Die Mondsonde -イギリス航海日誌-

2011年春よりLondon勤務。WEのミュージカルと日々の生活を綴ります。
Twitterはmondsonde。

BBC Proms 2012 ③

2012-09-20 00:48:39 | クラシック(オペラ含)
最後の2週間は、ベルリンフィル、ゲヴァントハウス管、ウィーンフィルと、世界に名だたるオーケストラを立て続けに聞くことができました。実はチケット発売日にマンチェスターまでオペラ座の怪人25周年UKツアーを見に行っていたので、チケット取ったのは発売日の夕方(昼にマチネでみて、夜はRaminのコンサートだったのです。)という、だいぶ出遅れたのですが、この3オケのチケットが売り切れてなくて良かったです。ラッキー☆

ほぼ同じ席で、同じコンディションで、3つのオケを日を置かずに聞き比べができたのはとても幸運です。でも、ちゃんとこれだけのオケを呼んで来れるプロムスってすごいですね。流石にオリンピック期間中ではなかったですが。


RAHのライティングは演目によって変わります。私はやっぱり青色が綺麗で好き。これ、休憩時間でこのアリーナ席の人の数ですからね。恐ろしい。


【Prom64:8月31日】
Brahms/Piano Concerto No.2/Yefim Brofman(piano)
Lutoslawski/Symphony No.3

Berliner Philharmoniker
Conducted by Sir Simon Rattle


どちらかというとプログラム的には前日のベルリンフィルの方が聞きたかったのですが、別件があったので、この日に。Lutoslawskiって聴いたことないよ。そもそも読めないよ(ルトスワフスキーとよむらしい)。と思っていたいくらいなので、当然初めて。

いやー実に日本人が多かった。

大方、Promsではそんなに日本人に会わない(若しくはこんな貧民席にいないだけ?)私ですが、今日は会社の人だけでも2組会いましたしね。すごい。さすがベルリンフィルと、御大サイモン・ラトルです。なんだよ、バービカンでやるときは売り切れないくせに。コンサートマスターは多分Brounstein。樫本さんかなーと期待していたのですが、樫本さんはコンマスのお隣でファーストバイオリン弾いていました。

配置は通常配置。

さて、ブラームスのピアノ協奏曲は、入りはどうかな、と思ったものの、男性らしい、ブラームスでございました。好きなタイプのピアニストでした。ラトルとのコミュニケーションも良かったよ。アンコール応えてくれなかったのが残念でしたが。

それにしてもベルリンフィル、ホルン、チェロ、フルート、オーボエ、いい音だしますね。。。バイオリンは言うに及ばず。どうしてっていうくらいピチカートのかけ方からしてまろやかなのです。ブラームスの最初のホルンの入りで、心もってかれてしまいました。ホルンの音色の美しさといったら!本当に金属でできた楽器ですか?という。。。それから、ブラームスもルトスラフスキーもそうですが、ベルリンフィルのpの表現は繊細で、音も小さい、なのに、ちゃんと届くんです。ひええ。びっくりしたのは管が一体となってなんともいえない音色を奏でること。分かりにくいのですが、オーボエ+クラ+ファゴット+フルート+ホルン、じゃないんです、管パート、という形で響いてくるの。なにこのハーモニー。強烈な印象でした。そーしーてー。ティンパニの音色のよさ。顎がはずれるかと。飴色のティンパニ。

肝心のルトスラフスキー、これはまた個人的に理解しにくい音楽でした。弦5部を5部以上のパートに分け(少なくとも、バイオリンは4部以上に分かれていたと思います)、夫々が追随するように、かといって同じメロディーを追いかけるわけでもなく進む感じでした。これだけのパートを、ラトルはよく纏めていたと思います。彼の指揮もバレンボイムほどではないですが、分かりやすい。ま、それに応えるベルリンフィルを率いてるからという部分もあるでしょうが。ピアノは、なぜか連弾。連弾なんですけど、弾き手が女性と男性で、連弾のときもあれば男性が一人で弾くときもあり、またその逆もあり。ここは女性、とかそういう指定が入っているのでしょうか?(ちなみに、ピアノはブラームスのコンチェルトとは違うピアノでした。連弾用?)チェレスタもあったけど、いつ弾いたかわからなかった(笑)ピアノ弾きの先輩と聴きに言ったのですが、彼女もこの曲は初めて。二人の感想は、「墓場の音楽みたい(私)」「ハロウィンみたい(先輩)」。。。。成程。ほぼ同じような感想で、笑ってしまいました。つまり、そんな感じ。多分ルトなんとかさんが意図したのとは違うと思いますが。私たちとは別に聴いていたお友達の至言として「ベルリンフィルだから聞けたんだと思う。これが下手なオケだったらがまんできなかったはず」と。こちらも成程。分かります。確かに、理解しにくかったけど、聞きたくないような音楽ではなかった。ベルリンフィル万歳!

