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MIUコンサルティングオフィス・社会保険労務士三浦剛のブログです。

労働者派遣法改正案、雇用保険法改正案が成立

2012年03月29日 | 社会保険労務士
 昨日(28日)参院本会議で、労働者派遣法改正案、雇用保険法改正案が可決、成立しました。

 労働者派遣法改正案は2010年4月に衆院に提出されました。
 08年秋のリーマン・ショックに伴う派遣労働者の大量失職などを受け、派遣の労働環境を改善することを目的として改正案がだされました。
 紆余曲折、約2年を経てようやく成立です。

 10年4月に、製造業派遣や登録型派遣を原則禁止する規定を盛り込んだ同法改正案を国会提出されました。しかし、自公両党が企業経営の圧迫要因になるとして反対などで継続審議に。

 昨年秋の臨時国会での民主、自民、公明による修正合意。
 目玉と言われた製造業派遣と登録型派遣(仕事がある時だけ雇用契約を結ぶ)の原則禁止規定は削除されました。短期派遣の禁止は対象が「2カ月以内」から「30日以内」に。みなし雇用制度の施行も3年後に先送りされました。
 なお、同一グループ企業内への派遣割合を8割以下に規制、派遣会社に派遣料金と派遣社員の賃金の差額の比率(マージン率)の公開が義務づけられます。
 労働者派遣の規制強化の色合いは薄まった形となっています。



 雇用保険法改正案は、リーマンショック以降に実施している暫定措置を延長されます。
 
○個別延長給付の延長
 解雇・倒産・雇止めによる離職者について、年齢や地域を踏まえ、特に就職が困難と認められる場合に給付日数を最大60日延長する暫定措置

○雇止めによる離職者に対する給付日数の拡充措置の延長
 雇止めにより離職した者の給付日数(90~150日)を、解雇・倒産による離職者の給付日数(90~330日)並みとする暫定措置

 などが2年間(平成25年度末まで)延長されます。
 ただ、受講手当「日額500円」を「日額700円」に引き上げる暫定措置は平成24年3月31日をもって終了します。


厚労省が提出した法律案

2012年03月27日 | 社会保険労務士
第180回国会に、厚生労働省が提出した法律案が厚労省HPにアップされています。
(そこから引用しています)

【雇用保険にかんして】
…現下の厳しい雇用情勢に対応して労働者の生活及び雇用の安定を図るための雇用保険法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案
■1.個別延長給付の延長
 ▽解雇・倒産・雇止めによる離職者について、年齢や地域を踏まえ、特に就職が困難と認められる場合に給付日数を最大60日延長する暫定措置を、2年間(平成25年度末まで)延長する
■2.雇止めによる離職者に対する給付日数の拡充措置の延長
 ▽雇止めにより離職した者の給付日数(90~150日)を、解雇・倒産による離職者の給付日数(90~330日)並みとする暫定措置を、2年間(平成25年度末まで)延長する

【児童手当】…児童手当法の一部を改正する法律案
■1.題名 : 「子どものための手当の支給に関する法律」に改正
■2.子どものための手当の支給額
 ▽所得制限額未満である者
  3歳未満 月額1万5千円
  3歳以上小学校修了前(第1子・第2子) 月額1万円
  3歳以上小学校修了前(第3子以降) 月額1万5千
 ▽所得制限額以上である者
  月額5千円
 ※所得制限額は、960万円(夫婦・子ども2人世帯)を基準に設定(政令で規定)し、平成24年6月分から適用する。

【国民健康保険】…国民健康保険法の一部を改正する法律案
■1.財政基盤強化策の恒久化
 ▽平成22年度から平成25年度までの暫定措置である市町村国保の財政基盤強化策(保険者支援制度及び都道府県単位の共同事業(高額医療費共同事業及び保険財政共同安定化事業))を恒久化する。
■2.財政運営の都道府県単位化の推進
 ▽市町村国保の都道府県単位の共同事業(保険財政共同安定化事業)について、事業対象を全ての医療費に拡大する。
■3.都道府県調整交付金の割合の引上げ
 ▽都道府県の財政調整機能の強化と市町村国保財政の共同事業の拡大の円滑な推進等のため、都道府県調整交付金を給付費等の7%から9%に引き上げる。
 ※これに伴い、定率国庫負担を給付費等の32%とする。

