水川青話 by Yuko Kato

時事ネタやエンタテインメントなどの話題を。タイトルは勝海舟の「氷川清話」のもじりです。

・ジョン・スチュワートのThe Daily Show収録を観てきたよ

2012-07-06 02:26:55 | Jon Stewart & Stephen Colbert

 番組開始から14年目を迎えるThe Daily Show(TDS)、私が観るようになってかれこれ12年くらいでしょうか。2000年大統領選の頃に発見したんだと思います。2010年秋にジョンとスティーブンがワシントンで開いたthe Rally to Restore Sanity and/or Fearに行った時、ジョンを初めて生で観たのでしたが、その時、私の位置から見える彼は身長5センチくらい。いくらジョンが背が低めとはいえ、これは小さすぎ。ラリー自体はむちゃくちゃ面白かったので、ワシントン2泊の弾丸旅行に行ったことはまるで後悔してませんが、The Daily Show本体の収録を観たいな観たいな、というのが念願でした。

とはいえ「いつでもやってる」という安心感は逆に「よし行くぞ」というモチベーションに成りにくく、今回別件(最近猛烈にはまってるJim Parsonsの主演舞台)で訪米予定が先に決まったのを機に、「よし観るぞ」と。

で、結論から先にいえば6月28日の収録を観たのですが、そこに至るまで色々あり。きちんとした文章にするのが面倒なので箇条書きにしますが、自分も行きたいという方のご参考になればと書き留めておきます。

・The Daily Showは基本、月~木の収録と放送です。その日の午後6時~7時くらいの間に収録して、その日の午後11時から放送します。

・ニューヨークの52nd and 11th(52nd Street と11th Avenueの交差するところ)にスタジオがあります。ミッドタウンで、島の西側です。専用スタジオには観客が150人くらい入るのかな?

(青い廂が出ているのが、TDSのスタジオの建物。奥が多分オフィス)

・観覧希望はこのページから申し込みます。「メールで」という情報もネット上にはありますが、今では一般人はここからの応募一本みたいです。

・NYやその近くに住んでいて、いつでも行かれるという人はこのURLを開いてそこで募集がかかってる日にちに応募する、というのんびりしたやり方でいいと思いますが、日本から行く場合はおそらく(今回の私のように)「この日しかダメ!」「この週しかダメ!」というケースが多いのでは? となるとけっこう厄介です。100席以上の募集がいつアップされるか分からないので。このページに「メルアドを登録すれば教えるよ」なんて入力フォームがありますが、信じないように。一度も連絡が来たことはありません。

・しばらく観察していたところ、どうも収録時期の二カ月か一カ月半くらい前に、まず100席以上の募集をかけるみたいです。ただし、人気番組ですから、100席以上といってもけっこうあっという間になくなります。しかも、観覧は無料ですし。

・そして困ったことに私は今回、window of opportunityというか、収録があってかつ自分が行かれる日が、あまりにピンポイントの6/28しかなかったのです。にもかかわらず、この大量放出のタイミングを完全に逃したと。気がついたら、いくらこのページを開いても全然募集がかからず、次にやっと募集がかかったと思ったら8月のだったと。130席とかそこらの募集が出ているのを見て、ええい8月にも行ってしまええ!と何度思ったことか。でも破産とかしたくないし、会社の籍も失いたくないので、そこはぐっと思いとどまった社会人。

・なので、ほとんど諦めていました。TDSが観られないのは残念だけど、ジム・パーソンズの芝居と、あとロンドンで見逃して悔しかったOne Man Two Guvnorsはすごい前方の良席で観られるからいいじゃないかと。それにNY在住の友達に久々に会えるんだからいいじゃないかと。

・でも、歌舞伎のチケットが公演間際になるといわゆる「戻り」が出るのと同じように、TDSも収録日直前になると2枚とか3枚がパラパラ出るのは、これは日頃からこのページを観ていたので気づいていました。でも2枚とか3枚なので、本当に一瞬でなくなります。その希望ともいえない希望に賭けることにしました(なんかドラマチック)。

・最後の数枚がいつ出るか分からないので、6月20日ごろからは毎時間のようにしつこくこのページをチェック。24日ごろからは出来る限り30分おきぐらいの頻度でチェック。そして25日には日本時間の深夜、つまり向こうのスタッフが仕事を始める朝の時間を狙って、10分おきにリロード。すると、あら! 私が見たい28日の週、つまり月曜日の25日の分から2枚ずつとか3枚ずつとか、募集が始まったのでした! おお!