アンコールは、ラトルが「本当はアンコールしないのだけど、君たちは世界で一番の聴衆だよ(You are the best audience!)」と言って、ドヴォルザークのスラブ舞曲を演奏してくれました(ラトルが曲名言っていたのですが、スラブ舞曲、しか聞き取れなかった。多分2番目のほうの7番?確認してません)。本当はアンコール応えない、といいつつ、確り小品演奏できるって、用意してたんじゃん?と思わなくもない。ははは。あ、でも楽譜は少なくとも指揮台にはなかった。ラトルは今日もブラームスとルトちゃんは楽譜見ながらふってましたもの。でも、ラトルもなんだかバービカンのときとは違って、ルトフラフスキーの楽譜を掲げ、胸に手を当てて何度も何度もお辞儀したり、やっぱりRAHのPromsはちょっとほかと違うんでしょうかね。オリンピック開会式見たから観客も一層ラトルをたたえる気になっていたのかも。(そうだよ、炎のランナーやってくれてもよかったのに!)


【Proms67:9月1日】
Mendelssohn/Overture “Ruy Blas”
Mendelssohn/Violin Concerto/Nikolaj Znaider(violin)
Mendelssohn/Overture “The Fair Melusine”
Mendelssohn/Symphony No.5 “Reformation”

Leipzig Gewandhaus Orchestra
Conducted by Riccardo Chailly

メンデルスゾーン尽くしです。ゲヴァントハウス管でメンデルスゾーンを聴くことができるのは、ひとつの至福ですよね。本当はライプツィヒで聞くのがベストでしょうが。もちろん、メンデルスゾーンがカペルマイスター(楽長)を務めていたのははるか昔ですし、ベルリンフィルやウィーンフィルの方が上手い演奏するかもしれませんが、やはり十八番の感覚はあるでしょうし、聴く方はどうしてもそれを念頭においてしまいますし。ということで、ケヴァントハウスのメンデルスゾーンだ!とうきうきしながらとった今日のプログラム。Leipzigに昔行ったときにメンデルスゾーンの家に行きましたね。道が分かりにくかった。まさに寒波に襲われている中行ったので、あったかい家の中の記念館はとてもうれしかったです。なだけに、最後のIch bin muede, schreklich muedeという言葉が突き刺さりました。ああ、Felixなんていう、名前をもらったのに全然幸運じゃなかったメンデルスゾーン。ベルリンフィルとうって変わって日本人が少ない。ゲヴァントハウスもいいですよー。

ゲヴァントハウス管の編成も古典配置。どちらもバイオリンは7組と、ベルリンフィルより少人数のオケでしたね。げ、弦の音がまず渋い。メンバーも平均的に結構いい年している気もしましたが、ベルリンフィルの円熟味のまろやかさとはまた違う、なんだろう、古木のような地味な渋さというか。(ほ、ほめているんです!)でも、シャイーは派手です。指揮台から落ちそうなくらい前のめりになったり(笑)そしてそんな派手な指揮者にあわせて(?)オケも歌う歌う。序曲+コンチェルト、序曲+交響曲という組み合わせでしたが、序曲があれ、メンデルスゾーンってこんな派手だったけと思わせる感じでした。やっぱりいいわ、ゲヴァントハウス。

通称メンコンのバイオリン協奏曲、とてもメロディアスでした。テクニックに裏支えされた叙情的なバイオリンの音色がRAH一杯に響きます。第1楽章のカデンツァ、pなのに確り聞こえます。第3楽章は軽やかです。誰ですか、このバイオリニスト。次コンサートあったら絶対行きますよ、私。

メンコンの後にはバイオリンのアンコール。「バッハ」とだけしか言いませんでしたが、かの有名な無伴奏パルティータ第3番より、ガヴォットを演奏してくれました。あれ、Zimmermanもこの間無伴奏弾いていたような。あれはソナタか。
これ、好きなんですよね。バッハがあまり好きではない(なくなったともいう)私ですが、その中でも好きなピースのうちのひとつです。バイオリンの和音を聞くのがすき。皆、なぜかバイオリンコンチェルトの時は終わった途端に拍手だったくせに、最後の一音が終わったあと、観客一同怒涛の拍手、というより一同ほほう、という感嘆のため息があふれて、それから万雷の拍手。気持ちわかります!そうだったんです、わたしも。この「ほほう」というか「ううむ」、なんなんでしょう?お主やりよるのうといった感じと言いますか、本当に「唸らせられた」と言った方がいいかもしれません。私もガボット終わった途端、ううん、、、となってしまいましたもの。それだけのものがガボットにありましたね。オケ無しでバイオリン一本でこれ。アンコールではありますが、今年のプロムスで唸った一曲のうちの一曲です。やられた。

