もう1stやりたいなんて言わないよ絶対

（つづき）

開演。


あぁ……、リードが鳴らない。

やっぱりダメだった。

しかし、もう今更仕方がない。

できる演奏をするしかない。



あぁ、直前のチューニングもあったのにピッチが合わない。

何でだ……。



そして、練習で一度も吹けなかった1曲目、

自分が1stの曲の最後の速い部分も当然のように吹けず。

悔しい。



3rdの2曲目、3曲目はピッチも合ってきて、
特に気になる吹き間違いもなく終わった。

洪水は解消できなかったけど。





休憩時間、リードをどうしようかとギリギリまで迷ったが、
もうそのまま替えずにいくことにした。


洪水の対応はこの時にさっとやった。





第2部1曲目、ソロは本番でもうまくいかず。

まぁ練習で吹けなかったのだから当然です。

情けないことに前半の短いソロすら失敗した。

リードが鳴らないのでやはりHiAもなかなか出ず、
結果的に時間をかけて何とか絞り出した感じ。


3ヶ月も頑張ってやってきた練習はいったい何だったのか。

本番では余裕で吹いているイメージしかなかったのに。

結局これが自分の実力ってことになる。

俺どんだけ才能ないんだ。

たぶん普通の人なら3ヶ月も練習し続けたら吹けるようになっているだろう。

実際自分の大学の後輩らはみんなバッチリ吹けていたんだし。


もう、俺どんだけカッコ悪いんだ。

何で俺はカッコ良くなれないんだろう。

こういう運命なのか?

これじゃファンなんてできるわけがないし、
女性にモテるようになるわけもない。


何ヶ月もの構想、成功のイメージが崩れ落ち、
もう悔しさしか残らない。



2曲目以降で次第にリードが鳴るようになってきたというか、
大きい音が出るようになってきて、
その後終演までは満足のいく演奏ができた。



しかし、今回ほど自信を失くした演奏会は極めて珍しい。

今回で自分の実力を思い知らされた。

もう1stがやりたいなんておおっぴらに言わない。


（つづく）