短歌blog往来

ながらみ書房によるブログです。

短歌往来2008年5月号

2008年04月15日 | 短歌往来
[特集]
辺境の歌―十津川・熊野
追悼―菱川善夫

巻頭作品――坂井修一  特別作品――内藤明+小川佳世子
評論――間ルリ  自然を詠む・撮る・描く――末安美保子
連載――今野寿美・平山良明・福島泰樹

作品=小黒世茂+江戸雪 +黒木三千代+小林幸子+角宮悦子+武市房子+美濃和哥+岸本節子+五十嵐順子+佐藤千代子+金藤洋子

表紙写真提供/十津川村役場観光課 増谷良一

小関祐子歌集『Sein(ザイン)』

2008年04月12日 | 新刊歌集・歌書
 小関祐子第二歌集。


 異種としてこの子も袂を分かつのか紋のかはりし都市の山繭

 シングルマザーとしての生を選んだ作者に、
 否応もなく追ってくる子別れの時間。
 暗喩のなかに「愛」の重層生を秘めながら詠う
 母の絶唱。

             

諸貫信子歌集『起』

2008年04月12日 | 新刊歌集・歌書
 諸貫信子第一歌集。


 庭草を分けて生ひたる苧環のさみどりの葉におよぶ春風
 交々に優しき娘らに手をとられ転ぶまいぞと藤波小径

 諸貫さんの歌には、独特の明るさと透明感がある。
 本歌集には、家族の歌、旅の歌、日々の生活の中の
 折々の歌等、さまざまな作がおさめられているが、
 全体の底を流れるのは、明るさと透明感だ。それは、
 諸貫さんの歌の師・伊藤嘉夫先生の歌風にどこか通うものがある。

               ―佐佐木幸綱―


佐々木艶子歌集『椿の社』

2008年04月12日 | 新刊歌集・歌書
 佐々木艶子第二歌集。

 作者の前に花がある。
 行くところにも花がある。
 花は季節の案内であり、
 作者のくらしや人生の指針でもある。
 歌は花によって結ばれる。
 こんなにも
 花に重みを持たせた歌集を
 私は知らない。

         ―岩田正―