眺めのいい部屋

人、映画、本・・・記憶の小箱の中身を文字に直す作業をしています。

『ガールズ&パンツァー 劇場版』

2016-05-18 17:58:54 | 映画・本

こんなに長くなると思ってなかった「ひとこと感想」その12。

 メモには、「若い友人も来てた~(笑)」とだけ(^^;。

そもそも私がこのアニメを観にいったのは、以前彼が、「SHIROBAKO」というTVアニメを見せてくれたのが発端だった。それぞれ異なる職種を目指してアニメ業界で夢を追いかける、若い女性たちが主人公のそのTVシリーズは、私にはとても新鮮で、最後まで楽しんで観ることができた。

「あのときの監督さんが今度劇場版アニメ作るんだけど、観にいかない? ま、中身は女の子が戦車乗るハナシなんだけど(笑)」
「・・・あの(本物の)戦車なの?」
「うん。ヒコーキが好きな人に戦車っていうのもナンなんだけど・・・話の設定が、最初からそーなってるの。学園モノなんだけど、そこでは『淑女のたしなみとしては、華道、茶道、戦車道~』なんだよね」
「はぁ・・・(エライことになった(^^;)」

でも、そこまでトンデモな設定ということは、もうファンタジーってコトだから・・・と、少しは好奇心も湧いてきて、「戦車」などという(私にとっては)シリアスに恐ろしい戦争道具?を、よりにもよって「女子高生の部活動」に使うという不謹慎さ(というか、要するに「違和感」)は一旦棚上げにして、取りあえず観にいってみたら・・・

結論から言うと、「ガルパン」(と呼ぶらしい)はアニメとして普通に面白かった。以前に観た『映画 けいおん!』にちょっと似ていて、さまざまな個性を持つ女の子たちはそれぞれとても仲が良くて、いわゆる女同士の陰湿さ?など微塵も感じさせない。絵柄も過剰なデフォルメはなく、ごく普通の女の子たち(可愛いけど)を描こうとしているのが分かる。

「戦車」を動かすのはあんなに簡単じゃない・・・なんて言っても始まらない。そもそもアニメになった段階から既に、一切合財「作り事(ウソッパチ~)」なわけで、それは「けいおん!」で「親が全然出てこない」とか、「思いつきで外国旅行ができるほど金持ちの娘ばかりなのか」とか言っても、ピントがズレてるのと同じこと(大分違うけど(^^;)。

バトル(部活動だから「試合」)で相当なダメージを受けても、女の子たちは大したケガはしないし、戦車自体もピッとアタマに白旗が(自動的に)立つだけで、「戦闘不能」として試合からは外れる。確かにある種のスポーツ(武道?)のような感じにも見える。実在の街(茨城県大洗町)が舞台のように見えても、なにせ「学園」が丸ごと艦船に乗ってるくらいだし、世界観がファンタジーで「あり得ない」ことばかりなので、いちいち引っかかっていても仕方ないのはすぐわかる。

但し「戦車」はどれも、とてもリアルな絵(らしい。私にはわからない)で、走る際の動き方も現実感があって(こちらはちょっとわかる)・・・なのに女の子たちが乗っていても違和感が無い(観てるうちに慣れちゃうのかも)。 

というわけで、結局私はこのトンデモな女子高生成長物語を、わくわくしながら最後まで観ていた。 最初は「こんなことあり得な~い」と言わずにいるガマン大会(と、もう一人の若い友人は言った(^^;)だったのが、あっという間に「普通に楽しいアニメーション」になったのは、私にとってはかなり不思議な体験だった。

最近、日本の若い人たちのポップ・カルチャー(適当な言葉を知らない)に類するコトに出会うたび、私は日本の文化について色々考えさせられる。

たとえば、アニメーションの技術の高さやその独特の繊細さ、さまざまな場面で口にされる「カワイイ」という感覚、誰もが「絵」や「文章」を日常的にかいている風景、「アイドル」と呼ばれる人たちの活躍(ベビーメタル~♪)、ライトノベル業界?から輩出される、力量のある「小説家」たち・・・それらを私は日本の文化と感じているので、こういうアニメーションを観た後も、若い人たちと、ささやかな「文化論」をお互いに交わすことになる。

今回の「ガルパン」体験は、私のアタマの中をかなりかき混ぜてくれたことの一つだった。(その後、若い友人がTV版の方をレンタルで探してきて、2日がかりで12話分と、さらにスピンオフ作品(「アンツィオ」)まで、みんなで観た(^^))

私は、自分のことを既に「オバアサン 」だと思っている。昔から、年を取ることを特にイヤだとも思わない。(不便なコトは増えるけど。) 長生きしたいとも思っていない。(そもそも今が、幸運にも「オプションとして与えられた」時間という気が、本気でしている。)

けれど「文化」についてだけは、自分が老いていく一方なのは嫌だとはっきり感じている・・・らしい。(自分より若い世代の文章は読む気になれない・・・とか言いたくない。)

幸い若い人たちが身近にいるので、こういう「アタマの中をかき混ぜる」体験も出来る。私はそれを本気で喜んでいるのだと思う。




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2 コメント

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すっかり遅くなりました。 (ヤマ)
2016-08-05 21:44:09
ムーマさん、こんにちは。

 先の拙サイトの更新で、こちらの頁をいつもの直リンクに拝借しております。報告とお礼に参上するのがすっかり遅くなり、失礼しました。

 >けれど「文化」についてだけは、自分が老いていく一方なのは嫌だとはっきり感じている

 オバアサンなんかじゃありませんよ!見上げたものです。僕なんかとは対照的で、大いに感心。僕も日記の冒頭に書いたように「軽くカルチャーショックを受けた」わけですから、「アタマの中をかなりかき混ぜてくれた」んですけど、「少々気持ちが悪くなった」と「私はそれを本気で喜んでいる」の差って、天地ほどに開きがあって大きいですよね。

 どうもありがとうございました。
(TV版の12話分と、さらにスピンオフ作品まで全部観るとまた違ってくるのかな?(笑))
返信する
いつもありがとうございます(^^) (ムーマ)
2016-08-05 23:55:46
>ヤマさ~ん

私は多分、オタク人種の一員ではある(らしい)のに
「オタクオンチ」なヒトなんだろーな~と(^^;。
だから、ソモソモこういう(美少女オタ+ミリオタ)?作品を観ても
「日本製アニメーション」の一つとしか思わないんです(本当)。

で、アニメーションは(どんなのでも)基本的には好きなので
気持ち悪くならないんでしょうね、きっと。
絵もイヤ味が無くて可愛いし(^^)。

最初は「戦車」と聞いてドギモを抜かれたんですが
たまにTVで、軍隊を行進させたりして嬉しそうにしてる権力者層の顔見たりすると
「泣かんとよう遊んどるなあ」(その昔田辺聖子がどこかで書いてたセリフ)
って気がすることもあるし・・・

で、それくらいなら、女の子乗せて「部活動」としてバトルさせるくらいの方が
平和的なだけ、まだマシなんやないかなあ・・・とか。

でも、ヤマさんはTV版とかスピンオフとか全部観たとしても
感想あんまり変わらないと(私は)思います。
「少々気持ち悪い」が「少々うんざりした・・・」に変わるくらいじゃないかな~(^^;。

同性の方が単純素朴にキャッキャ言って、笑ってみてられるのかも。
ファンタジーというなら、まさにファンタジーなので
そういう意味でも、案外私の好みに合ってたのかもしれません(^^)。
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