化に伴う死細胞等の処理の必要と、生殖細胞を形成するための栄養摂取の必要はほぼ同時に生じ、その両者を同時に満足するのが初期マクロファージ=アメーバ細胞の「食作用」なのではないかと思いました。その意味で、本文では「処理>生殖」といった軽重を特に意識はしていませんでした。
敢えてどちらが主かと問われれば、老廃物の処理よりは生殖細胞が主なのかなと思います。

>>そして、後の②の段階で生殖細胞が完全に分離してはじめて、このアメーバ細胞は、外敵を食う=免疫機能に特化することができたわけです。<
>有性生殖を行う生物のマクロファージも、生殖細胞を形成する役割が分離されたという大きな変化はありますが、あくまでも栄養摂取(貪食)がベースであるように思います。
(∵外敵に限らず、相変わらず死細胞や老廃物処理も行うし、埃に対しても食作用がある)

ですよね?上にも書いたようにアメーバ細胞の段階でも、「貪食」機能を使って栄養摂取と老廃物処理を行っていた。そして、後に生殖細胞としての負担が取り除かれたことで、「食う」機能に特化したということですよね?


nomさん

>なんでも食べてしまう→なんでも包摂してしまう→なんでも吸収する⇒なんでも貪欲に吸収する応望性や柔軟性、肯定性の高さは、このマクロファージ由来?ってな気もしてきました。

深いですねそして面白いですねキラー細胞の攻撃と異なり、マクロファージの食作用は、まさに包摂し、吸収する(包摂され、吸収される)仕組みであり、この作用が例えば真核細胞段階の酸素生物や光合成生物の取り込みを可能にしたことを考えると、まさに進化の前提にこうした応望性、柔軟性、肯定性が不可欠という気がしました。
まだぼんやりですが、確かに繋がっているような気がします。


G2さん

>ウイルスについては、るいネットの「ウィルス=大進化が生み出した生物の断片」という投稿が参考になりますよ。この他にも「生物史から、自然の摂理を読み解く」ブログの中にも面白い投稿がたくさんあります。はまると結構面白い世界が待ってますよ生物は

ありがとうございます
生物史のなんでや劇場では、毎回感動しています・・・あたかも何らかの意志が存在しているのか?と感じてしまうくらい精密に組み立てられたシステム。
ウィルスについても次回なん劇までに勉強しておきます
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