気ままに

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シルクスクリーン 写真製版 ジアゾ感光乳剤の化学

2014年08月11日 | 製版

ジアゾ感光乳剤とはどのようなものか調べてみました。

代表的なものは、ジアゾ樹脂、PVA(ポパール)、酢酸ビニルエマルジョンから構成されています。
ジアゾニウム塩は、R-N≡N X の構造を持つ化合物で、光で分解してラジカルを生成し、水酸基 (-OH) と反応します。ジアゾ基を複数もつジアゾ樹脂と PVA が反応し、三次元構造をもつ水に不溶の樹脂になります。

ジアゾ樹脂の1つとして、p-ジアゾジフェニルアミンとホルムアルデヒドとの縮合物が上げられます。千葉大学の先生が書かれた日本写真学会誌の報文から引用します。


酢酸ビニルエマルジョンは、接着剤として使われ、代表的なものがコニシ木工用ボンドです。
酢酸ビニルを鹸化(加水分解)すると PVA になり、PVA はこの工程で製造されます。
すべての酢酸基 (-COOCH3) を水酸基 (-OH) に置き換えたものを完全鹸化 PVA、酢酸基を一部残したものを部分鹸化 PVA と言います。電気化学工業のサイトより引用します。

完全鹸化 PVA は、水溶性です。部分鹸化 PVA は、鹸化度が高ければ水溶性ですが、鹸化度が低いと水に不溶性です。

酢酸ビニルエマルジョンが塗布され乾燥すると、連続皮膜を作らないかと危惧しますが、水溶性樹脂に囲まれた中では連続皮膜が形成されず、感光部分でPVA が三次元化していく中で混和され強靭な皮膜をつくるのだと思います。酢酸ビニルエマルジョンを配合する目的は、形成された皮膜の改質かと思います。

以上は推察で、市販のジアゾ感光乳剤がこのような配合かは分かりません。