「ねこじゃございません」

洋画家 大重玉のblog
Oil Painter.Tama Ohshige.
JAPAN

た、たろ~~ちゃん!!大好き!!!(能ある鷹の爪の行方)

2010年02月22日 | 昼風景画
神奈川にある、岡本太郎美術館にやってきましたー。

で、でかい!!とにかくでかい。台座の下をくぐれます。

今日は日本民家園という、日本古来の民家を時代別に保存してあるのを観にきたのですが(これもほんとにすばらしかった)、同じ園内に岡本さんの館もあるときいて、足をのばしてみました。

館内にあるFRPで制作された彫刻がすばらしかったです。以前から感じていたのですが、岡本太郎さんは絵画よりも彫刻が優れている気がします。自由奔放で、空間処理も独特です。

彼が若いころに浮世絵や他の芸術について発表されている論文を見ると、やはりというか、さすが「世界の岡本」という感じで、頭脳明晰、非常に多弁で緻密な理論派です。父が漫画家、母が小説家という家庭環境なので、当然と言えば当然なのかもしれませんが。

「芸術は爆発だ~~!!!」と目をむき出して、手を震わせているのはそんな彼の、芸術に関心のない人々を巻き込むための究極の一発芸だった気がします。芸術に無関心なすべての人を振り向かせるためのバカな振りというか、ピエロになりきったというか。楽屋で綿密な打ち合わせをしている北野武さんが、カメラが回ると、とたんに「コマネチ!!」とやるのに近い感じがします。

「OUI,TARO~」といって、フランスのテレビ局が取材してきたときに、とっさに流暢なフランス語でバーーっとシリアスに返す彼は、もはや我々の知っている、愛すべき「我が道を行くゲイジツ家」ではなく、最新鋭の理論と武器を備えた世界に通用するアーティストです。パンダの着ぐるみを着た中田英寿というか、クマのぬいぐるみをかぶったイチローというか。。

「え~~!!!着ぐるみしか見てなかったよ~~」というそこのあなた。

岡本太郎。ぜひおすすめします。世界に誇れる我が国きってのアーティストです。

学ぶ、冒険。

2010年02月12日 | 作品
石膏像が好きです。洋画(油絵)を専攻とする者にはもう避けてはとおれない宿命的なものですが。
学生のころにはもうギネスに載るくらいの枚数を木炭でやらされるのです。(実際みんな、自分の木炭の枚数を数えれば必ずギネスに載るはず、いやいやおれだおれだ、と言い張る。笑)

だからたいていの美大生は石膏像が大嫌い。。マルス、ブルータス、アリアス、モリエール。みんなギリシャ神話にでてくるような偉人たちばかりなのですが、かくいうわたしも嫌いでした。だってだって、毎日朝から晩まで木炭なんだもの。。もういやんなっちゃう。

そして美大を卒業し、数年経つと、不思議と恋しくなるのです。まったくもって不思議ですが。

ほどなくして作家活動をはじめたわたしは、過去の偉人たちにならって、いつかは彫刻をせねばならないと思っていました。ピカソ、モディリアーニ、ダリ、ミケ、名だたる絵画の巨匠たちがこぞって彫刻に創造的な新たな活路を見出していたからです。

しかしわたしは逃げました。笑。なんとしてでも、ノミをにぎることだけは避けたいと思っていました。だって、だって、、、、彫刻、、大変なんですもの。もう本当にたいへんなんです。粉まみれになって、重労働で。。美術における3Kです。(きつい、きたない、きゃーきゃー(声援。この場合、理解者)がない)

とかなんとかいいながら、去年やっと制作にこぎ着けたのです。
そのときの、展覧会で初公開したわたしの彫刻作品をページに載せています。
そのほとんどは石膏像です。正確には彫塑といって、粘土で製作し、石膏で型をとり、そこにさらに石膏を流して製作しています。
よろしくどうぞ、お願いいたします。
http://www007.upp.so-net.ne.jp/rafel/sculpture.html

眼をとじればきこえる声

2010年02月05日 | 夜風景画
大きな川。悠然とした流れ。川沿いをずっとあるいています。

ずっと以前に住んでいたことのある街で知り合った友人たちは、みなぞれぞれ別の道をあるいていて、半年に一度くらいこうして集まって、カフェをはしごし、あるいてあるいて、とくに目的地もなく、それぞれについての話をします。

「次に右岸にカフェがあったら、はいろうね」

それぞれに人生があり、目標があり、毎日があります。半年に一度のわたしからすれば、もっと大胆に行動をおこせばいいのに、と思うことしばしばですが、それはおそらくお互いさまなのでしょう、わたしの話のときには、女性陣はただただ笑ってくれています。

それでもこうして、半年に一度だけ、おたがいをたしかめあえることは貴重です。世間や社会からの一方的な期待を別のところに置いておいて、わたしのことをみてくれる人たちがいるというのは。

そうこうしていると、前方からきれいな灯りがもれています。
「あれ、カフェじゃない?」とだれかが声をあげ、わたしたちは期待に歩をはやめます。

今日はとてもとても青い夜です。このあたたかい蒼さが私にまたしばらくまとわりついて、孤独な夜に絵を描かせてくれるのです。