短歌blog往来

ながらみ書房によるブログです。

片岡直子歌集『夕焼け曼荼羅』

2008年10月25日 | 新刊歌集・歌書
曼陀羅を広げて見つむ人間が地蔵になれるまでのこの道

あの世を幻視してこの世を直視する。仏となるまでの異次元の世界を往還する。「この道」には、夕焼けのあざやかにまぶしくそそいでいる光景を想像してみるとよい。(解説より)

46版3首組2625円税込

柳原白蓮歌集『踏繪』復刻版

2008年10月17日 | 新刊歌集・歌書
  幾億の生命の末に生まれたる二つの心そと並びけり

 『踏繪』は柳原白蓮が最初に出した歌集で、若き白連の告白的短歌の結晶といわれ、大正4年3月に竹柏会より出版されました。「白連は藤原の女なり。」で始まる序章は佐佐木信綱、装丁は竹下夢二による物です。
 このたび初版本を復刻致しました。

46版変形
本体価格1500円(税込)

尾崎朗子歌集『蝉観音』

2008年10月17日 | 新刊歌集・歌書
何もいはず君を背より抱いてゐる
つめたい寒天培地のわたし  尾崎朗子

恋のなかに浮かび上がる作者の自画像には、何か痛いような悲しみと不思議に肉感的な凄みが混在していてどれも忘れがたい。
米川千嘉子


46版2625円(税込)

植山俊宏歌集『魚政の親父』

2008年10月17日 | 新刊歌集・歌書
寒の戻りマウスの動き快調なりここにも
春を望まぬがあり  植山俊夫


春なんて来ない方がいい。
寒さ好きの自分に、思わぬ見方を発見したのだ。
温度に関係してマウスに快調不調がある、なんていうことがあるのだろうか。
ないのだろうと思う。だから、一首が立つのである。

佐佐木幸綱


46版2625円(税込)



長谷川育枝歌集『鷹之巣』

2008年10月17日 | 新刊歌集・歌書
朴の花咲いてゐるのか
確かめに行きたる夫の帰りが遅い


しばらく教職にあった。結婚してからもその家庭は平穏だったようだ。
そんな履歴が示すように作者は人生を穏やかに過ごした老いを迎えた。
その歌もまた予定調和的な秩序を保った穏やかな作品が多い。

米口實

A5版2625円(税込)

佐古良男歌集『聖日本樹』

2008年10月16日 | 新刊歌集・歌書
薄暗い心のパティオに立つ、短歌という一本の樹。
かぎりなく聖性に満ちたその樹に、剣のごとき言葉と孤高のしらべとをもって真向かう。
あらたな詩の時空を、世界の叫びを呼び込んでやまぬ。

A五版2625円(税込)

松谷東一郎歌集『刧初の光』

2008年10月16日 | 新刊歌集・歌書
第一線で奮闘する銀行マンの還暦前後がここには歌われているが、その悲喜こもごもが思い切った修辞に支えられているところに特色がある。
生きる事には切なさが伴うが、それでもやはり暮らしは愛おしい。
そんな自明を歌に説得力にした一冊である。

三枝昂之