【姉妹楽園】本気パンチ受けてみる?(1)
ゴスッ!
強烈なボディーブローが、男の腹部に叩き込まれる。
えりかの豪腕が、男の体を宙に浮かせる。背中を丸めた体勢で、マットへと落下する男。
ピクピクと痙攣し、そのまま動かなくなる。
「また1発で終わり?ほんっとにおにーさん達、弱いねー♪」
えりかは、隣に住むタダノがここの部員達にイジメられたという噂を聞いて仕返しにやってきたのだ。
ガキ相手に遊んでやるかと、最初にえりかをリングに上げた部員は床に這いつくばったまま動かない。
次にえりかと対峙した部員は、同じく床の上で仰向けになり、頬を腫らしてうつろな目で天井を見上げている。
イジメに加担したと思われる部員達は、幼い少女の鉄拳制裁によりほぼ壊滅状態。
「次は、おにーさんね?……えりかのパンチ、まだ誰も耐えれてないんだけど?おにーさんは、どうかな?」
えりかは笑顔を浮かべ、右拳を握り締めながら男に近づく。
【姉妹楽園】本気パンチ受けてみる?(2)
「ひいいいっ!」
唸りを上げて、えりかのストレートが男の腹部をかすめる。
凄まじい風圧が、男の横腹を薙ぐ。信じられない速度だ。
男の視界に、先ほどえりかに腹を抉られ、床で吐瀉物を撒き散らし悶絶している部員が写る。
コーナーに追い詰められる。恐怖のあまり、腰が引ける。
「そんなに頭を下げていいの?殴っちゃうよ?顔♪」
次の瞬間、えりかの拳が男の顔面を正面から捉えた。
バキィッ!
強烈な音を立てて、男の頭部がコーナーポストに文字通り突き刺さる。
【姉妹楽園】本気パンチ受けてみる?(3)
「どうしたの?次は?」
えりかが、リング外にいる部員達を見回す。皆、視線を下に向け、沈黙している。
「くすくす、えりか、まだ本気出してないんだけどなー」
えりかが、リングを降りる。そして、傍に設置されているサンドバックへと向かう。
「えりかの本気パンチ、見せてあげようか?」
そう言って、えりかは右腕を、まるで弓の弦を引き伸ばすように、後方へ引いた。
力を溜めている腕が、ぷるぷると震える。拳が握り込まれる。
そして、その溜め込んだ力を一気に解放する。鬼神の如き力と速度を備えた鉄拳が、サンドバックに撃ち込まれる。
ドゴオンッ!
サンドバックが、ひしゃげた。くの字に曲がり、天井から吊り下げられているチェーンが軋み、切れる。
支えを失ったサンドバックが、凄まじい速度で壁に叩きつけられる。
【姉妹楽園】本気パンチ受けてみる?(4)
床に転がったサンドバックを踏みつけながら、えりかがガッツポーズを取る。
「このパンチ、誰か受けてくれない?一回でいいから、本気で誰かを殴ってみたいんだよね~♪」
部員達は皆、呆然としている。サンドバックを吹き飛ばすパンチ?そんなものを食らったら無事で済むわけが無い。
確実に壊れる。潰される……。
「おにーさん、どう?」
えりかが、一番近い部員に、笑いかける。
「ひ、ひいいいい!ゆ、許して……」
土下座して平伏する部員達……。