この連休に、1泊2日で鹿児島県の鹿屋市に行ってきました。同市には鹿屋航空基地史料館があり、ここに日本海軍の二式飛行艇(二式大艇)が展示されてまして、それを見るためです。史料館は、海上自衛隊の敷地内にあり、日本海軍と海上自衛隊の軌跡を紹介する施設です。館内外には実物の航空機が展示され、館内にはさまざまな史料が陳列されてます。二式大艇は、その史料のひとつというわけです。また、鹿屋基地から出撃した特攻隊員の方々の遺影が飾られ、遺書や遺品も展示されています。
ずっと以前から行きたかったのですが、なにぶん遠いのでなかなか機会がありませんでした。たまたま、いろいろと条件がととのったので行ってみることに。ただ、時間も予算もないので、ここのみを訪れるというちょっとバタバタした旅になりました。
せっかくなので、一通り旅の様子を書いてみます。長いエントリーになりますけど、ご了承ください。読んでいただくとわかりますが、2回に分けるほどでもない、なんてことはない旅行です(笑)
鹿児島には行ったことがなく、もちろん鹿屋への行き方も知りませんでした。ご存じない方のために、簡単な地図で説明します。鹿屋は鹿児島の南東にある大隅半島の中央部にあります。私は、鹿児島まで行きは新幹線、帰りは飛行機でした。新幹線は鹿児島中央駅まで乗ります。駅から、鹿屋直行のバスが出ていて、公共交通機関ではこれが一番早いです。しかし、鹿児島市の鴨池から鹿児島湾の対岸の垂水までフェリーがあり、そこから路線バスで鹿屋までいくというルートもあります。今回は、まあせっかくなので、なんか旅っぽい(笑)フェリーのルートで行くことにしました。
駅からバスで半時間くらいのところにある鴨池港からフェリーが出てます。港に着くと、桜島が目の前に。前日に噴火したそうで、ちょっとモクモクしてます。市内に灰が降ったらしいのですが、雨風で全く見ることができませんでした。
フェリーです。これとおなじもう一隻が、行ったりきたりしてます。30分くらいおきに出てますので、乗り過ごしても割と平気です。実際、バスが港に着いて、切符売り場に来たと同時に出て行ってしまいました。ちょっと待ってくれてもいいのに、、(無理)。
船内にはうどん屋さんがあって、有名らしいです。なので、食べてみることに。徒歩客は先に船内に入れる(車は、下船する車を待たないといけない)ので早くうどんにありつけます。食べてる間に、車のお客さんがどんどんやってきて、あっという間に行列ができてました。徒歩客である私は、優越感に浸りながらうどんをゆったりとすすります。
メニューはフツーです。私はかき揚げうどんにしました。人気だそうです(多分)。素うどんでもさつま揚げが一つついてるみたいです(多分)。まあ、おいしかったです。でも、「ンマーイ!」(byまんが道)と奇声を上げるほどではないです。でも、フェリーに乗ったらつい食べちゃうのはわかります(上から目線だな)。
垂水港に着いたら、路線バスに乗って鹿屋を目指します。ルートの半分以上を鹿児島湾の海沿いを走るので、いい景色です。
でも、全体的にちょっと寂れた雰囲気です。大都市のない、こういう半島の地域って、どこもそんな感じなんでしょうね。でも、悪くないです(上から目線)。
旅を決めたのがかなり直前だったので、ホテルがなくて困りました。ウェブで空き部屋検索のできるような、ナウなホテルは全滅。ちょっと慌てましたが、連絡先は電話のみ、という市内中心部のホテルで、なんとか部屋があったのでした。どんな部屋だったかというと「ドアの立て付けが悪くて、なかなか閉まらない」「冷蔵庫がない」といえばわかっていただけるでしょうか。
これは部屋の死んでしまった時計。まあ、要するにこういう部屋でした。ホテルはどうもおじいさん一人で切り盛りしてるっぽくて、雰囲気はなんかいい感じでしたけど。この日は、鹿屋に到着してお終いです。翌日、史料館に向かいます。
朝起きてみると、雨が降ってます。残念ですが仕方ないです。予報では、昼から雨模様といってたので、これ以上天気がよくなりそうには思えないので、ちょっとブルーになりつつ、ホテルを出ます。
余談ですが、前日の夜雨の予報を知って、念の為折り畳み傘を全国チェーンのコンビニで買いました。1200円くらいなので、1300円を出したら、4000円と小銭が返ってきました。つり銭を間違えられるのは、結構久しぶりです。もちろん、返しました。
で、この朝、昼ごはん(敷地内で何か食べれるかどうかわからなかったので。実際はみやげ物屋さんと食事コーナーがありました)を買いに、またそのコンビニに。ごはん以外にも、いろいろ買って代金が1305円だったので2005円出したら、695円のお釣りが返ってきました。店を出てから気付きましたが、まあ、5円くらいならいいか、とそのままにしました。
2回続けて、つり銭間違い(しかも+-の二種)を同じ店で体験するのは初めてでした。もちろん、店員さんは別の人です。ひょっとすると、そういうおおらかな風土なのかもしれません(違う!)
