ブログ de なんで屋 @東京

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2月10日 なんでや劇場レポート①「オスとメスはどうやって決まるの?」

2008-02-16 23:58:42 | なんでや劇場

こんにちは!2/10は、なんでや劇場でしたね。この日のお題は、“生物史から学ぶ自然の摂理⑦ オスメスって、どうやって決まるの?2~変異と安定、どうなっているの?~”ということで、数回にわたって追求してきた「オス・メス分化」の総まとめでした。その模様を3回に渡ってお伝えしていきたいと思います。まず第一弾は、「オス・メスはどうやって決まるの?」についてお送りします。

まずは、いつもの、お願いしま~す。

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■多様な性決定メカニズム

我々人間は、男の子や女の子としての体(躯体)で生まれてきますよね。さらに、母親の胎内にいるときからもう男の子か女の子かは決まっていて、出産される方の中には、生まれる前にレントゲンで男の子か女の子かを確認する人もいます。なので、生物のオス・メスは、妊娠(受精)した段階から決まっているものだと僕なんかは思っていました。

でも、実ははっきりとオス・メスの躯体を持って生まれてくるようになったのは、生物史では、ごくごく最近の話なんです。オス・メスに分かれて最初のころの生物は、なんと!生まれてから「性転換」をしていたんです。

その生物の代表は、ちょっと前に映画化された『ファインディング・ニモ』で有名になったカクレクマノミです。カクレクマノミは、群れの中で身体の1番大きい個体がメスになり、2番目に大きい個体がオスになるんです。なので、もし群れのメスが死んだ場合は、2番目に大きかったオスがメスになり、3番目に大きかった個体がオスになります。(とすると、「ファインディング・ニモ」では、お母さんが死んでしまってお父さんがニモを育てるというお話ですが、実はお父さんはお母さんになってたんですね。)(詳しくは、「魚類の性転換の事例」「脊椎動物以前の生物はオス・メス固定度が低い」

その後、進化を勧めていくにつれて、卵から孵化する時の環境でオス・メスが決まる生物が誕生します。ワニやカメなんかがその一例です。孵化するときに温度が高かったらオス、低かったらメスという感じで、孵化するときの環境でオス・メスどちらにでもなるのです。(詳しくは「性決定のタイプ(両生類から哺乳類)」

ちなみに、人間のオス・メスは「性染色体」と呼ばれるものによって、生まれる前から決まってますが、それが決まるのは、だいたい妊娠8週目くらいで、それ以前は、どちらになるかは決まっていないんだそうです。

これを進化の過程をたどって振り返ってみると、だいたい次のような流れになります。

 雌雄同体型
   ↓(ここで躯体分化)
 性転換型(クマノミ等)
   ↓
 孵化時環境決定型(ワニ、カメ等)
   ↓
 遺伝子決定型(人間等)


■性決定の真犯人=造卵拘禁因子・造精拘禁因子

このように、性決定のメカニズムは極めて多様なのですが、共通点がありそうです。それを見ていくと、性決定の真犯人が分かりそうですね。

オス・メスは、受精後すぐに決定するわけではなく、何らかの要因によって後で決定されるという事がどうも共通しているようです。とすると、性が決定される前は、どちらにでもなれる可能性(機能)を持っているということになりますね。

そんな身体を、オスかメスかのどちらかにしようとすると、そのどちらかの機能を押え込んでしまうしかありませんよね。それが、「造卵拘禁因子、造精拘禁因子」というものです。名前は難しいですが、

・造卵拘禁因子・・・卵子を作らせなくする
・造精拘禁因子・・・精子を作らせなくする

という機能を持ったものです。つまり、

造卵拘禁因子が強くなる
→卵子を作れない
→オスになる

造精拘禁因子が強くなる
→精子を作れない
→メスになる

という感じでオス・メスが決定されるのです。造卵拘禁因子が強くなるか造精拘禁因子が強くなるかは、身体の大きさだったり、孵化時の環境だったり、遺伝子だったりで決まります。(詳しくは「躯体のオスメスってどうやって決まる?~第87回なんでや劇場より~」)

           

今回の部分の驚きは、やはり、「性決定の仕組みはこんなにいろいろあるのか!」ということ(しかも性転換までするなんて・・・)と、「そんな様々な性決定メカニズムにも共通点がある」ということでした。

でも、なんで生物は、雌雄同体から躯体分化する必要があったの?
そして、なんで、ほ乳類や人間は性染色体による性決定メカニズムになったの?
性染色体って何??
変異と安定ってどうなってるの???

このあたりは、次回以降のお楽しみで~す。


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1 コメント

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躯体分化の固定は (ニシヒデ)
2008-02-24 13:04:30
雌雄躯体分化の進化の流れを見ると、躯体分化の固定度を高めていっているように感じますね。

でも、今回のレポート②、③を見ていくと、躯体分化の固定が主目的ではなく、より変異可能性を確保して外圧に適応していくための進化であったことが分かりました☆
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