・なのでじりじりしながら、3分おきくらいにリロードを続け、月曜日の募集がかかって終わり、火曜日の募集がかかって終わり……etc, etc,と時は過ぎてゆき、おお27日は4枚追加がかかった、おお! 終わった! では次は、リロードリロードリロード………………おおおおお! 出た28日!!!!

・すでにメモ帳ソフトに打ち込んであった必要事項(氏名その他)をパシパシパシっとコピペしていき、Enter! おおおお!……という、そういうことをやっていたわけです。25日に。わははは。

・ウエブページでの応募が正常に受付られると、メールが来て、そのメール経由でコンファームすると、上記したスタジオの位置など観覧に必要な詳細がメールで送られて来ます。

・ポイントとなるのは、予約=席が確保されているわけではない、ということ。なにせ無料ですから、当日勝手に来ない人がたくさんいると、客席に空きが出てしまって「絵」的に困るわけです。なので念のため、多めにブッキングしているとのこと。なので当日、整理券を配ります。その整理券が入場券ですと、案内のメールに書いてあります。

・整理券を配り始めるのは当日のアバウト午後2時半(えーと日本ではないので、後述するように時間はどれもけっこうアバウトです)。整理券の番号順に4時半から入場開始。そして収録はだいたい7時~7時半まで。あとは録音や撮影禁止とか、当たり前のことが案内メールに色々と書いてあります。

・このメールを持って当日、整理券のために並ぶわけです。

・さて私は今回、28日朝にJFK到着のNY入り。入管に1時間かかり、タクシーは朝の渋滞に巻き込まれ、ホテルに着いたのが9時半すぎ。医療保険改革法に関する連邦最高裁の憲法判断が出る日だったので、ホテルで朝ご飯を食べながらCNNを観ていたら、ご存知の通りの「違憲です!違憲判決が……あれ?ちょっと待って」というCNN誤報騒ぎが目の前で(笑)。今日のTDSがこれを取り上げないわけはないなと笑いながら、The Daily Showのスタジオに向かいました。

・私が泊まっていたのはミッドタウンのイーストサイド。スタジオまでタクシーに乗れば(そして渋滞がなければ……でも渋滞は平日昼間は必ずある)15分くらいかな。けれども実に久しぶりのNYだったので、歩くことにしました。昔の勤め先を外から見に行ったりとあれこれ寄り道しながら。まっすぐ歩けば30分くらいかな。

 

(着いた直後。まだ先着のおばさんと私以外誰もいない)

・西へ西へと歩くに連れ、住んでいた頃にはこの辺まで来たことないやというネイバーフッドに。「おお、あれがTDSのスタジオだ!」と到着したのが正午前でしょうか。一番乗り……ではなかったのがすごい。椅子持参のおばさまが一番でした。ご夫婦だったので、私は結局3番。

・そして約2時間半、列の前後の人たちと雑談したり、本を読んだりしながら過ごす間に、列はどんどん伸びて行き、2時半の少し前くらいに着いた人たちは列の長さを見てがっかりした顔をする……というのが繰り返されるように。2時半ジャストについた若い女性たちなどは気の毒になるほどのがっかりぶり。

 

(午後1時半くらいかな。列が伸びてきました)

 

・2時半を少し過ぎたあたりで係の人たちが出てきて、整理券を配布。「今頃やってきたあんたらは入れないかもしれないよ。だって先頭の人たちはもう何時間も待ってたんだからさ」と。まあそうだけど、そう言わんといてあげてよ。

・整理券をもらって、必ず4時半には戻ってくるようにと念を押され、そしていったん解散。ここで私は、本当ならNYを訪れて真っ先に行かなくてはならないところへタクシーで急行。それはどこかというと、はい、グラウンド・ゼロです。敷地内に入る予約はしていなかったので、外から眺めるだけでしたが。外から黙祷。

・ここで私は判断ミスをしました。NYの平日昼間の渋滞を甘く見たのです。住んでいた頃、平日昼間はオフィスにいたので、外の渋滞の様子をよく分かっていなかったとも言えます。お手洗いに行っておきたかったし、フロントに預けておいた荷物を拾ってちゃんと部屋に入りたかったし、ここでいったんホテルに戻ってしまった。それがものごっつい渋滞のせいで、ものごっつい時間がかかった。ホテルについて部屋に入ったころには、もう4時前。慌てて外に出るも、なかなか空いてるタクシーが来ない。しかも行ってほしい方向に走ってない(NYは大阪と似ていて、ほとんどの道が一方通行)。地下鉄で行くのは不便。というか私が、NYの地下鉄が苦手。

・タクシーを待ちながらずんずん歩き始めます。最初は普通のペースだったのが、タイムズスクエアの近くでもう4時15分くらいだったので、「やばい」と早足に。このまま車が拾えなかったらやばい、やばいぜやばい!!!と早足がもっと早足になり、さらに競歩みたいになり、ついには走り始めました。

・私は走るのが、大嫌いです。

・履いているのはバレリーナシューズみたいなぺたぺたの靴です。

・あーた東京からやってきて、2時間半並んで、整理券3番なのに、集合時間に間にあわなくて入れてもらえなかったらどうしよううううううう!!!!!