第5番の宗教改革は、宗教改革という変な名前だからいけないのか、あまり日本ではなじみがないような気もしましたけれど、これ、第1楽章のドレスデンアーメンから始まる旋律の美しさ、和音のかっこよさ、時に猛々しい波、焦り、情熱を感じるけれども曲調は美しいまま、弦楽部と管楽部の見事な調和という、素晴らしい曲だと思います。それにしてもゲヴァントハウスのこのスケール感はなんですかね。最後の第4楽章のコラール後の怒涛の展開(ベートーベン並だし)、特にフルートソロがすごかったです。びっくり。こんな展開だったけ、と思いましたけど、こりゃ、フルート奏者にはおいしいな、という展開。音もクリアで綺麗でした。個人のフルートの音色に関して言えばベルリンフィルの方に軍配があがりますが、まあそれは天下のパユ様ですからね。。。。パユ様のフルートはほんとに美しかったわ(それとウィーンフィル)。

アンコールは、結婚行進曲。実は、シンバル奏者の席がずーっと空席だったので、何で空席の席を残しておくのかしら、明日のためかな?(次の日もゲヴァントハウスだった)と思っていたら、なんとアンコール用だったのです。これで拍手が少なかったらどうするつもりだったのかしら。アンコール要求に対して、まあ、まてまて、シンバル奏者呼ぶからというシャイー(笑)トランペットも1本追加して結婚行進曲。流れた瞬間に観客ふふふ。ですよ。アンコールまでメンデルスゾーン尽くしとは、と。

ああ、満足しましたよ、メンデルスゾーン。


【Proms67:9月6日】
Beethoven/Piano Concerto No.4/Murray Perahia(piano)
Bruckner/Symphony No.9

Wiener Philharmoniker
Conducted by Bernard Haitink

そして、最後2夜連続でのウィーンフィル。ウィーンフィルを振るのはハイティンクです。ハイティンクも年とったのー・・・。歩き方がゆっくりです。

ウィーンフィル。天下のウィーンフィル。最後の3つのオケの中で平均年齢が一番高い気がします。そして団員におけるWolfgang率の高さ(笑)昔、ウィーンに遊びに行ったときにドイツ人の友達が「Wolfgangなんて(ドイツにおいては)おじいちゃんの世代の名前だ」と言っていましたけれど、やはりオーストリア人の中では人気の高いWolfgang、それでもやはり年配。コントラバスのおじいちゃんは明らかに体型がサンタクロース。お腹の上にコントラバスが乗っているので、腕を目いっぱい伸ばさないと弦が弾けない状態になっているのが笑えました。それでいいのか、ウィーンフィル。オケとしては、相変わらず縦線があってません(笑)2回、いやもうちょっと多い回数、縦線があってないというよりええ、まじ?今の明らかにずれただろ、と思う箇所もありましたが、なんというか、自由でいいですねえ(遠い目)。ベルリンフィルは弦にしても管にしても基本的に何本で構成されてようがあたかも一本であるように聞こえてきましたが、ウィーンフィルはああ、バイオリン今何本あるよね、というのがわかるくらい音が豊かです(半分褒めてる)。ホルンもね!なので、個人的にはベルリンフィルのが好き(笑)

そう、ホルンといえば、ホルンの音がん、と思うくらい深くて、ホルンを注視していたら、マウスピースの下の通常直管であるところがくるっと環のようになっていました。で、あれ、あれ、とずっと考えていたのですが、結論が出ず、次の日ホルン吹きの妹に聞いてみたところ、「ああ、それウィンナーホルンじゃない」と。おおっ!そうでありましたか、ウィーンフィルですものね!!全員、ウィンナーホルンなんです。素晴らしい。というかホルン吹きじゃないから知らないのはいいとしても、管があんな明らかに違うなら、ニューイヤーコンサートの時に疑問に思っておこうよ、という感じでした(しかし、このウィンナーホルンの唾抜きの多さは異様。ホルン奏者は絶対曲に対する集中力欠いてると思われる)。


一曲目はペライアの和音から始まるベートーベンのコンチェルト第四番。オケは小編成でした。なのに相変わらず縦線ずれまくれ。弦も管もあってないってどうよ(笑)フルート美しかったなあ。金色のフルートです。金色。いいなあ、金のフルート、ほんとにいい音するんですよね(金は私が吹いてもいい音する。)。

