シンガー『ナターシャ』のブログ

関西・東京・名古屋・広島、そして台湾もグローバルに歌うシンガーソングライター、jazzシンガーナターシャのブログです

パッチアダムス

2008-09-16 | 近況・イベント
先週末、パッチアダムス講演会に行ってきました。映画「パッチアダムス」のモデルとなった医師・ホスピタルクラウンであるパッチさんです。

帰り「彼と私は同じ人間という種類なのか・・」とある意味ショックを感じました。別に彼と同じことができない自分を責めるわけではなくって、単純に同じ人間でああやって生きている人がいるなんて・・という「すごいなあ」を通りこした「ショック」という意味です。

彼は「ケアする喜び」ということを中心にお話しました。彼はケアすることが大好きな理由の一番最初が I love people!! 人がすき・・エレベーターの中で価値観の全く違う人同士、例えば喫煙者vs禁煙者、がたくさん居るところに入ってみたい。考えただけでワクワクするって言ってました。また、エレベーターで乗り合わせた人が悲しそうだった。ふつうならお尻を向けて見なかったことにするでしょうが、彼は目を合わせてとりあえず「にこ~」っとする・・とジェスチャーでやってくれました。

単純にすごいなあって最初からぶっとばされました。

彼は送られてきた手紙全てにお返事を書いているそうです。こうやって日本講演を行うと、またたくさん日本から送られてくるんだよね。宝物が増える・・と嬉しそうでした。そんなに忙しいのにすごいよな・・て思うけれど、彼は超多忙の為、ほとんど寝ないで生きていく術を身につけたそうです。

今回パッチのお話を聞いて、彼の理想とする病院がまだできていないということにびっくりしました。というのも映画では最後に完成したかのように描かれていたからです。そのことは会場で買った本に書かれていました。

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「ケアすること、愛すること」パッチアダムス 晩成書房 

実は映画の本編の後に流れる短いメッセージで「彼は資金面の協力が欲しい」というのを流したかった。しかし、映画を製作したユニバーサルスタジオはそれを許さず、その代わりに彼らはあたかも病院ができあがったようなメッセージをつけた。

あの映画の興行成績は3億ドル。でも映画関係者は誰一人病院建設のために資金を提供してくれてはいないし、ロビンウイリアムズも2100万ドルのギャラをもらったのに私には50ドルもくれません(笑)

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彼の理想とする夢の病院「ゲズントハイト」が、もし今の医療制度の中、色々な代替医療を取り入れたり、治療にアートや園芸などを入れるだけの病院であればおそらくもっと資金もすぐに集まったのではないかと思います。

彼は元々医療を通じて社会を変えたいと思い医学部に入りました。「今の社会は人を思いやる社会ではない。医療を通じてそれをいかに変えられるかを探りたい」という思いで。しかし、アメリカでは医療はビジネスであり今でも5000万人が貧しいというだけで医療を受けられない。

卒業後、医師となってから彼は診療に対するお金を一切とらず、医療保険を使うこともしません。保険を使うと効率のいい医療が求められ、ああしろこうしろと指示されるから。彼は自分の家を地域に開放した家と病院にしたのです。患者も家族もその家にやってきて、彼の家族とスタッフと共に生活するのです。それも6ベッドルームの家です。スタッフと家族だけで10人以上居るのに。つまり、病院に行く感覚ではなく友達を訪ねていく感覚なのです。

この自宅で病院を診察した12年間、アメリカ中世界中から15000人がやってきて治療を受けた。でも12年間、個人も組織も支援しようと名乗りでてくれなかった。

彼の考える医療は急進的であり、社会全体を変えようとしている動きであるから、人々は支援することをためらうのでしょう。

実際、私も一切の治療費を受け取らない、保険会社とも関わらないと聞いてびっくりしました。彼はその診療所を泣く泣く閉め、病院建設の為それ以来20年以上世界中を講演やワークショップ、パフォーマンスをして回り、そして寄付をよびかけています。病院建設を目指して30年以上経った今、ようやく土地購入のめどがたったのです。

でもバッチは言います。
「理想の病院をつくりたいと思ったとき私は4年もあれば病院は建つだろうと思っていました。今年は32年目(2002年時点)でも皆さんにお伝えしたい大事なメッセージがあります。今の社会を根本から全く違ったものをつくりたいと思うとき、旅路は長いかもしれません。でもその旅路を皆さんに楽しんでもらいたいのです。これができない、あれができないと不満を言うのではなく、今の変革に向けての道に喜びを見出してほしいと思います。」

つづく

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