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MIUコンサルティングオフィス・社会保険労務士三浦剛のブログです。

法改正(社会保険関係)+脱退手当金

2010年03月30日 | 社会保険労務士
社会保険関係は、費用負担増の可能性大の改正が多いです。

健康保険法では、協会管掌健康保険(協会けんぽ)で
介護保険料率が2010年3月より、1000分の11.9から1000分の15.0へ。
都道府県単位の保険料率も2010年3月分より、全国平均で1000分の82.0から1000分の93.4へ(詳しくは、2月16日「協会けんぽの保険率決定」)

厚生年金の保険料率の改定は、2010年9月から1000分の160.58になります。
また、65歳以上の在職老齢年金に係る支給停止調整額が、4月から「47万円」の改定されます。(詳しくは、3月19日「22年度の在職老齢年金の支給停止基準額」)

国民年金保険料は、4月から月額15,100円になります。

年金給付額は据え置きです。(5年連続ですね、2月10日「年金支給額据え置き」)


さて、『脱退手当金制度を巡り、新基準による救済認める』という記事もありました。

脱退手当金は、昭和61(1986)年の基礎年金の導入によって廃止された制度です。それで「?」の人も多いのではないでしょうか?現在は
1.昭和16(1941)年4月1日以前生まれ
2.厚生年金の加入期間が5年以上ある
3.被保険者資格を喪失している
4.60歳になっている
5.老齢厚生年金(旧法の老齢年金および通算老齢年金を含む)の受給資格がない
の5つの条件を満たした方に支給されています。

 しかしながら、廃止前の当制度は、厚生年金を脱退する際、納めた保険料を一時金として受け取る仕組みとなっており、結婚などで退職する女性が利用する例が多くありました。算定期間に漏れがあった人は19万人に及ぶとされています。また、事業所が脱退手当金を本人に渡さずに着服した例も多いとみられています。

 86年に廃止された厚生年金保険料の相当額を払い戻す脱退手当金制度を巡り、29日、年金記録回復委員会は、年金事務所窓口で訂正を認める新しい救済基準を了承しました。

 新しい基準は「手当の支給日以前に、漏れていた厚生年金の加入期間がある」ことが要件で、同じ年金番号に手当の対象期間と漏れていた期間がある人や、別の番号でも手当支給日から1年以内に厚生年金に加入、もしくは国民年金に加入し未納がない等の場合は、支給はなかったとみなされます。

 また「ねんきん特別便」での記録漏れにより年金が減額となる場合は、対象の受給者に訂正が必要か確認する方針で合意されました。

厚生年金基金の4割が積立金を崩す

2010年03月29日 | 社会保険労務士
【厚生年金基金、給付額が収入超す勢い 08年度、4割が積立金崩す】
 厚生年金基金の「高齢化」が進んでいる。2008年度は年金を受け取る人が2年連続で増える一方、保険料(掛け金)を払う加入者数は11年連続で減った。その結果、収入に対する給付額の割合は過去最高の92.6%となった。全体の約4割の基金では100%を超え、積立金を取り崩して給付している。団塊世代の年金受給が本格化しているため、09年度は全体でも100%を突破する公算が大きい。基金の運営は一段と厳しくなりそうだ。


 厚生年金基金は将来の年金額をあらかじめ決めておく「確定給付型」の企業年金制度の一つ。公的年金の2階部分にあたる厚生年金を取り込んで一体運用する形態だ。1997年ごろには全国で約1900基金あり、加入者は1200万人を超えていた。その後は運用環境の低迷で維持が難しくなり、確定拠出年金などに移行する例が続出。08年度末時点の基金数は609に減った。。《日経Web版 2010/3/28 07:00》

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以下、企業年金連合会によると
08年度の加入者は439万人(前年度比5.0%減)
退職して年金をもらっている人は244万人(前年度比4.1%増)
年金受給者の加入者に対する割合は55.6%(過去最高、10年前の2.6倍)

保険料収入に対する給付額の割合は92.6%(前年度比9.1ポイント上昇)
  (その年の給付に必要な額)=(年間の保険料収入のほぼ全額)です。
10年前の98年度はこの割合が44.4%
  (その年の給付に必要な額)=(年間の保険料収入の約半分)です。
   収入の半分以上が積み立てに回ります。