余談でした。市中心部から史料館まで坂道で2キロありますので、当然路線バスです。バスは、電車が無い分30分から1時間に1本くらいあります。
「航空隊前」で降りて、ちょっと歩くと二式大艇が見えてきました。かなり大きくてびっくりします。
うーん、凄い!!
ほんと、大きいですね。人と比べるとかなりのものです。胴体のボリュームがあるので、なおさら大きく感じられますね。
雨は小雨のちょっと手前、という感じで、体が濡れるほどではなかったので「今のうちに」と史料館に入る前に写真を撮り始めました(史料館は機体の先の向かいにあります)。撮影時には気付かなかったのですが、レンズに水滴がついてるものが多くて残念でした。でも、仕方ないですね。
主翼には補強用の帯が付けられています。カウリングにも、網がかぶせられています。どちらも、保存のためには仕方ないですね。ちなみに、垂直尾翼の帯は当時から、風による破損を防ぐために駐機時に付けられるものだったようです。
斜め後ろからの胴体のラインがとても素晴らしく、うっとりしてしまいました。こういうのは、現物を見ないと気付かないことなので、見に来た甲斐がありました。
ディテールの写真もできるだけ撮影しました。あとで数えたら、二式大艇だけで350枚も撮ってました(笑)
こちらはエンジン基部。パネルごとに、段差があるのがわかります。
胴体のパネルも、凸凹してますね。当時はこれほどではなかったのかもしれませんが、ピッタリ平面ではなかったであろうということは推察できますね。日の丸がかっちょいいですね。日の丸の中の出っ張りは、燃料タンクの換気用ダクトです。
こういう、リベットも間近で見ないと、感じがわからないので参考になります。所々にある、中心に穴が開いてるリベットは、戦後の補修時のものだと思います。ブラインドリベットとかいうやつですね。
手持ちの資料によると、この機体は実戦を経てきているそうで、胴体のつぎはぎは弾痕を補修したものも多いとか。
そのつもりで見ると、例えばこの写真の窓周辺のつぎはぎのリベットはブラインドリベットじゃないですね。つまり、戦中の補修ということですね。なるほど。
なるほど、とか言ってたら雨が強くなってきました。とりあえず、ここはこれまでにして館内に入ります。
館内は、1階が海上自衛隊航空隊、2階が日本海軍の史料館となってます。
目玉は、やっぱり2階の零戦52型でしょうね。うーん、ほんとカッコいいです。鹿児島で引き上げられた2機を海上自衛隊が中心となって復元したそうです。
私はあまり詳しくないのでよくわからないのですが、かなり忠実に復元されているように見えますが、どんなものなんでしょう。
操縦席は、階段から覗き込めるようになってます。いやー、実に狭くて、ここに乗って操縦や空中戦を行うのはかなり大変そうです。計器類も今とは比べ物にならないくらい簡素なんでしょう。これで太平洋上を何時間も飛んでたのって、ほんと凄いと思います。
照準器も、機銃も計器もビシッと再現されてるように見えます。照準器など多くの部品は保存されていた実物でしょうね。
こちらも、ディテール写真はできるだけ撮りました。動翼の隙間に見える軽め穴は、写真ではちょっと気付きませんね。布の縁の処理も参考になります。
ステップも、模型と違って実物はしっかりしてて、足を乗せても大丈夫に見えます(当たり前だ)
栄エンジンのシリンダーの冷却フィンは、思ってた以上に薄くて繊細でびっくり。パイプの配管もかなり細かくてクラクラしますね。こういう精密さも、写真をみるだけではあまりピンとこないところです。
零戦も、斜め後ろからの胴体のラインが素晴らしいですね。いやー、ほんとたまらんです。
で、そろそろ帰りの時間が近づいてきまして、外を見るとなんとか雨は上がってくれたようです。
最後に、また二式大艇のところに戻って、時間のゆるす限り眺めて、写真を撮ります。すると、ちょっとだけですが青空が見え、陽が射してきました。いや、よかったです。やっぱり飛行機は青空が似合います。
というわけで、名残惜しいのですが、史料館を後にしました。さよなら、二式大艇!また来たいけど、どんなもんじゃろか、、。