【国民年金】…国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案
■1.基礎年金国庫負担2分の1関係
 ▽平成24年度について、国庫は、交付国債により、基礎年金国庫負担割合2分の1と36.5%の差額を負担することとする。
 ▽平成24年度の国民年金保険料の免除期間について、基礎年金国庫負担割合2分の1を前提に年金額を計算するものとする。
■2.特例水準の解消関係
 ▽世代間公平の観点から、老齢基礎年金等の年金額の特例水準(2.5%)について、平成24年度から平成26年度までの3年間で解消する。
 ▽これまで年金と連動して同じスライド措置が採られてきたひとり親家庭や障害者等の手当の特例水準(1.7%)についても、平成24年度から平成26年度までの3年間で解消する。

【有期労働法制化】…労働契約法の一部を改正する法律案
 ▼有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合は、労働者の申込みにより、無期労働契約に転換させる仕組みを導入する。
 ▼雇止め法理(判例法理) を制定法化する。
 ▼有期契約労働者の労働条件が、期間の定めがあることにより無期契約労働者の労働条件と相違する場合、その相違は、職務の内容や配置の変更の範囲等を考慮して、不合理と認められるものであってはならないものとする。

【継続雇用制度】…高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案
 ▼継続雇用制度の対象となる高年齢者につき事業主が労使協定により定める基準により限定できる仕組みを廃止する。
 ▼継続雇用制度の対象となる高年齢者が雇用される企業の範囲をグループ企業まで拡大する仕組みを設ける。
 ▼高年齢者雇用確保措置義務に関する勧告に従わない企業名を公表する規定を設ける。
 ▼雇用機会の増大の目標の対象となる高年齢者を65歳以上の者にまで拡大するとともに、所要の整備を行う。

有期労働契約の在り方改正へ 労政審「概ね妥当」と答申

2012年03月19日 | 社会保険労務士
 派遣法は成立しそうですね。その他の改正はどうなるのでしょうか?

●雇用保険法改正案が16日の衆院本会議で、全会一致で衆院通過
 就職が難しい失業者への給付日数を最大60日間延ばす暫定措置が2012年度から2年間延長されます。この暫定措置は今年3月末までの期限でしたが、雇用環境がまだまだ厳しいことから延長されることになりました。

●「労働契約法の一部を改正する法律案要綱」を「おおむね妥当」と答申
 厚生労働省の労働政策審議会(会長 諏訪康雄 法政大学大学院政策創造研究科教授)は16日、諮問を受けていた「労働契約法の一部を改正する法律案要綱」を「おおむね妥当」として、小宮山洋子厚生労働大臣に答申しました。
 この法律案要綱は、昨年12月26日同審議会の建議「有期労働契約の在り方について」に基づいたもので、2月29日に厚生労働大臣から同審議会に諮問していたものです。
 答申を踏まえ、厚生労働省では、開会中の通常国会に改正法案を提出する予定です。

 ポイントは以下のとおりです。
1.有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合に、
 労働者から申込みがあれば、期間の定めのない労働契約への転換する制度が導入されます。
  ▽労働条件は、今までと同じでオッケーです。
  ▽いわゆるクーリング期間(原則6ヶ月以上)もあります。

2.雇止め法理(判例法理)が制定法化されます。

3.期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止


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 弊オフィスのセミナーでも詳しく解説をします。

 《ちょと早めに知っておきたい法改正セミナー》
 日時 平成24年3月27日(火) 午後6時30分~午後8時30分
 場所 クレオ大阪中央3F「研修室2」(大阪市天王寺区上汐5-6-25)

 詳しくは、こちらまで ちょと早めに知っておきたい法改正セミナー 

改正高年齢者法案

2012年03月13日 | 社会保険労務士
 【65歳までの再雇用義務付けに反発―経団連会長会見】
               《PSRnetwork 3月13日より》

 2012年3月12日、経団連の米倉弘昌会長は会見で、政府が65歳までの再雇用を事実上義務付けた高年齢者雇用安定法改正案を閣議決定したことに対し、「厳しい経済情勢で、企業の負担を大きくするような仕組みはやめてもらいたい」との考えを述べました。