しかも、この割合が100%を突破した
  (その年の給付に必要な額)>(年間の保険料収入のほぼ全額)
な基金が、08年度は全体の約4割に当たる246の基金。

企業年金は「賦課方式」ではなく、給付に必要な費用をためておく「事前積み立て方式」が原則です。給付のために積立金を取り崩し自体は問題ないそうですが、運用難の状況も考えると積立金が減り具合が心配ですね。昨年度が08年度より良くなる材料が少ないことを考えると、保険料収入は減、給付分を保険料で賄えない基金は増になりそうです。

予定利率5.5%をまだまだ多くの厚年基金(86%)が採用しているそうです。これを引き下げないと現実にはたいへんですよね。でも、それにはハードルも多々ありますが…。あとは、保険料率アップも考えられます。現役は、ますます苦しくなりそうです。


厚生労働省は、年金資産が積み立て不足のままでも解散できる特例措置を2011年度から導入する方針を固めたと言われています。
基金の解散には、代行部分の積み立て不足を一括払いで解消(現在のルール)が必要ですが、それを分割払いを認めましょうという内容です(大雑把すぎるかな^^;)
これは、「穴埋めの資金がなくて解散できない」→「資産の劣化」の悪循環に陥る基金には助かる措置になるかもしれませんね。

コンプライアンス経営へ No.16(賃金台帳)

2010年03月28日 | 会社の法律ミニレッスン
企業へのコンプライアンス(法令遵守)の要請は高まっています。
「知らなかった」では済まなくなってきています。日曜日、「会社の法律」をお勉強!

第16回は、「賃金台帳」です。
4月になり新しく社員が入ってくる会社では、準備に忙しい時期です。
準備物の中に労働者名簿、賃金台帳そして出勤簿(タイムカード)があります。

賃金台帳は、使用者が労働者の賃金を記載した書面です。
休業手当、解雇予告手当などを支払うときの基礎になる平均賃金を算定する時にも重要です。

□事業の種類や規模に関係なく事業場ごとに作成が必要です。
□すべての労働者が対象です。
  常時使用している労働者だけでなく、アルバイトや日雇い労働者にも必要です。
□賃金支払いの都度、遅滞なく必要な事項を記入しなければならない。
□必要記載事項には
 1.氏名  2.性別  3.賃金計算期間  4.労働日数
 5.労働時間数  6.時間外労働時間数、休日労働時間数、深夜労働時間数
 7.基本給、手当その他賃金の種類毎にその額
 8.賃金の一部を控除した場合のその額
  ※通勤手当として定期券を現物支給の場合は、その評価総額の記載が必要です。

今は、パソコン等で管理が多いでしょうね。
賃金台帳は、原則書面で作成することとされていますが、要件を満たせば他の方法による調整も許されています。(作成ではなく「調整」といいます:社労士受験生は大丈夫ですよね)
磁気ディスク、本社のサーバー等に賃金台帳作成の場合は
□1 法定必要事項を満たし、かつ、事業場ごとにそれぞれ画面に表示し印字する装置を備え付ける措置を講じること(事業所ごとにプリントできるようにして下さい)
□2 臨検監督などの際に閲覧、提出が必要とされる場合、直ちに必要事項が明らかにされ、写しを提出できるシステムであること。
の2点が求められるます。(H7.3.10 基収第94号)

労働者名簿と賃金台帳をあわせて作成することは認められています(労基法施行規則第55条の2)。労働者名簿に記載しなければならない事項は、次の7点
1.労働者の氏名、生年月日、履歴  2.性別  3.住所
4.従事する業務の種類
   (ただし、常時30人未満の労働者を使用する事業場においては記載不要)
5.雇入れの年月日
6.退職の年月日およびその事由(退職事由が解雇の場合はその理由を含む)
7.死亡の年月日およびその原因
合わせて作る場合は3~7の記載が必要になります。

なお、事業場ごとに作成する労働者名簿ですが、日雇労働者は作成の必要がありません。

最後に種類の保存義務について
賃金台帳は最後の記載をした日からら3年間保存する必要がある。
労働者名簿は労働者の死亡、退職または解雇の日から3年間保存する必要があります。
合わせて作成した場合は、保存期間の長い方に合わせて保存しなければなりません。

給与所得、退職所得に対する所得税源泉徴収簿と合わせて作成されているところもありますね。所得税源泉徴収簿の保存期間は、記載し終わった日の属する年の翌年の3月15日の翌日から7年間になります。労働法の世界では2年と3年と5年が多いのですが、7年は所得税法の世界です。

