日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

汽車旅in信越 2012初冬

2012-12-15 10:36:00 | MOS
この展開を予想できた方はいらっしゃったでしょうか。安茂里で降りたのはMOSに寄るためでした。昔ながらの赤看板を掲げる長野安茂里店を訪ねます。
この店でまず目を引くのは、高さ何mあるのかと思うような、鉄板で作られた箱形の巨大な看板です。道路沿いに建てられた看板には、赤地に白抜きのMマークとモスバーガーのロゴが描かれ、ご多分に漏れず長年の雨風にさらされて色褪せています。それとともに、店舗の赤看板もすっかり色褪せていて少々痛々しげです。しかし、そんな店舗にこそ、現代の無味乾燥な店舗にはない個性と味わいがあるものなのです。
建物は看板と同様大柄です。広い間口へ向かってまっすぐ屋根が下り、その頂点から一段下がったところを始点に、裏手へ向かってもう片方の屋根が緩やかな傾斜で下りるというのが、この店のおおよその外観になります。正面の屋根は庇のように張り出して、その下にはかなり広めのテラス席が。周囲はプランターと鉢植えで飾られ、「緑モス」などよりこちらの方がよほど緑に囲まれたよい店舗といえるでしょう。しかも遠目に見ると、屋根から樹木が飛び出しているようにも見え、これは一体どうしたことかと不思議に思えます。近づいて確認すると、間口の広い建物の中央が、実は凹型に奥まっており、そのスペースが中庭になっています。屋根から飛び出しているように見えたのは、その中庭に植えられた木だったのです。全国広しといえども、中庭を備えたMOSが他にあったでしょうか。この演出にはしてやられたと脱帽するほかありませんでした。
店内は看板同様年季が入ってはいるものの、天然木で造られたカウンターとパーティションはよい具合に古びています。これが最近横行している安い化粧板なら、時が経てば経つほど小汚くなるだけです。真っ当に造ったものは時間の経過に応じた味わいを放つということを、この店舗が教えてくれているかのようです。まっすぐ下がる天井は吹き抜けになっており、最近流行の白木板ではなく、ニス塗りの板を使うところにその年代の特徴が現れています。看板のみならず、店舗の造りも個性的にして味わいがあり、このMOSをその昔一度訪ねたきりで素通りしていたのがもったいなく思えてきました。この地で赤看板を掲げ続ける限り、今後は定点観測で訪ねていきたいと思う名店です。

モスバーガー長野安茂里店
長野市安茂里西河原3599-1
026-223-3708
1000AM-2200PM

コメント    この記事についてブログを書く
« 汽車旅in信越 2012初冬 | トップ | 汽車旅in信越 2012初冬 »

コメントを投稿