看護師の中では常識とされていることも、
改めて聞かれると説明に戸惑ったり、
気になるけど忙しくて調べるひまがない様なことを
ご紹介していきます。
看護師の方もそうでない方もお役に立ててもらえたら
嬉しいです。
今回は【麻疹(はしか)】についてです。
愛知県で麻疹(はしか)の感染が拡大している、という
ニュースがありました。
感染者は今年の3月以降、沖縄県の90人をはじめ
全国で123人に拡大しており、4月25日の78人から
10日余りで45人も増加しているそうです。
(FNNニュースより)
大人が麻疹(はしか)にかかると危険!とか、
予防接種は受けていない場合は受けた方がいい、
とかいろいろ聞き不安がつのるので、
少し整理してみます。
【麻疹(はしか)とは】
国立感染症研究所によると、
麻疹(はしか)とは
「麻疹ウイルスによっておこる感染症」で、
人から人へと感染します。
感染経路としては空気(飛沫核)感染のほか、
飛沫や接触感染など様々な経路があります。
感染力はきわめて強く、麻疹(はしか)の免疫
がない集団に1人の発症者がいたとすると、
12~14人の人が感染するとされています。
不顕性感染(感染はしても発症しない=症状がでない)
はほとんどなく、感染した90%以上の人が発症します。
発症した人が周囲に感染させる期間は、
症状が出現する1日前(発疹出現の3~5日前)から
発疹出現後4~5日目くらいまでで、
学校は解熱後3日を経過するまで出席停止と
なっています。
【麻疹(はしか)の症状】
麻疹ウイルスに感染すると、10日から12日の
潜伏期間を経て、発熱、咳などを伴い発症します。
38度前後の発熱が2~4日間続き、倦怠感、
咳・鼻水などの上気道の炎症症状、結膜炎症状
が続きます。
乳幼児では下痢・腹痛などの消化器症状をおこす
こともあります。
この段階で特徴となる「コップリック斑」
(口腔内の頬の裏側に白色の小さな斑点)
が現れます。
その後、再び発熱するとともに鮮紅色の発疹が
体表全体に現れ、発疹・発熱や上気道の症状、
結膜炎はひどくなりますが、これらの状態が
3~4日続いた後解熱し、症状は軽快していきます。
合併症のないかぎり7~10日後には主症状は
回復しますが、免疫力が低下しているため、
他の感染症に罹ると重症になりやすく、
また体力などが戻って来るまでに結局1ヶ月位を
要することが珍しくありません。
【麻疹(はしか)の合併症について】
全体の約30%が合併症を引き起こすと
言われています。
最も多い合併症は肺炎ですが、比較的頻度の高い
合併症として中耳炎などがあります。
中耳炎を起こすと難聴になることもあります。
そのほか、頻度は高くないものの脳炎を合併
することもあります。
また、心筋炎、クループ症候群(喉頭の炎症に
より、犬の吠えるような咳や、声のかすれ、
吸気性喘鳴、呼吸困難などの症状を示す)など、
麻疹にかかった数年後に発生する亜急性硬化性脳症等
の中枢神経疾患があります。
【麻疹(はしか)の予防法】
麻疹(はしか)は、マスク、手洗いやうがいなど
では予防できません。
唯一の予防法は、ワクチン接種によって
麻疹(はしか)に対する免疫をあらかじめ
獲得しておくことです
(ただし、妊婦のワクチン接種は避けてください)。
そして、人混みの多い場所を避け、
予防接種前にはしかに感染している、あるいは
感染の可能性がある人に接触してしまったときは、
保健所あるいは病院に電話で連絡をして事前に
指示を仰ぎ、相談しに行きましょう。
※看護師.omusub.com