日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

名勝負10選 - 第3試合

2017-08-09 22:13:57 | 野球
今季の地方大会を振り返る名勝負10選、第3試合は無名校、より直截にいえば弱小校の話題です。
大竹、梼原、八代を始めとする無名校の躍進は、今季を象徴する出来事だと繰り返し申してきました。それとともに賞賛すべきこととして、不祥事による出場辞退が一件もなかったことが挙げられます。年によってはこの手の不始末が立て続けに起こるものです。酒、煙草程度ならまだしも、窃盗、恐喝などというあるまじき行いによる辞退が出た年もありました。それだけに、全てのチームが欠けることなく揃ったのはまことに喜ばしいものがあります。しかし残念ながら、初戦を飾ったにもかかわらず、次戦に臨むことなく去らなければならなかったチームが一つだけありました。それが本日取り上げる富山高専射水です。
高専が高校野球に参戦していることを、どれだけの人々が認知しているのでしょうか。半ば蔑ろにされているのは、高専という教育機関自体の知名度の低さに加え、高専のほとんどが初戦、あるいは二戦目あたりで姿を消す弱小校であることによるところが大きいのでしょう。改めて紹介すると、富山高専射水は旧富山商船高専が国立高専の再編により統合されて発足したもので、統合相手の富山高専本郷と区別するためこの名称が使われています。現存する4校を含め、高専の中でもとりわけ風変わりな商船高専ではありますが、その多くは旧制中学と比べても遜色ない伝統を持ち、海運華やかなりし頃はかなりの名門とされていたようです。
しかし、伝統とは裏腹に高校野球界では全くの無名で、公式戦では何年も未勝利のところが少なくありません。富山高専射水もご多分に漏れず、本大会を迎えるまでは6年にわたって19連敗中でした。ところが今回、春季県大会で8強入りしたシード校の高岡向陵を破り、ついに連敗を止めたのです。旧電波高専の流れを汲む熊本高専熊本も、同じく6年ぶりの勝利によって連敗を18で阻止しました。富山高専射水は、選手不足による出場辞退によって次戦には進めず、熊本高専熊本も二戦目で敗れはしたものの、変わり種の両校が意地を見せた大会となりました。
この1勝の価値を一層高めているのが、両校が連敗の間も秋、春、夏と欠かすことなく全大会に単独出場してきたことです。少子高齢化によって高校の統廃合が進み、残ったところも単独出場が難しくなって、北海道を筆頭に年々チーム数が減っていく中、負けても負けても挑み続ける不屈の精神にはそれだけで価値があり、その中で挙げた1勝にはなおさら価値が出てきます。その栄誉を讃えるべく、僭越ながら名勝負10選の一つに挙げた次第です。

★富山大会2回戦(7/17)
 富山高専射水4-2高岡向陵
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