色々な意味で印象に残りやすい『犬若食堂』。
銚子に来た友達を昼飯を食いに行く時に
店の前まで連れて行って「ここにする?」って聞くが
興味を示すものの別の店にしようって事になりがちの
知らない人にとってはヤバい雰囲気100%の食堂ですよ。
小さいし、ナナメってるし、外壁ぼろぼろだし、どう見ても戦後のバラックにしか...
でも、実際は町の良心的な普通の食堂です。
冷凍庫を使わない主義らしくて出てくる刺身のネタはその日の入荷で変わるし
入荷が無かったら注文出来ないメニューがたくさんある事もよくあるので
「メニューにあるのに注文できないなんて!」とかすぐキレる人には無理なお店ですね。
それと、基本的には地元の人を主な客層とする普通の食堂なので
カレーとかラーメンとかフライ盛り合わせなどの一般的なメニューがほとんどです。
観光客が銚子旅行のついでにふらりと立ち寄って
「Yahooグルメや食べログに出てたから行ってみました♪」ってノリで来るような店じゃないね。
海鮮丼とか刺身三色盛りとか煮魚定食などの
いかにも『銚子で魚食ってきました!』的な観光ウケのメニューは無いので
そういうバリエーションに富んだ魚料理を食いたければ
銚子第一漁港周辺の店に行くべきでしょうね。
あと、そういう漁港の町の食堂なので禁煙席とか当たり前に無い事も付け加えておく。
自分がよく注文するのはサルエビのかき揚げ(の定食)です。
カラッていう感じではなくてシットリとした感じのかき揚げで(油の温度が低めなのかな?)
大皿に山盛りで出てくるので一見すると「食べきれるか?」って感じもするけど
さるえびもかき揚げ自体の味もあっさりしてるので問題無く食べきれちゃいます。
小鉢の煮魚とかも自家製だそうで、すごくイイ感じの甘さに煮てあって
ホカホカのご飯によく合うんだよね。
家だったらこの煮魚だけで1食済ましちゃってもいいくらいに美味いっす。
この小鉢もその日によって出てくるものが違うし
場合によっては全く違うものが出てくるのでこれも楽しみの一つです。
ちなみに、犬若食堂ではメニューで○○定食って書き方はあまり無くて
何か単品を頼んでおいて+300円くらいでご飯と漬物、小鉢などを加えて
定食にするっていうシステムですよ。
刺身盛り合わせ(の定食)。
別の日には刺身盛り合わせを注文してみたりしましたよ。
真ん中の白身の刺身が何ていう魚なのか分からないけど
甘くて優しくて最強に美味い味だったなぁ。
次に行ったときにこの刺身が出るとは限らないのがこの店なんだよね。まさに一期一会。
ちなみに左側に乗っているイワシの開きの酢漬けは
テーブル席で一人でテレビ見ながらビール飲んでた漁師のおじさんが
「あんだよー、刺身の写真なんか撮ってるのかよー、だったらコレも美味ぇぞ」って言いながら
自分の小鉢からヒョイと分けてくれた一品だったりする。
この知らない人にもグイグイと話しかけてくるノリがいかにも漁師町って感じだよね。
それはそうと、こういうボロボロを超えて味のありすぎる店構えになったおかげで
ドラマのロケ現場になったり旅番組で紹介されたりする事が度々あるので
店内には色々な有名人のサインが飾られていたりします。
そのうち、とんねるずの「きたなシュラン」とか来るんじゃねぇかと密かに思ってたりします。
また、大昔には鉄腕DASHの流れ板松岡とエプロン城島の対決で
オリジナルメニューの「いわし丼」や「すまし天丼」を作って
それをメニューとして出してた事もあったんだけど
前に「TOKIOの作った『いわし丼』はもうやらないの?」って聞いたら
「あんなの、もうめんどくさくてやらないよ」ってズバッと切り捨てられちゃいましたよ。
漁師町の食堂のおばちゃん強ぇーw
地元銚子漁師のよりどころ『犬若食堂』
話のネタとしては最強におススメのスポット。
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犬若食堂の近くにある「犬岩」
源平時代、兄の頼朝に命を狙われた義経が奥州へ逃げる途中の話。
義経が一緒に連れてきた愛犬『若丸』が平家の亡霊に憑り付かれてしまい
これ以上同行させる事が無理と判断した義経一行は
愛犬を泣く泣くこの地に置き去りにして奥州へ旅立ちました。
海岸に残された「若丸」は主人を慕う余りそれから七日七晩の間吠え続けますが
八日目に鳴き声が止むとともに姿を消してしまい
その代わりに若丸の吠え続けていた場所に犬の形をした大きな奇岩が現れました。
この岩は若丸が悲しみから姿を変えたものとして「犬岩」と呼ばれるようになり
犬岩のある地域を犬若と呼ぶようになったと語り継がれています。
また、若丸が別れた主人を想い七日七晩吠え続けた時の声は
はるか遠くの岬にまで響き渡るほどであったことから
その悲しみの声が響いてきた岬の事を「犬吠埼」と言うようになったそうです。