・遅れて着いたら、途中から入れてもらえるかしら、「東京から来たんですう!3番なんですう!」と懇願したら憐れんでもらえるかしら。「DCのラリーにも行ったんですう」と言えば効くかしら。ああもおおおううなんで車が来ないのよう。でも乗ったらまた渋滞につかまるかも。あうううう走れ走れえええええええええ。

・我が人生においてあんなに必死に走ったのは、もしかしたら初めてではないでしょうか。

・距離を計るのもイヤですが、45th&6thあたりからスタジオのある52nd&11thって、けっこうあると思うんですよ。

・ああもうダメだ、もう間にあわないと悲壮な思いで走ること約15分。翼よあれがパリの灯だじゃないけど、TDSスタジオの青い廂が見えた時にはもう何と言ったらいいか。NYだからまあ普通ですが赤信号無視して広い往来を渡って、みんながもうすっかり揃って並んでいる列の前に飛び込んだ時、自分の時計で4時31分。列の前後の皆さんに「どうしたのかと思った!!!」と口々に言っていただき、ありがたく思うことしきり。汗をふくこともしきり。

・はあっはあっはあっさあいよいよねっはあっはあっいよいよねっはあっはあっいよいよ、いよいよ……あれ?

・ここは日本ではないので、「じゃあ入ってもらうぜ」と係のお兄さんが出て来たのは4時45分くらいでした。うふふ。すっかり汗も拭いて髪も落ち着かせて、気持ちも落ち着いて、穏やかな気持ちで入れました。うふふ。

・この間、本日のゲストのジャック・ブラックご一行が私たちの前を通ってご入場。

・さて、スタジオに入る際には金属探知機を通ります。手荷物検査もあります。電子機器は電源オフ。あれだけ自由闊達に色々な人を批判しているジョンのことだけに、敵も多いはず。どうぞ徹底的に調べてください。

・並んで入る私たち一般人の前に並ばずに優先的に入るのが、関係者のゲストなんでしょうね。VIPと呼ばれる人たち。持ってる券の色が違います。何色だったか忘れちゃった。一般の整理券が黄色で、そして立ち見覚悟で入る十人余の人たちの券が青。

・日によって違うんだろうけど、この日のVIP観客は50人くらい。スタジオの奥というか下手に。ジョンにはより近いけど、横から見る形に。そして私たちが入場。順々に示された列に入っていったところ、わああ! 真正面2列目のど真ん中!(真正面1列目は最後。たぶんカメラで隠れてジョンがあまり見えない) つまり、the best seat in the house! たぶん。わあああ!

・手荷物検査があるので、観客が全員入り終わるともう6時前。見ていたら、2時半ぎりぎりに来て半べそかいていた女の子たちも青い券で入れてもらって、後ろの方だったけど座ってました。良かったね。

・さて6時を回るころに音楽が大きくなり、前座のコメディアンが登場。客席をくすぐり温めるのが仕事。収録用にはどれくらい大声で笑って反応しなきゃならないかの練習も、この人の指示でします。「笑って!」「わっはっは」「全然ダメダメ。もっとデカい声で!」「ウワッハッハッハ」「もっともっと!そんなんじゃマイクが拾わないよ。ジョンのマイクの10分の1しか拾わないように客席マイクは設定されてるから。もっと笑って!」「グワッハッハッハッハッハ!!!!」「おーし」などなど。

・そんなこんなの挙句に、やっと! ジョンが登場!!!!! わああ等身大だああああ(当たり前です)。しかも、いつも番組で座ってるあの机は客席からけっこう離れた奥にあるんだけど、収録開始前には客席のすごく近くに歩み寄ってくる! わああ等身大だああああ。

・収録開始前に今度はジョン自身が、客席と簡単な質疑応答。これについてはスタジオに入る前にも、先ほどの前座芸人にも「キモイ質問はしないように」と釘をさされてます(笑)。「あなたの髪をちょうだい」とか聞くなと。「仕事ください」とかも言うなと。「愛人にして」とかも言うなと。そういう奴が実際にいるんだろうなあ。実際、DCのラリーの時は「愛してます。恋人にして」って言った女の子いたものなあ。

