マダム・クニコの映画解体新書

コピーライターが、現代思想とフェミニズムの視点で分析する、ひと味違う映画評。ネタバレ注意!

リリーのすべて/他者との関係

2016-02-09 | 映画分析
2015年、イギリス、トム・フーバー監督 夫婦愛というか、人間愛というか、究極の愛というか? 夫が女性として生きたいと願った時、妻はすべてを受け入れる…。 今から80年以上前、命をかけて世界初の性別適合手術に踏み切った"リリー"という女性の実話に基づく物語。 先日、タイでニューハーフショーの鑑賞を初体験したばかり。 余りにも美しくエレガントな彼女たちに、すっかり魅せられてしまった。 興 . . . 本文を読む

ヴィオレット/光と影

2016-02-04 | 映画分析
2013年、フランス、マルタン・プロヴォ監督 観ていてしんどい。 だが、監督の狙いはそこにある。観客が共感を得られない主人公こそ、最高の華なのだ。 ゴツゴツとひっかかって、考え込ませる作品、映画好きにはたまらない。 1946年にデビューした実在の作家ヴィオレットは、私生児で不美人。もてないし、貧乏で、性格も悪い。 母を憎み、自分を嫌い、世間を恨み続けている。 対して、流行作家のポーヴォワー . . . 本文を読む