法改正(育児・介護休業法)

2010年03月26日 | 社会保険労務士
今日も寒かったです。

主要な改正は6月30日施行になっていますが、この4月1日施行の改正もあります。
◆調停制度の創設
 育児・介護休業法に定める事項についての紛争の当事者である労働者、事業主の双方又は一方から申請があった場合で、都道府県労働局長がその紛争の解決に必要と認めた場合、学識経験者などの専門家で構成される第三者機関である「両立支援調停会議」に調停を行わせる仕組みが、新たに整備されました。
 事業主は、労働者が調停の申請をしたことを理由として解雇その他不利益な取扱いをすることは禁止されます。
 都道府県労働局長は、上記の事項*についての労働者と事業主との間の紛争の当事者の双方又は一方から調停の申請があった場合において当該紛争の解決のために必要があると認めるときは、紛争調整委員会に調停を行わせることになります。

対象となる事項は
育児休業、介護休業、子の看護休暇、介護休暇、所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限、所定労働時間の短縮措置等、労働者の配置に関する配慮になります。


改正育児・介護休業法の施行3段階ですね。
昨年9月30日施行で、すでにスタートしているのは
1 苦情の自主的解決 
2 都道府県労働局長による紛争解決の援助
3 企業名公表制度の創設   
これは、 育児・介護休業法の規定に違反している事業主に対して、
     厚生労働大臣が法違反の是正についての勧告をした場合に、
     その勧告を受けた事業主がこれに従わなかったときは、
     その旨を公表することができるという内容になります。
4 過料の創設 
   厚生労働大臣(その委任を受けた都道府県労働局長)は、
   同法の施行に関し必要があると認めるときは、
   事業主に対して報告を求めることができるますが
   報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、20万円以下の過料になります。

法改正(高年齢者等雇用安定法)

2010年03月25日 | 社会保険労務士
昨日(24日)に衆院厚生労働委員会で賛成多数で可決された雇用保険法改正案は、今日、衆議院で可決されました。

と言うことで、遅い時間帯でのブログ更新になります。
雨の中をウロウロしていました^^;

雇用保険法の改正は後日にします。
今日は「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(高年齢者等雇用安定法)です。

この法律は、少なくとも年金支給開始年齢までは継続して働くことができるように、平成16年6月に改正されました。大きく3つあります。
1.高年齢者等の安定した雇用の措置(H18.4.1施行)
◆1 高年齢者雇用確保措置の義務化
   ① 65歳までの定年の引き上げ
   ② 65歳までの継続雇用制度の導入
   ③ 定年の定めの廃止
◆2 高年齢者雇用確保措置における対象年齢の段階的引き上げ
   □平成18年4月~19年3月・・・62歳まで
   □平成19年4月~22年3月・・・63歳まで
   □平成22年4月~25年3月・・・64歳まで
   □平成25年4月~    ・・・・・・65歳まで
2.高年齢者等の再就職の促進(H16.12.1施行)
◆1 求職活動支援署の作成等
◆2 募集、採用についての理由の掲示等
3.シルバー人材センターが行う一般労働者派遣の特例(H16.12.1施行)

この4月から、高年齢者雇用確保措置に係わる義務化年齢が「64歳」に引き上げられることになります。
これが意外とわかりにくいですね。1年経つと1歳年齢が上がるので。それなりにややこしいなあと感じる方は多いのではないでしょうか?(実は、私もよく混乱してしまいます^^;)

なぜ4月2日~なのか?
これもややこしい!昭和22年4月1日生まれの方は、年齢に関する法律では3月31日に64歳になります


昭和22(1947)年4月2日~昭和24(1949)年4月1日生まれの方が64歳までになります。平成25年に65歳引き上げがありますので
昭和24(1949)年4月2日以降生まれの方は、65歳までの雇用確保になります。


継続雇用制度って何?
希望者を定年後も引き続いて雇用する制度です。
ただ、労使協定の締結で継続雇用の対象者の基準を定めることが認められています。ところが、うまくまとまらない会社のために、経過措置として、就業規則等で基準を定めることができるようになっています。この経過措置は大企業では終了しましたが、中小企業では来年(2011年)3月31日に終了になっています。労使協定への切り替えの準備が必要になってきます。
こちらの方が大切ですか?