・この質疑があるのはあらかじめ知っていたので、そりゃあ一応考えるわけですよ。列に並んでて暇な間とか。もし聞くチャンスがあるなら何を聞こうか。「日本から来ました! 日本のみんなにメッセージください!」じゃあちょっとつまらない。できることならテンポよく面白いことを言ってジョンに喜んでもらいたいじゃないですか。客とのやりとりでおもしろかったネタに本番で言及することもあるのは、それはよく知ってるわけだし。

・「なんか聞きたいことある?」という振りでまず当ててもらった人の質問は「好きなゲストとイヤなゲストといますか?」というもの。「友達をゲストに呼ぶのは楽しいね。先日のデニス・リアリーとか。イヤなゲストっていうのは、まあ、assholesだね。でもたとえば面白いassholeもいて。前にドナルド・ラムズフェルドが出た時は、すごい丁重な紳士だったんだ。すごい温かいカードをくれて。だから良い人だけどassholeだって人もいるね(assholes who are really nice people)」

・これを聞いてピンと来た私。その間にあたった次の質問は「カナダの人は呼ばないの?」と。「どれがカナダ人かパッと分からないし。カナダ人はつまらないし」(この間、勇気を振り絞ってるので、記憶曖昧)。

・「次の質問」とジョンが言ったとき、彼は私の目の前に(繰り返しますが私は前から2列目センター)。勇気を出してパッと手を挙げたら、パッと目が合った(東洋人が珍しいからかな、とも思うけど。だいたい客席の90%が白人でした)。あああ、ジョンと目が合ったのよう!!!

・「Yes!」と指してもらったのよう!!!

・私が聞いたのは、「To follow up on Rumsfeld, any chance of getting Dick Cheney?」。ラムズフェルドの名前が出たついでに、チェイニーが出る可能性は? はいごめんなさい。趣味丸出しで。でもいやほんとに、チェイニーとの一対一は見てみたいじゃないですか。

・ジョンの答え。「Dick Cheney, yes, mmmmm. We once had his wife. Did not go well (ディック・チェイニーね。うん。えー。奥さんが出たことはあって。うまくいかなかったな・笑)

「持って来てくれたダースベイダーに、マイクが仕込んであるんですか?って言ったり。一度も番組を見たことがないって言われたり。だんなさんは家でも嘘つくんですか?って聞いても受け流されたり。彼女が書いた本をものすごく読み込んで質問を考えてったのに。ものすごくuncomfortableで」

「いやでも、僕はイラク戦争を本当に怒ってて、チェイニーはあの戦争を仕立て上げた張本人のひとりだと思ってて、だからあれを聞けば良かったとかああ言えば良かったとか思い出すたびに夜も眠れなくて。イラク戦争のことであんなに寝不足になったのはあれが最初だったんじゃないかってくらいで」

「でも僕が言うことと相手が言うことがまったく噛み合なくて、その噛み合なさが(that disconnect)、実に、あの戦争を象徴していると思ったんだ」

(録音はもちろん不許可なので、残念ながら詳細ウロ覚えです)

・「今日の最高裁のでCNNはどう思う?」という質問には、ニヤニヤしながら「このあとじっくりやると思うよ」と。

・「スペイン?イタリア?」とのEURO2012についての質問には「イタリア」と(残念)。

・そのほかの質問は忘れちゃったけど、最後のが「first childhood memoryは?(子供の時の一番最初の記憶は?)」。答えは確か、自分のことじゃなくて、自分の子供たちのことで、えっとなんだっけな、「本当に小さいときはなにしてもいいんだよ、どうせ忘れちゃうから。それよりあの子たちがティーンになった時にどうしよう。Avengersが観たいって言っても観せないんだ。それですごい嫌われるんだ」とかなんとか。

・本番中にジョンが「これが僕のfirst childhood memory」と言うのを受けて客席がことさらに大笑いするのは、この前振りがあったから。

・質疑のポイントはやっぱり、素早く小気味よく手短に、だと思います。客席と言葉のキャッチボールをすることもあるのかもしれないけど、この日は客がポン!と短く質問すると、ジョンがそれにある程度長く答えてくれる、というやりとりでした。客がダラダラ長く語ったりすると場の雰囲気が白けちゃう、というのは、たぶんその場にいればヒシヒシと感じるのではないかと。

