なんと、4/5からブログ書いてなかったんですね!ご無沙汰です。仕事の締切と税金支払いをこなした後、高熱を発して倒れてしまい、ようやく治ったと思ったら、子供達が二人とも同じ症状で寝込むというドタバタが続いておりました。亭主をして「そのまま死ぬかと思った」というほどの高熱で、生死の境をさまよっている間に、モンテカルロのマスターズも終わってしまっているぢゃありませんか!ヤレヤレ・・・
さて、寝込んでいる間に、病気だから(?)「病院へ行こう」と「エマージェンシー・コール」と、真田さんの病院モノ映画を続けて見ました。倒れる前には、例の岡本喜八さんの「イースト・ミーツ・ウェスト」も。真田映画で、まだ見ていなかったのをこんなに見るのは久しぶりでした。
一番好きだったのは「エマージェンシー・コール」。盛り上がりに欠けるとか、オチが納得いかないとか、スキャンダルを思い出すからイヤだとか、ファンの間では賛否あるようですが、流されるようにして異国で生きている「異邦人」の境遇にはつい共感してしまうのです。
私なぞ、たかがアメリカに住んでいるだけですので、異邦人などと大したものではありません。自分で好きこのんでここに来て、もう20年近くなります。それでも、やはり今でも異邦人の感覚は抜けません。
高校のとき、生まれて初めて家族と離れ、一人でアメリカの地の果てのような田舎に交換留学生としてたどり着いた夜、自分で望んでやってきたはずなのに、涙が止まらず、一晩中大声で泣きじゃくったときの、あの感覚は今でも強烈に覚えています。
それは、酔っぱらって気持ち悪くなっても、酒がやめられないのと同じ、一種のしびれるような、中毒みたいな感覚でした。強烈な孤独感と、自分が現実から切り離されているような遊離感、空中を漂っているような解放感。よくも悪くも、自分が周囲と違っているという違和感、見るもの聞くモノがすべて物珍しい興奮。こんな感覚の中毒になって、その後私は、ヨーロッパ、アジア、南米などを渡り歩きました。
そして、いろいろな事情からアメリカに住むことになって、今やもう、子供や仕事を通じて根っこが生えてしまいました。時々、あの強烈な「初期異邦人感」が懐かしくなって、どこかに出かけて行きたくなりますが、もはやそんな自由は私にはありません。
今や、人に「Mistyさん、どうしてアメリカに住んでるんですか?」と聞かれると、答えにつまります。「エマージェンシー・コール」の中で、真田さん演じる原田医師が、いろいろな人に「どうしてフィリピンに住んでるのか?」と聞かれて、いつも黙りこくってしまう。まぁ事情はいろいろ違うのですが、こういう「長期異邦人感」には、なんだかすごく共感してしまいます。彼は、フィリピンで医師の資格を取ったのだから、日本に帰っても医者を開業できる訳ではなく、かといってそれほどの強い意志があってフィリピンで仕事をしている訳でもなく、日本人だというだけで批判のターゲットになり、周囲に悪態をつきながら生活している。大きな理想や目標がある訳でもなく、ただただ厳しい現実の中で悪戦苦闘している。そんな設定や、あまりドラマチックとも言えない結末も、私にはとてもリアリスティックに感じられ、ほっとした暖かい気分になりました。
熱血医師のヒーロー物語だと思っていたら、全然違いました。ビデオのカバーの、真田さんの憂いの表情は、こういうことだったんだ、と初めてわかりました。
もちろん、この頃から真田さんの「熟男度」が急上昇して、全編めちゃめちゃ男前なのも、好きな理由に違いありません。セリフが90%英語なので、海外ファンには垂涎の代物です。
真田さんの異邦人といえば、今年秋に公開予定のイギリス映画、「The White Countess(白い伯爵夫人)」が楽しみです。真田さんの役は、大戦前の上海にいる日本のスパイ。悪役だそうですが、真田さんのことです、単純な悪役でなく、複雑な背景を背負った異邦人を、味わい深く演じてくれることでしょう。ちなみに、このオリジナル脚本を書いたカズオ・イシグロ氏は、日本生まれイギリス育ち。先日読んだ地元の新聞記事によると、彼はいつか日本に帰ると思っていたのに、ある日帰らないことになり、その後ずっと社会から遊離したような感覚を持ち続けており、作品の中でも、舞台はイギリスだったりするけれど、読者は特定の国でなく、世界中の読者を想定して、無国籍的な感覚で書いていると語っていました。ここにも、異邦人が一人。
