春望・別館「子どもの本」

「春望」の別館です。子どもの本を中心に紹介しております。お気軽にお立ち寄りください。

how i live now わたしは生きていける

2005-11-23 00:59:53 | ワ~

メグ・ローゾフ著:理論社

15歳のデイジーは継母に疎まれてイギリスの片田舎の伯母の家にやってきます。空港に迎えに来たのはタバコをくゆらせ、車を運転する14歳のエドモンド。デイジーの4人のいとこのうちの一人でした。
摂食障害を持つシニカルな少女デイジーはやがて伯母一家に心を開き、エドモンドと愛し合うようになります。
でも、数千人が巻き込まれたテロが起きて、やがてイギリスは戦争に突入していき、伯母は帰らぬ人となります。しばらくは子どもだけで平和に暮らしていましたが、やがて家は軍に接収され、子どもたちもバラバラに引き離されてしまいます。
デイジーが生きようとする大きな理由はエドモンドへの愛でした。
淡々と綴られていますが、いつかこんな日が来るかもしれないと言う恐怖を覚えながら読み進めました。
戦いのない平和な日々は失くしてみるまでは貴重だったということに気づかないのかもしれません。

クリスマスの幽霊

2005-11-20 20:25:00 | カ・ガ~

ロバート・ウェストール著:徳間書店

ぼくの父さんはオットーの工場で働いています。クリスマス・イブの日、お弁当を忘れた父さんにお弁当を届けるため、ぼくは工場へと向かいます。そして、工場のエレベーターの中でサンタクロースによく似た老人を鏡の中に見かけますが、振り返ると老人は消えていました。
父さんたちにこの話をすると、みな動揺します。それは工場の創始者オットーの幽霊だと言うのです。その幽霊を見かけた日に工場では事故があり、工員が亡くなってきたというのです。
今度は誰が?
ウェストールらしいミステリアスな物語です。

Vicky Angel

2005-11-13 12:49:43 | ハ・バ~

ジャクリーン・ウィルソン著:理論社

ヴィッキーとジェイドは大の親友。明るく積極的で人気者のヴィッキーに比べ、ジェイドは消極的で何をするにもヴィッキーがいないとだめ。
それなのに、ふざけっこをしながら学校から帰る途中で、道路に飛び出したヴィッキーは車にはねられてあっけなく死んでしまいます。
病院から帰る傷心のジェイドの前に現れたのはヴィッキーの幽霊(?)。他の人には見えないけれど、ジェイドとは話もできます。
周囲の人は親友をなくしたジェイドを気遣ってくれますが、ジェイドにはいつもヴィッキーが寄り添っています。
でも、何かが変・・・
やがてヴィッキーは・・・

シークレッツ

2005-11-13 01:27:31 | サ・ザ~

ジャクリーン・ウィルソン著:偕成社

インディアは両親に見捨てられていると感じているお金持ちのお嬢さん。アンネ・フランクに心酔していて風変わりと思われていて友達はいません。トレジャーは母親の再婚相手の暴力から逃げている低所得者層の娘。
ひょんなことから知り合い友情を深めていきます。
安心して暮らせる子供時代というのは世界からは失われてしまったのでしょうか。
「大草原の小さな家」のような貧しくとも温かみのある家庭は夢のまた夢なのでしょうか。
子供の世界は貧困からも暴力からも守られなければならないと思います。

ストラヴァガンザ

2005-11-03 11:50:06 | サ・ザ~

メアリ・ホフマン著:小学館

「ストラヴァガンザ」3部作の二作目。
ストラヴァガンザとは「時空を超えて旅すること」を意味します。一作目の「ストラヴァガンザ 仮面の都」では21世紀のイギリスに住む少年ルシアンが不思議な護符に導かれて、16世紀のタリアにストラヴァガントします。ベネツィアによく似た都市「ベレッツァ」でルシアンはルチアーノとして命がけの大冒険をし、美しき女公主ドゥチェッサの危機を救います。しかし、そのためにルシアンが払った犠牲はあまりにも大きく・・・
二作目の本書ではルシアンにひそかに思いを寄せていたジョージアが星の都「レモーラ」にストラヴァガントしてきます。
ルシアンとの再会、ドゥチェッサの最大の敵であるキミチー一族の若き公子たちとの交流を通してジョージアは大きく成長していきます。
翼を持つ馬「メルラ」の誕生が「レモーラ」にもたらした幸運は?
最後まで息つく暇もなく楽しめる本です。