Die Mondsonde -イギリス航海日誌-

2011年春よりLondon勤務。WEのミュージカルと日々の生活を綴ります。
Twitterはmondsonde。

BBC Proms 2013 (1)

2013-08-12 00:00:44 | クラシック(オペラ含)
今年もやってきました、芸術の夏。7月中旬から9月初旬に亘って、連日連夜Royal Albert Hallで開催されるクラシック音楽の祭典。クラシック好きにはたまりません。財布もたまりません。悲鳴上げています。

今年のPromsの目玉は、Daniel Barenboimが英国で初めて振るという、ワグナーオペラ、ニーベルングの指環。BBCシンフォニーの首席指揮者に就任したSakari Oramo、Pappano率いるサンタ・チェツイーリア、ウィーンフィルにバンベルク、と、オケ的には去年のベルリンフィル、ウィーンフィル、ゲヴァントハウスにはかなわないかもしれませんが、指揮者的にはPappano、Nelsons、Jansons、ピアイストも辻井伸行、スティーブン・ハフ、ニコライ・ルガンスキー、ヤン・リシエツキから内田光子まで、とても豪華です。あ、ダニール・トリフォノフも。

anyway、今年も色々予定をやりくりして、行きたいプログラムは行こうと思います。




【Prom1:7月12日】
Julian Anderson/Harmony
Britten/Four Sea Interludes from ‘Peter Grimes’
Rachmaninov/Rhapsody on a Theme of Paganini/Stephen Hough(piano)
Lutoslawski/Variations on a Theme by Paganini/Stephen Hough(piano)
Vaughan Williams/A Sea Symphony

BBC Symphony Orchestra
Conducted by Sakari Oramo

今年は、初めてFirst Nightに行ってきました。別に、First NightだからってLast Nightとは違って特になにもないですね。当たり前だけど。First Nightを指揮するのはザカリ・オラモ。今季BBC SOの首席指揮者に就任してから(恐らく)最初のBBC SOの指揮(間違ってたらごめんなさい)。Sakari Oramoは好きな指揮者のうちの一人なので、これからBBC SOとどう付き合っていくのか、楽しみだなあ。

演目は、First Nightにふさわしく、Anderson、Britten、Vaughan Williamsとイギリスの作曲家の作品がずらり。幕開けは、プロムス特有の、BBC Commission委嘱作品であるJulian AndersonのHarmonyから。もちろん、世界初演です。BBCシンフォニー合唱団、ユース合唱団も含め、とにかく途轍もなく大人数。まー、テレビで中継するしね、派手な方がいいですね。正直、Julian Andersonのハーモニーはよくわかりませんでしたが、続くブリテンのピーター・グライムズは良かった。ところで、ハーモニーが終わったあとに作曲家が舞台に出てくるのですが、普通の格好してるのね。もうちょっといい格好したらいいのに、と思わなくもないのでした。

ピアノはStephen Hough。ピアノはスタインウェイ。ラフマニノフのパガニーニ主題からの狂詩曲、ついで、ルトスワフスキの同じくパガニーニの主題からの変奏曲。こういう並びって面白い!                             
最後は、ヴォーガン・ウィリアムズの海の交響曲。ブリテンより、ヴォーン・ウィリアムズのが好きです(誰も聞いてないけど)。


【Prom6:7月16日】
David Matthews/A Vision of the Sea
Rachmaninov/Piano Concerto No.2/Nobuyuki Tsujii(piano)
(as Encore/Liszt/La Campanella)
Nielsen/Symphony No.4 “Inextinguishable”

BBC Philharmonic
Conducted by Juanjo Mena

これまたDavid MatthewsのA Vision of the SeaはBBC Commissionの委嘱作品で、世界初演。Proms1に引き続き、また「海」がテーマです。流行り?

そしてラフマニノフのピアコン2番。辻井伸行君のプロムス・デビューです。24歳ですって?隣の席のおばさんに年聞かれて20代前半だと思うって言ってしまいました(24歳なら20代半ば、よね)。24歳には見えなかったわー。Menaに手を引かれて(というか正確にはMenaの肘を取って)登場した辻井君、お小さくていらっしゃる。手は大きいのかしら。BBCフィルとは、今年、日本ツアーを一緒に回っているんですね、指揮者はMenaではなかったけど。東京にいる先輩がとてもよかった、と言っていた辻井君×BBCフィルをロンドンで聞くことができました。BBCのインタビューによれば、その日本ツアーでBBCフィルと辻井君との間にはすでに絆ができているとのと、また、Menaとオケと合わせた時間はそれほど多くはなかったけれど(なんと3日前が顔合わせ!)、Menaの呼吸に合わせてタイミングを取っていることなどが紹介されていました。

ラフ2は、とても繊細、且つ第一楽章の豪胆、落差の激しい、そしてエモーショナルで美しいラフマニノフの美しい旋律を聞かせてくれるピアノでした。オケも、第一楽章の第一主題の弦、第二のAdagioのフルート&クラリネットに確り歌わせて、鳴らして情緒たっぷり。第三楽章の主題も溜める溜める。

ところで、今年の真央ちゃんのLPはこのラフ2ですが、どこを使うんでしょう。やっぱり第二楽章の最後のあの弦のメロディ使うのかな、第一楽章と合わせ技で。それとも第三楽章のピアノの旋律かなあ、オケの方かな。第三楽章のメロディはステップと合わせやすそう。最後のピアノカデンツア部分からだったら鬼ステップになりそうだな。ああ、それで最後のドッドドドッ!で終わったらかっこいいなあ!

