書名 :乾燥標本収蔵1号室
副書名 :大英自然史博物館迷宮への招待
著者名 :リチャード・フォーティ/著 , 渡辺政隆/訳 , 野中香方子/訳
原書名 :Dry store room no.1./の翻訳
要旨(BOOK):博物館には、別の顔がある。展示室の裏側に縦横に広がる巨大な迷路、人目に触れることのない秘密のコレクション、繭のような小部屋で一心不乱に研究にのめり込む人々。なかでも世界最大級の大英自然史博物館には、ここでしか通用しない大原則がある。いわく、「なにものも永遠に捨ててはならない」「お しゃれをしてはならない」「粗忽者と言われるくらいがよい(研究以外では)」。古生物学の世界的権威である著者が、30年間を過ごした古巣の素顔と、そこに生息する浮世離れした住人たちの姿を、軽妙な語り口で綴った「大英自然史博物館全史」。
YAYAは博物館とか美術館とか動物園とかが 大好きです ♪
あの非日常的な別世界はステキです ♪
その頂点の一つに数えられる大英自然史博物館。
歴史と伝統 って感じは あんまり好きじゃないですが...
こういうのに関しては、ちょっと別 ♪
題名の ”乾燥標本収蔵1号室” から剥製系の内容を想像してましたが...
鉱石から昆虫まで、ありとあらゆる自然史系の展示物、および パンピーとはまったく異なる一癖も二癖もある異形な職員たちの饗宴 ♪
一番 印象に残ったのが
海藻を専門とするジェフリー・タンディというキュレーター ♪
なんと 世界をナチズムから救った方です。
第2次大戦中...ナチスドイツの誇る解読不能と歌われた暗号機エニグマ...
この暗号を解読するためにイギリスは国中から優秀なコード・ブレーカーを集めたのでした。
暗号文は英語で cryptograms といいます。
ジェフリーさんの専門は 隠花植物 cryptogams ...
なんと
陸軍省の役人は隠花植物cryptogams という言葉を聞き慣れず、タンディを暗号分cryptogramsのエキスパートだと思い込んでしまったらしいです...
なんかなぁ...
暗号分を解読する能力があると思われた彼は、戦時中、暗号解析の拠点だったブレッチリー・パークに採用され、エニグマ・コードの謎に取り組む優秀な頭脳の持ち主たちととともに働くはめになった。
暗号解読者たちのなかに、一人だけ海藻マンが交じっていたのだ。
しかし、それはこのうえなく幸運な勘違いだった。暗号文が書かれたノートがドイツ軍のUボートから回収されたことがあった。
ずぶぬれで読み取れない状態だったのだが、タンディにはどうすればいいかわかっていた。
海藻を保存するときのようにすればいいのだ。
博物館から特殊な吸い取り紙が提供され、暗号文がぎっしり書き込まれたページは無事、復元され、ナチスの暗号文が解読された。
いや
人間 どこで、どのように自分の特技が生かされるかなんて... 本当にわかりませんね ♪
あと
イギリス最大級の科学スキャンダル事件
(コナン・ドイル犯人説まであった。)
ピルトダウン人捏造事件の真犯人は こいつだ !
なんて章まであります !
そんなこんなでいろいろな面白ネタが満載です ♪
で
乾燥標本収蔵1号室 という題名がなぜに付いてるか ?
それはイギリス人著者ならではのユーモァ ♪
年代もののマンボウの半身剥製が長年見続けた大英博物館の大いなる秘密とは !
博物館繋がりでこんなのも読みました ♪
副題:ジェームズ・スミソンと18世紀啓蒙思想
著者:ヘザー・ユーイング著
値段:8000円 !!!
飛行機好きのYAYAが死ぬまでに ぜひ一度生きたいところのランキング上位 !
スミソニアン博物館 航空宇宙博物館
世界中のレアもの飛行機から初代MTBクランカーまで 乗り物系を全て網羅する巨大博物館 !
でも
この博物館は単館ではなくて、ワシントン中央 モール地区を取り囲む10を超える建物からなる複合施設。
全体で1億4千万点といわれるコレクション !
その創設者であるジェームズ・スミソン の伝記 です。
若干22歳でロイヤル・ソサエティ会員になったスミソン !
生涯を鉱物学の知識の増大と普及に尽力した科学者にして...
イギリス王家の末裔にあたるノーサンバーラント公爵の庶子 !
1829年6月27日 イタリア ジェノヴァにて死亡 享年64歳
アメリカ政府に遺贈した 10万4960枚のソヴリン金貨 がスミソニアン博物館の始まりになったのでした。
ナポレオンが大暴れしていた最中にもアルプスとかをうろうろしていて、捕虜となったり
なかなかアグレッシブな人生を送られました ♪
ついでに もう1冊 ♪
書名 :ハウス・オブ・ヤマナカ
副書名 :東洋の至宝を欧米に売った美術商
著者名 :朽木ゆり子/著
要旨(BOOK):なぜアメリカの有名美術館には、日本や中国の国宝級名品が収蔵されているのか?ロックフェラーらアメリカの大富豪を相手に超一級の美術品を商った山中商会の興亡。
プリンス似 の 山中定次郎 ♪
日本ではほとんど知る人はいないけど、海外では有名 ♪
古美術商の親をもち、江戸時代から続く大阪の山中一族 骨董・茶道具商 丁稚奉公から初めて...
20世紀初期の西欧における 東洋ブーム にのり全盛時には ニューヨーク5番街にメガ級美術店 を開き ...
当時の欧米のお金持ちや王族に 大阪商人のバイタリティ と細やかな心遣い で単身食い込んでいった、これまたアグレッシブな方の伝記です ♪
華やかな あの時代の空気が全編に充満していて、読んでて爽快 ♪
私も一番行きたい博物館です。
日本の大戦機も震電とかレストア待ちのが沢山ストックしてあるみたい。
敗戦国であることを痛切に感じてしまう、悲しくも憧れの博物館ですな~。
本当に行きたいですよね!
Ta152とかホルテンとかレアなドイツ機もたくさんあるし!