・そんなこんなでいよいよ収録開始。ジョンがあの机に向かい、座る。その様子に感動したりして。

・この日の番組内容はこちらです

・スタジオで観られて何が面白かったって、本番の合間にジョンがあの机の周りをウロウロしたり、(内容は聞こえないけど)スタッフと色々打ち合わせしてる様子。それから自分が画面外の時は用意されたビデオを観ながら、(なるべく静かに)ゲラゲラクスクス嬉しそうに笑ってる様子。この日は、ジョン・オリバーがハーマン・ケインをインタビューしてるビデオでケインがあまりにおかしいので、もう頭をかかえて首を振りながらゲラゲラ笑って、声を出さない代わりに、ペンで机をばしばしばしばし叩いてた。ビデオの内容に爆笑しつつ、それに笑いをこらえながらこらえきれずに動くジョンの様子にも笑い、ああ可愛いと感動し。ファンは忙しい。

・本番と本場の合間で声を出していい時は、客席に向かって、「ちょっと待ってね」とか「それにしてもあれこれはどうのこうのだったよね」とか声をかけて、場がだれないようにする。まったくもってその場を仕切る「座長」なのだった。

・この日はジャック・ブラックとTenacious Dの音楽ゲスト。スタジオ上手にセットしてあったバンドのポジションについて「スタッフがすごい大活躍してセットしてくれたんだ、すごいでしょ」と自慢。座長だあ。

・演奏収録のため、いつもの机のセットは少し下手奥に移動。台座に乗ってるので、そのままコロコロ。ジョンがすかさず私たちに観客に「ね、これはこうやって動くんだ。で、夜には小さく折り畳んでリュックに入れて、うちにもって帰るんだよ」と。その言い方が可愛いくて。「rucksack(リュック)」って言った自分に笑って、「rucksackとか言ってる時点で年がバレるな」的なことを言ってました(ウロオボエ)。

・そして曲と曲の間にジャック・ブラックが「水ないかな」と言うと、「水ね、ちょっと待って」と自ら、下手奥に移動してある机へ。自ら片足をかけてよじ上り、向こう側にあるペットボトルをとろうとうーんて手を伸ばし。この間、私たちには背中を向け、左足つま先立ち、右足机に上に伸ばしと、バレリーナのようなポーズに。なんて可愛い。そしてなんて偉ぶってないマメな座長か。彼がうーんと机の向こうに手を伸ばしてる間に、スタッフがすたすたっと奥からペットボトルを持って来ていたのだけれども。

・観客サービスやゲストへの気遣いをきっちりこなしつつ、番組内容についてスタッフと素早く打ち合わせている時の表情は「働く男」そのもの。しかも自分の「王国」で。すごい集中ぶり。浮かんだ言葉はintenseだった。客を笑わせるのが仕事な彼だけど、真剣なインタビューやFOXなどの敵陣に乗り込んで相手を論破しに行く時は本当にintense。その片鱗が、あのスタジオの現場でもうかがえた。

・世にスタンダップ・コメディアンはごまんといるけど、ジョン・スチュワートがこうやって特殊な地位を獲得したのは、やはり彼の真剣さ、集中力、そのintensity所以なんじゃないかと思った。

・監督?プロデューサー?に何か言ってるなあと思っていたら、音楽収録の後に「ふだんならここで終わるんだけど」とまた客席に。「ご承知のように、最高裁のあれは今朝のことで、全容がやっとわかったのは昼で、みんな大急ぎで用意したんだけど、やっぱりさっきのだと分かりにくいから、もっと分かりやすくした方がいいんで、ちょっと撮り直します」と。

・それは、医療保険改革の焦点、individual mandate(個人の保険加入義務)が合憲か違憲かについて、CNNとFOXが間違って「違憲判決」と速報したことに関してのくだり。FOXが間違ったのをSCOTUS(最高裁)ブログが「合憲」と書いているのに素早く気づき、キャスターのMegyn Kellyが訂正したにもかかわらず、CNNはそれから何分も「違憲」と放送し続けたことについて、最初の収録ではジョンがこの経緯をこうして説明していたのに対して、撮り直した分は放送された通りで、「可哀想なCNN! ネットアクセスもないCNN!」と演技で強調してシンプルにしていました。

・この撮り直しがパパッと終わり、ジョンが立ち上がって「That's it! Thanks for coming! See you next time!」と。

・あー楽しかったー。観覧は半年に一度じゃないとダメよメールに書いてあるので(つまりそうしょっちゅうは入れてもらえない)、ではまた来年参りましょう! 

 

 

(収録後。52nd&11thの角)

 

See you next year!