<私たちが診療効率より優先したこと>
日本の一般的な歯科医院の診察室は、ユニット(診療台)が並列されて、パーテーション(衝立)で仕切られ、歯科医師やスタッフがユニット間を平行に行き来して治療にあたる・・・1970年代から始まったこのシステムは診療の効率化と少ない面積で多くのユニットを設置できる利点から多くの歯科医院で採用され現在も主流のスタイルになっています。当医院でも開業時にこのシステムを採用し現在に至ります。(開業5年目には完全個室のユニットを増設し、主にメインテナンスの患者さんに使用しています)
狭いスペースを広く見せることができ、全体を見渡せるので、診療室の状況が把握しやすい反面、プライバシーへの配慮、例えば、聞かれたくない内容の話の最中に背後から他の患者さんが通っていく、ゆっくり話したいのに人の出入りが多く落ち着かない等の問題や、患者さんと医療従事者が交差することによる感染リスクについてはあまり考慮されていません。
今回、最新ユニットへの入れ替えにあたり、私たちが考えたこと、それは「今よりも安全・安心な環境」で「もっとリラックスした中で口の事だけでなく、体全体の事、生活習慣や生活環境、家族の事、悩んでいること、何でも話してほしい」という想いでした。
個室・動線分離の診療システムを歯科医院専門の設計士に依頼、「出来るだけ圧迫感の無い空間づくり」をお願いし、何度も打ち合わせを重ね、ミリ単位で機材の設置場所を決め、什器(家具)の材質を選定しました。
以前に比べ、多少の狭さや圧迫感は感じますが、私たちの想いをご理解いただけたら幸いです。新栄町歯科医院は「地域の方に最初に選ばれる歯科医院」そして「最後のかかりつけ歯科医院」となるようにこれからも努力していきます。
二〇一三年 九月