ちょっと残念だったのは第一楽章の後に拍手が起こったこと。もちろん、拍手に値する素晴らしい演奏でしたが、私は楽章間の拍手はやっぱり集中力切れるし、指揮者の呼吸にも影響するだろうから、好きではありません。Aliceのシューマンでも拍手が起きてましたが、なぜか日本人アーティスト(で日本人の観客がいっぱいいいるとき)に拍手が起きるのが多いのは偶然だと思いたい。案の定、第二楽章の後にも拍手しかけてMenaが演奏始めてしまったので慌ててやめている人もいましたし。。。

オケといえば、BBCフィルは日本ツアーでの絆があるせいなのか、とても辻井君に対して優しい目線で接していました。ファーストバイオリンも、セカンドも、ちゃんと辻井君見てる(特に、セカンドの綺麗なお姉さんとか微笑みながら見守る目つきがとってもやさしい)。アンコールにはリストのラ・カンパネルラを弾いてくれましたが、辻井君を連れてきたMenaは指揮台に座って鑑賞、オケのメンバーも年の離れた弟を見守るよう。でも、なんかわかるなあ、なんか、辻井君の演奏、それから笑顔、かわいいお辞儀を見てると、気持ち分かるんですよね。ふふ。
関係ないけど、一昨年のアリスも、アンコールはラ・カンパネルラで、彼女の方が力づよいカンパネルラでした。

さて、日本人に大人気だったと思われる本日のProm。流石に辻井君が終わったからといって帰っていく人はあまりいなかったようですが、最近オケを聞きにいく仲間と「今日来ている日本人の中でニールセンの4番を生で聞いたことある人は何人いるんだろう」という話をしていました。これを機にみなさんニールセンの4番を好きになってくれるといいなあ。多分、というか好きになってくれたんではなかろうか、というMenaの情熱溢れる4番、とてもよかったです。日本人にはそれほどメジャーではないニールセン、こんなにかっこいいのにな。。。大好きなこの曲、毎年誰かの指揮で生で聞けているのはとっても幸せです。プロムスでは一昨年オラモで4番、去年ヴァンスカで5番、今年はメナで4番。4番のヤマであるダブルティンパニ、ファーストを下手に、セカンドを上手に持ってきていました。ティンパニ、非常にクリアでいい音出してました。あの第三楽章の弦がこれでもかと歌うところ、ティンパニ頻繁に涼しい顔で音変わりますけど、よくいきますよね。そして雷のように鳴り響く大迫力の第四、いつも私の頭の中は恐竜の世界に隕石が降ってくるイメージ(不滅と逆だ)。今回改めて舞台見て思い出したのですが、第四楽章の終盤はティンパニはセカンドがメインのCとFの4度の移行なのに、ファーストはトレモロなんですね。あれ、ファーストかと思ってました。第四楽章まで耐えて待っていたご褒美?最後は、Menaがティンパニスト2人を舞台上に引っ張り出して一緒に挨拶。粋ですね。。

ラフマニノフの時はそうは思わなかったのですが、金管の音も、フルートの音もオーボエも総じて明るい。。。そしてテンポ的にはかなり前のめり。第三楽章から第四への移行の部分なんて気が狂いそうな弦の刻み。


【Prom8:7月17日】
Britten/Sinfonia da Requiem
Lutoslawski/Concerto for Cello/Paul Watkins(cello)
(as Encore/Lutoslawaski/Sacher Variation)
Thomas Ades/Totentanz/Christianne Stotjin(mezzo-soprano),Simon Keenlyside(baritone)

BBC Symphony Orchestra
Conducted by Thomas Ades

本日は、BBC SOを後半のプログラムの作曲家でもあるThomas Adesが振ります。なんで私このプログラム買ったんだろう?と言うくらい、普段の私の好みから外れてるわ。ルトスラフスキ苦手、という意識をさらに強くしただけでした。

Thomas AdesのTotentanzは世界初演。メゾソプラノとバリトンがそれぞれ舞台前に立って歌います。パンフレット買わなかったからなんて歌っているのか分からなかった。


【Prom10:7月19日】
Mozart/Symphony No.35 “Haffner”
Schuman/Concerto for Piano/Jan Lisiecki(piano)
(as Encore/Chopin/Noctane No.20)
Rachmaninov/Symphony No.2

Orchestra of the Academy of Santa Cecillia, Rome
Conducted by Sir Antonio Pappano

メジャーな選曲。しかもCecillia率いてイタリアの曲が一曲もない(それはいいんですけども)。このSanta Cecillia、実はCDでもライブでも聞いたことがなく、正真正銘初めてです。コヴェント・ガーデンの音楽監督で、Santa Cecilliaの音楽監督も務めるパッパーノが指揮です。サーです、アントニオ。初めて聞きましたが、いいですねえ~、特にホルン、あとオーボエ、クラリネット。パッパーノは指揮棒なしで振るんですね、拍を口をパクパクさせながら取るから金魚みたい(失礼)。

若手ピアニストのヤン・リシエツキのシューマン。18歳ですって。若い。。。シューマンのピアノコンチェルトはピアノがオケの上位にくるのではなくて、オケの一部だから好きなんだとか。カナダで大変人気のアーティストだと、BBCの解説。白いシャツに藍色に白ドットのボウタイで登場。若いっていいなあ。柔らかいシューマンもさることながら、アンコールのショパンよかったです。これからどう成長していくんでしょう、楽しみなピアニストです。


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