史料館は、とても充実していてかなり見ごたえがありました。日本海軍航空隊や海上自衛隊、航空機などに興味のある方が、もし近くに来られる機会があるのでしたら、訪れても損はない施設だと思います。入館料が無料というのもありがたいです。展示には変に偏った感じもなくて(主観的感想)、とにもかくにも国のために命をなげうった方々への顕彰や慰霊をきちんとしようという意思が、館内全体から感じられるのがとてもよかったです。今後、より充実した施設となってくれることを願ってます。
というわけで、帰りは同じルートを逆に向かいます。
帰りのフェリーから見る桜島は、やっぱり煙ってました。
フェリーでは当然のような顔をして、またうどんを食べます(どないやねん)。今度はエビ天にしました。うどん店はやっぱり人気で、行きのときの倍くらいの行列ができてました。フェリーは40分くらいなので、行列の最後の人とかは、うどん食い終わったら着いてる、くらいの勢いでした。
私が、優越感に浸りながらうどんを優雅にすすったのはいうまでもありません。
スケジュール的に、他の観光地に行くほどの余裕はないのですが、さりとて帰るだけではちょっと時間が余ります。なので、市電に乗ってみることにしました。フェリーからのバスを、市電の路線が見えたところで降りて、市電の乗り場に向かいます。市電の軌道には芝が植えられてて、とてもイイ感じです。
火山灰を固めたブロックを下に敷いて、芝を植えてるそうです。
こんな感じでレールの跡がちらほらあったので、昔はもっと路線があったんでしょうね。
こういうの、たまらんですね。
昔の市電用の建物もありました。やっぱりイイ感じです。
ゴトゴト揺られて、市中心部に来ると、イイ感じの百貨店があったので降りて見ました。地元の百貨店らしいです。
いやー、イイ感じ。
市電は、ほぼ5分毎くらいに停留所に来るので、待つというストレスはありません。ボケーっとしてたらすぐ来てくれます。路線沿いに住んでたら、ほんと便利でしょうね。
降りやすく乗りやすいので、一度降りてみたわけです。
で、「鹿児島駅」行きに乗ったのですが、私が行きたかったのは「鹿児島中央駅」だったのでした。要するに、鹿児島駅と鹿児島中央駅を混同しちゃったわけです。ややこしいぞ!(そんなことはない)
鹿児島駅の様子。終点です。素敵です。私はなぜか電車の終点が好きです。二式大艇はじめ、大型機の尾部銃座にもあこがれてます。最後とか最後尾が好きなんですかね(知らんがな)。で、間違えても10分もしたら発車するので気楽なもんです。
鹿児島駅は昔は中心駅だったらしいのですが、今は、鹿児島中央駅が中心駅なのですね。で、今は鹿児島駅はなんと言いますか、マイナーな駅になっちゃってるようです。駅前の風景がそれを物語ってます。
あの渋そうなラーメン屋に行こうかな?と一瞬思いましたが、ずっと麺類が続いててお腹がケプケプしてるのでやめました。でも、今から考えると行っといてもよかったかな、、。
というわけで、鹿児島駅に別れを告げます。
予想外のアクシデント(というか間抜けぶり)のせいで、結局3回も市電に乗ることになりました。まあ、いいか。
帰りは飛行機なのですが、7時台の便なので窓から何も見えないからつまらんだろうなあ、と思ってました。が、ちょっと驚くものを見ることができました。空から見る一日の終わりの風景です。
夜が、上から徐々に降りてきて、空を暗くしていきます。最後には、昼が線のようになっていきます。
理屈ではわかりますが、実際に目にすると、かなりの見ものでしたね。「あー、一日ってこういう風に終わるんだなあ」と、しみじみしてしまいました。
あと、夜景もかなりじっくり見れました。目的地の伊丹空港が混雑して着陸の順番待ちになってしまって、何度も大阪上空を旋回することに。どうも、旋回は同高度で何度もするのではなく、一周ごとに徐々に高度を下げていくらしく、最後の方は結構低高度から夜景を見ることができました。さっきの風景とはまた全然種類が違いますが、これはこれで実に見ものでした。いやー、自然も凄いんですけど、人間も違う意味で凄いですね。
というわけで、わずか1泊2日のあわただしい旅行でしたが、実に満足の行く楽しい旅行になったように思います。普段はあんまり旅行しないこともあって、先月の下関と今月の鹿児島でかなりお腹いっぱいになってしまいました(笑)。まあでも、半年くらいしたら、またどこかに行ってみたいなあと思います。
それでは。