余桃之罪、もしくは電光朝露

関西フィル、日本センチュリー、京都市交響楽団、大阪フィルの定期会員です。アイドルやら声優やら。妄想8割、信憑性皆無。

大阪センチュリー交響楽団 第139回定期演奏会

2009年03月19日 | 大阪センチュリー交響楽団
09.3.19(木)19:00 ザ・シンフォニーホール
大阪センチュリー交響楽団 第139回定期演奏会
指揮/小泉和裕
曲目:
モーツァルト/交響曲第35番ニ長調K.385「ハフナー」
ヒンデミット/フィルハーモニー協奏曲
ベルリオーズ/幻想交響曲op.14

失意の底から始まった08/09シーズンの最後は音楽監督・小泉和裕とセンチュリーだけでお送りする一夜。新たな決意の刻となるかどうか。
アンコールがあるなら小泉さんの09年代表作となるであろう天地人オープニング音楽を。大島ミチルの豪華な音楽が小泉節で力強いけど流麗に仕上がっておりますので是非聴きたい(笑)。あんなに太い音になってるOPって山本直純以来だぜ。

まあこのプログラムでアンコールとかやれるわけも無いんで、実際無かったですけど。
あいにくの天気ながら、見た感じだとお客様9割超えたね。嬉しいね。
今季最後になってようやく響さんに落ち着きが出てきた。お話も面白く分かりやすい。客席からたびたび笑いが起きていた。4月定期のチラシではプレトークが無いように見えますがどうなりますかね。

モーツァルト。イマドキね、プルト増やして大シンフォニーの風格を出そうという無茶がナイスですよね。古楽とか糞喰らえですよ。そんなのは客演の人間に任せるとばかりに、とにかく厚みのある響きを追求し続けるのが小泉流です。小さいセンチュリーが聴きたかったら金を出していずみに戻してくれよと。金は出せんが客増やせと言われてシンフォニーホールだけに定期を移したセンチュリーさんの雄たけびを聞く思いがしました。その割りに小泉さんは繊細な弦の扱いにやたらと心を砕いた素振りでしたが、これは幻想で理由が見えた。この曲は見てても指が疲れます。後半2曲のために体力を残したのかトランペットが弱い。

ヒンデミット。ベルリン・フィル創立50周年記念委嘱作品。主題と六つの変奏からなるヒンデミ版オケ・コンといった趣の音楽で、いかにもヒンデミットらしい擬古典的な響きから始まる。第4変奏まではそこそこの昨品に感じたが、第5変奏ではコンマスと首席Vc・Vaの三者の急速なソロ・パッセージが幾たびも繰り返されて熱狂する。この変奏の終結で思わず拍手が巻き起こったが、良いほうのアクシデントになった。左手でサッと拍手を制して終曲を振り始める小泉さんの背中のダンディさといったらない。個人的に推しているトランペット首席が燃えて吹き上げるように演奏していたのが印象的な、実に華々しい終結でした。トロンボーン、オーボエあたりは大熱演じゃないですか。
ヒンデミットには「管弦楽のための協奏曲」という作品もあるらしいので、いつかこちらも聴けるといいですな。

休憩挟んで幻想交響曲。
なんつースピード。こんなに速い第2楽章初めて。パレーの幻想みたい。極端にインテンポで進むので手の込んだことをしない、それだと至って穏当な演奏に聴こえるはずなのに、何かに衝き動かされて踊り続けているような狂気を感じる。第3楽章でもオルガン横から吹かれる牧童の笛をしっかりと聴かせたり弦楽器は異様にか細い音でざわめかせたりする。これはなぜかしらと思っていたら轟音のようなティンパニ。遠雷のはずが、カミナリは聴衆の頭上で鳴り響いた。音量でいえば大植/大フィルと差はないはずが、そこに至るまでのバランスが通常とは裏返しで。雷鳴は実際に鳴ったものではなく、脳裏に閃く稲妻、衝撃の擬音、運命の打撃なんでしょう。
第4楽章。テレビ番組などで「録画したものを逆再生する」企画あるでしょう。食事のシーンだったら「次々と口から食物が取り出されて、皿の上に綺麗に盛られた料理が出来上がる」という。小泉さんの断頭台への行進はまさに逆再生の音楽でした。断頭後、残存意識下で事の次第を思い返す荘厳な生首。弦楽器と木管が努めて冷たい音色を出しつつ、金管の力強さで死せる者の生命力を。最後に「ああそうだ、オレ死んでたんだった」と思い直してもう一度首が飛んで終わり。斬首 ― 切断された人間の頭部は意識を有するか(閲覧注意)。
第5楽章。ここまでで主要なものはすでに終わっていたかのような、長いエピローグのような、実に落ち着いた演奏。センチュリーの総力で作り上げる凱歌のようにすら聞こえる美しさを感じる。素早いパッセージも流れるように歌い上げる木管・弦楽器、疲れも見せず小泉さんの要求する輝かしさを演出する金管、生きのよい爆発力を存分に見せる打楽器、瞬間瞬間の表情の急変と奥行きの違いを鮮やかに表現しつくして終わりました。
大植/大フィルとは似ても似つかない演奏なのが嬉しいじゃござんせんか。京都・奈良という古都を含んで様々な文化を享受し育んできた大阪という世界第11位の経済圏と人口を誇る都市圏での出来事だと思えば、当然と言えば当然・・・。いろいろ理屈をいう人が居るけれど、金だねえ、結局は。

事務局長を含め多くの裏方さんが今定期で去ります。何人かの楽団員も去ります。熱くなりすぎるコンマス、ナンディの横で一人冷静で居続けてくれた第1ヴァイオリン次席奏者の尾崎さんもです。何人かの団員が涙を浮かべて尾崎さんと握手していたのが悲しかった。移籍先が京響、しかも岡さん亡くなられて空席のままのアシコンですからおぢさん的にはあんま変わらないけども・・・。去られる皆様方、本当にいままでありがとうございました。とにかくお元気で。センチュリーが元気でいられるかどうかは確約し難いのがもどかしいですが。

ところで。相変わらず情報量が少なく売る気の見えない演奏会チラシ(大フィルの短冊型よりはマシだが)に挟まって、創立20周年記念誌の原稿募集~あなたとつくる 大阪センチュリー交響楽団創立20周年記念誌~のチラシ。何もこの状況でやらんでも。ふたを開けたら罵詈雑言の山で目も当てらんねぇようなことにならなきゃええんですが。興味のあるセンチュリーファンの方は是非応募してあげてください・・・って他人事(笑)。


スメタナ:わが祖国
小泉和裕/大阪センチュリー
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