【コラム】人民元、グローバル通貨への最終段階へ 2016年6月30日 13時54分 中央日報
国際化発展過程で人民元は今、完全な兌換が可能で米ドルのように通用する「一般」通貨として定着するための「最終段階」に近づいている。
昨年12月、中国は他のいくつかの通貨に対する人民元の変動量を比較する新しい指数を発表し、人民元が今後ドルに固定されないことを強調した。5カ月前には市場で人民元の需要供給状況をより正確に反映するため、人民元-ドル固定為替レート制度に対する変更計画を発表した。今年10月1日に人民元は国際通貨基金(IMF)の特別引出権(SDR)に採用される。SDRで人民元より比率が大きい通貨は米ドルとユーロだけであり、これは人民元がすでに世界3大主要通貨になったことを示している。
人民元の国際化には2つの原動力がある。一つは中国当局が資本の流出入に対する規制緩和意志を見せているという点であり、もう一つは中国経済の持続的な成長だ。
ここ数年間、中国は外国の投資家に資本市場を開放してきた。2月には中国当局が外国の銀行、保険会社および年金ファンドなど中長期機関投資家に中国銀行間の債券市場の開放を拡大する政策を発表した。27日には中国内のウォン-人民元直取引が始まった。
人民元国際化の最終段階入りにおいて2番目の要素は中国経済だ。高度成長をしてきた中国経済はもう「正常」な速度で成長しつつあり、昨年は6.9%の成長率となった。成長の勢いはやや弱まったが、これは依然として高い数値だ。中国が最近発表した第13次5カ年計画は2020年まで年成長率6.5-7%を目標にしている。これはインフラ投資のための一帯一路政策、中国企業の海外市場進出努力とともに、グローバル貿易と投資で人民元の役割をさらに強化することになるだろう。
すでに中国貿易の約26%が人民元で決済されている。人民元貿易決済のための制度が2009年に始まったことを考えると、これは相当な発展といえる。いま人民元で決済される貿易の大部分は中国本土と香港の間の取引だ。中国の他の貿易国が中国との取引を人民元で決済し始める時、人民元国際化の次の段階が始まるだろう。域外市場の成長は、グローバル支払い決済から一般投資家のための投資商品にいたるまで人民元の使用を幅広く増進させる基盤になるため非常に重要だ。
中国と関係のない取引でも人民元が使用され始める時、人民元は広く通用する「一般」通貨として定着するだろう。
まだ前途は残っているが、人民元はすでに一般的に通用するグローバル通貨に向けた旅程の半分以上を終えたも同然だ。この人民元国際化の過程で韓国は目を引くほどの成果を出し、大きな役割をしている。人民元の国際化を推進することは韓国がアジアの金融ハブに発展するうえで独特かつ唯一の機会かもしれない。マーティン・トリコードHSBCコリア銀行長】
●アホノミクスどころではない 日本は自衛を急がなくてはならぬ
(GG:HSBCコリア銀行長の寄稿であることに注目すべきだ。おそらく英国のEU離脱も織り込んだ発言で、歴史のあるイギリスの最大級金融機関HSBCの本音だ。HSBCは、英国のEU離脱の陰ではAIIBに比重を移している。日本ではこんな議論が出てこない。ドル=アメリカ政府とFRB=に日銀や政府をはじめ大手メディアも完全に支配されているからだ。AIIBへの参加も鳩山由紀夫氏は準備しているらしいが日本政府や日銀はおと無しでシカトを決めつけている。韓国はこの記事で最後に「人民元の国際化を推進することは韓国がアジアの金融ハブに発展するうえで独特かつ唯一の機会かもしれない。」と指摘するように臨機応変だ。ここ数日英のEU離脱で為替が乱高下しており、いったんは治まったかに見えるが、今後の波及度合いに委ねられている。ドル基軸通貨圏の宿命だともいえよう。
ではどうするか?①内需主導経済志向に切り替えること②リスクヘッジのためドル一辺倒ではなく、元基軸経済にも軸足を半身移すこと③今からでも遅くはない。円基軸経済圏を準備してAIIBやBIS・ADBとそれぞれ補完的に為替のポートフォリオを組みつつ円を強化することーーが欠かせない。
日本がFRBに従属してドルを支える構造はすでに破綻の兆しが少なくなく、BISやグリーンスパンですら警鐘発言をあちこちで鳴らしている。戦後一貫してドルと核の傘で経済成長してきた日本だが世界は多極化し、BRICsの隆盛の中で戦後のアメリカという覇権国家が綻びを見せ始めた。BRICsも原油の値下がりの煽りを受け直進発展ではなくなっている。
最近ニュースにされないがアメリカの財政の崖は今でも厳然と存在し、10月が近づけば再び紙面を賑わすだろう。現在のFRBの処方箋も財政の崖を念頭に置いた金融政策なのだ。おそらくジャンク債から始まる債権の格付け引き下げ→米国債の引き下げ=金融破綻の綻びの激化。これを防ぐためにFRBはいち早くQEから抜け出し、ドルを比較強化して備えようとしている。FRBは日欧の金融を緩和しジャブジャブマネーにして日欧の国債を毀損させ、経済を犠牲にして自国=ドルを比較強化しようとしている。そこにきて英のEU離脱と言うアクシデントが起きた。これはドルへの信認とはたらくが、米経済にもダメージだ。
HSBCコリア銀行長の議論に倣って、幅広く議論すべきだ。アベノミクスなどとすでに破綻した議論にシガミツイテ強弁している暇はないのだから。
時あたかも韓国の洪起沢AIIB副総裁が就任4カ月で突然休職した。辞任するだろうとの観測が後を絶たない。まだ決定的な休職の理由はわからない。後任はすぐには決まらないだろう。しばらく空席にして後釜を競わせて中国はここでも主導権を握るだろう。意外にアメリカ・日本のために空けてあるのかもしれない)