ペライアのピアノ。第一楽章の軽い、音符がこぼれるようなピアノ。左手のアクセントと右手での駆け上がり、カデンツアはベートーベンのカデンツアでした。指は本当に5本ずつしかないんでしょうか。どうやって表現してるのかしら。全楽章通して全く自己陶酔に走らない、素晴らしいピアノでした。ベートーベンのff、これまたいい音するんだよなあ。。。(これはピアノせいではなにのですけど、そういえばチェロがあんまり聞こえなかった)終わった後にペライアとハイティンクは何度も抱き合っていましたね。でもアンコール応えてくれませんでした。ちぇ。上でベルリンフィルと違ってウィーンフィルはあってないと書きましたけど、客も実はベルリンフィル程の統一感がなく、拍手からアンコール要求へのかわり方、アンコール要求の諦めなど、なんだかばらばらでした。オケに影響されるのか。

休憩挟んでブルックナーの9番。休憩中に小規模のオケから大規模のオケに編成を変更します。ので、ステージ上はかなり混乱(笑)なんと、ホルンは9本です。ひな壇に乗っているホルンは正面に2列で座りますが、後ろの4人は途中でワーグナーテューバに持ち替えです。しかし、なぜフルートとオーボエは隣同士なのにアンサンブル合わないのか。

ブルックナー、第一楽章からMaxでいきます。最初の盛り上がりは鳥肌立ちました。コントラバス、かっこいいです。例えサンタクロースでも。ビオラ、チェロのアップボウの力強いこと。未完の第4楽章は演奏なし。このスタイルが好きです。


【Proms75:9月7日】
Haydn/Symphony No.104“London”
R.Strauss/An Alpine Symphony

Wiener Philharmoniker
Conducted by Bernard Haitink

二夜連続のウィーンフィル×ハイティンクです。これで私のプロムス2012も終わりかと思うととても切ない笑(次の日はLast Nightですけど、これは会場に行く気分でもないので、家でテレビで鑑賞です。)

7:30開演のところを7:00開演だと間違えて、South Kensingtonから走りました。会場にたどりついて漸く気づくというていたらく。。。仕方がないのでRAH内のバーでビール飲んで開演を待つことに。アサヒがあるんですよね、ここ

一曲目はハイドンのロンドン(別に韻を踏みたいわけじゃないんですけど)、さすがウィーンフィルです。 ハイドンから入るので、最初のセットは小さめ。昨日のおなかの出たサンタクロースみたいなコンバスの人は今日も健在。相変わらずおなかがでててコンバスの弦が遠いので、手を一杯に伸ばして弾いています。いいんか、それで。

一転、休憩挟んでアルプス。昨日に引き続き、アルプスを選曲したので、ワーグナーチューバが入ります。輸送費かけるなら両日使え、ということなのか。今回もホルンは9人編成。後ろの4人は、途中ワーグナーチューバと持ち替えです。私の今日の席は下手側上方だったので、あのびゅうびゅう風の音を出す楽器とか雷の音を出す楽器(ウィンドマシーンとかサンダーマシーンですね)とかちょうど見えず、ちょっと残念でした。ウィーンフィル、アルプスになって古典配置にかえました。昨日のベートーベン、ブルックナー、今日のハイドンときて、R.シュトラウスだけです。ハイドンからアルプスへは小編成オケから大編成オケへと変更になりますから、休みの時間はセッティングのかたがたがてんてこ舞い。椅子を持ってきて並べたり、楽器を運びいれたり。アルプスは、ほんとに金管が良い音だしますね。でもアンサンブルあってないけど。アルプス、いいなあ。ハイティンクのアルプスは本当に山岳地帯を想いださせます。といっても、私の場合アルプスはあまりいい思い出なくて(スキーで死にそうになった)、どちらかと言えば夏の八ヶ岳とか、日本の南アルプスですが。

アンコールはシュトラウスはシュトラウスでも今度はヨハン・シュトラウスの春の声。さっきまで振っていたアルプスのフルスコアは床に投げ捨ててました。これまた軽やか。全然春の季節ではなかったんですけど、春のうきうき感が響いてきました。

ハイティンクは、そういえばアンコールの時にペットボトルの水を持ってきて、指揮台に忘れて帰っていきましたね。

これにて2012のプロムスは終了。今年も満喫しました。おおっと思ったのはZnaiderのパルティータ。それからペライアのピアノコンチェルト。ペライア×ハイティンクはCD買ってもいいですね。ハイティンクあんまり持ってないから買おうかな。それから、マンフリート、シンデレラ全曲。新しい曲を生オケで聞くのはいいですね、やっぱり。

秋もRoyal Festival Hall通います。


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