変人技術士の備忘録(別称:すいりき板改)

技術士の日々の思いつきを列記。
すいりき板は、出身研究室の掲示板(現在閉鎖)
専門用語を不定期掲載

INFLUENCE Science and Practice(影響力の武器)

2017-08-06 22:09:11 | 読書
 図書館で借りて読んだ”影響力の武器”について、感想と覚書を記す。橘玲の” 残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法”や大島洋の”管理職の心得”で触れていたので、読んでみた。社会学者のロバート・B・チャルディーニが著者であり、まえがきで著者は自分のことを、じつにだまされやすい人間でした、と言っている。販売員や募金活動員の頼みを承諾することが多かったと書いている。その承諾に関する六つの原理―返報性、一貫性、社会的証明、好意、権威、希少性について書かれている。これら六つの原理は、人間の自動的な反応に近く、通常は、個人にとっても人間社会にとっても、良い作用を生み出すという説明が書かれている。ただし、中には、販売や募金を増やすために、この六つの原理を悪用する人がいるので、対応策が必要と書かれている。この承諾に関する原理の使い方があまりにも巧みで、使われた人間もなぜ承諾したかがよく分からない事例も紹介されていた。
 参与観察した事例もあり、各章の最後に、まとめと設問があるので、分かりやすい内容だった。読者からのレポートや著者や著者の知人の事例が多く述べられており、その面からも理解しやすい構成となっている。また、先人や他の研究者に対する敬意が頻繁に出てくるので、好感が持てる文章である。
 著者が繰り返し述べているように、承諾の6つの原理―返報性、一貫性、社会的証明、好意、権威、希少性は、いずれも有用な自動反応なので、完全に捨てずにうまく使っていくのが良いと感じた。