 政府が進めている短時間労働者の厚生年金加入の検討についても「国民年金の加入者は(厚生年金)と保険料の差があるのに同じような年金をもらうのは不公平」と指摘し、「労働者間の不公平を引き起こすことがあってはならない」と強調しました。

 また、製造業の派遣労働の禁止が削除された労働者派遣法の改正案の衆院通過についても「製造業で派遣労働者が禁止されると、働きたい人がいても雇う人数を削らざるを得ない」と語り「衆院の通過は歓迎だが、雇用の確保のためにも参院の議論を注視したい」と述べました。

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 改正高年齢者法案は、3月9日に国会に提出されました。

 さて、会社としては、当然、引き続き雇用したいと考える人材はいれば、引き続き雇用したくない人材もいるでしょう

 法律は、長年働いてきたのだから、これからも働き続ける職場を提供しなさい。だって、無収入になる人がでると困るでしょう!

 二つのことをすんなりとおさまるには?
 会社の都合による解雇に対する制約をどうするのか?この点が大きいと改めて思います。
 ただ、立場により議論のあるところでしょうね。

 年金の支給開始年齢は、それほど遠くない時期に引き上げられそうです。やがては68歳、そして70歳、いや70歳を超える年齢となるかもしれません。そのときも、年金支給開始年齢まで会社に雇用の継続を法律上の義務として負わせるのかな?雇用に責任を負うのは会社だけではないでしょう。働くご本人にも、そして、国の責任もあると考えます。
 みなさんはどのように考えますか?


 さて、大阪近辺にお住まいの社長さんへセミナーのご案内です。

 《ちょと早めに知っておきたい法改正セミナー》

 高齢者雇用の義務化、有期労働契約への規制強化などの人事労務管理において大きな影響を及ぼす可能が高い法改正が予定されています。検討が進められている各種法改正のポイントと人事労務管理への影響とその対策を解説するセミナーです。

  日時 平成24年3月27日(火) 午後6時30分~午後8時30分
  場所 クレオ大阪中央3F「研修室2」(大阪市天王寺区上汐5-6-25)

  詳しくは、こちらまで ちょと早めに知っておきたい法改正セミナー 

継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みは廃止に

2012年03月02日 | 社会保険労務士
 YKKが定年を65歳に延長して 再雇用制度を廃止するという記事がありました。2014年3月期から26年3月期にかけて段階的に移行するそうです。
 年金の支給開始年齢を引き上げによる無年金の期間を回避する狙いとのこと。人事評価はどうする、給与は?様々な課題が待ち受けています。

 さて、2月23日、労働政策審議会が平成25年4月改正に向け、高年法(高年齢者等の雇用の安定等に関する法律)の改正案を了承しました。

 法律案要綱のポイントは以下になっています。
1.継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みの廃止
  継続雇用制度の対象となる高年齢者を、事業主が労使協定で定める基準によって限定できる仕組みを廃止する。
2.継続雇用制度の対象者が雇用される企業の範囲の拡大
  継続雇用制度の対象となる高年齢者が雇用される企業の範囲を、グループ企業にまで拡大する仕組みを設ける。
3.義務違反の企業に対する公表規定の導入
  高年齢者雇用確保措置義務に関する勧告に従わない企業名を公表する規定を設ける。
4.「高年齢者等職業安定対策基本方針」の見直し
  雇用機会の増大の目標の対象となる高年齢者を65歳以上にまで拡大する。

 また、改正法の施行には経過措置を設けることとしています。
 今回の改正案のもとになっている、今年1月6日に示された労働政策審議会の建議「今後の高年齢者雇用対策について」があります。そこでは「老齢厚生年金(報酬比例分)の支給開始年齢の段階的引上げを勘案し、雇用と年金を確実に接続した以降は、できる限り長期間にわたり現行の9条2項に基づく対象者基準を利用できる特例を認める」ことを法案に盛り込むとされています。
 年金の受給年齢の引き上げにともなって「希望者は全員」にしましょう、と言うことです。 

 国会はどうなるのでしょうか?
 施行期日を平成25年4月1日としている改正案は、近く国会に提出予定です。