さて、寝込んでいる間に、病気だから(?)「病院へ行こう」と「エマージェンシー・コール」と、真田さんの病院モノ映画を続けて見ました。倒れる前には、例の岡本喜八さんの「イースト・ミーツ・ウェスト」も。真田映画で、まだ見ていなかったのをこんなに見るのは久しぶりでした。
一番好きだったのは「エマージェンシー・コール」。盛り上がりに欠けるとか、オチが納得いかないとか、スキャンダルを思い出すからイヤだとか、ファンの間では賛否あるようですが、流されるようにして異国で生きている「異邦人」の境遇にはつい共感してしまうのです。
私なぞ、たかがアメリカに住んでいるだけですので、異邦人などと大したものではありません。自分で好きこのんでここに来て、もう20年近くなります。それでも、やはり今でも異邦人の感覚は抜けません。
高校のとき、生まれて初めて家族と離れ、一人でアメリカの地の果てのような田舎に交換留学生としてたどり着いた夜、自分で望んでやってきたはずなのに、涙が止まらず、一晩中大声で泣きじゃくったときの、あの感覚は今でも強烈に覚えています。
それは、酔っぱらって気持ち悪くなっても、酒がやめられないのと同じ、一種のしびれるような、中毒みたいな感覚でした。強烈な孤独感と、自分が現実から切り離されているような遊離感、空中を漂っているような解放感。よくも悪くも、自分が周囲と違っているという違和感、見るもの聞くモノがすべて物珍しい興奮。こんな感覚の中毒になって、その後私は、ヨーロッパ、アジア、南米などを渡り歩きました。
そして、いろいろな事情からアメリカに住むことになって、今やもう、子供や仕事を通じて根っこが生えてしまいました。時々、あの強烈な「初期異邦人感」が懐かしくなって、どこかに出かけて行きたくなりますが、もはやそんな自由は私にはありません。
今や、人に「Mistyさん、どうしてアメリカに住んでるんですか?」と聞かれると、答えにつまります。「エマージェンシー・コール」の中で、真田さん演じる原田医師が、いろいろな人に「どうしてフィリピンに住んでるのか?」と聞かれて、いつも黙りこくってしまう。まぁ事情はいろいろ違うのですが、こういう「長期異邦人感」には、なんだかすごく共感してしまいます。彼は、フィリピンで医師の資格を取ったのだから、日本に帰っても医者を開業できる訳ではなく、かといってそれほどの強い意志があってフィリピンで仕事をしている訳でもなく、日本人だというだけで批判のターゲットになり、周囲に悪態をつきながら生活している。大きな理想や目標がある訳でもなく、ただただ厳しい現実の中で悪戦苦闘している。そんな設定や、あまりドラマチックとも言えない結末も、私にはとてもリアリスティックに感じられ、ほっとした暖かい気分になりました。
熱血医師のヒーロー物語だと思っていたら、全然違いました。ビデオのカバーの、真田さんの憂いの表情は、こういうことだったんだ、と初めてわかりました。
もちろん、この頃から真田さんの「熟男度」が急上昇して、全編めちゃめちゃ男前なのも、好きな理由に違いありません。セリフが90%英語なので、海外ファンには垂涎の代物です。
真田さんの異邦人といえば、今年秋に公開予定のイギリス映画、「The White Countess(白い伯爵夫人)」が楽しみです。真田さんの役は、大戦前の上海にいる日本のスパイ。悪役だそうですが、真田さんのことです、単純な悪役でなく、複雑な背景を背負った異邦人を、味わい深く演じてくれることでしょう。ちなみに、このオリジナル脚本を書いたカズオ・イシグロ氏は、日本生まれイギリス育ち。先日読んだ地元の新聞記事によると、彼はいつか日本に帰ると思っていたのに、ある日帰らないことになり、その後ずっと社会から遊離したような感覚を持ち続けており、作品の中でも、舞台はイギリスだったりするけれど、読者は特定の国でなく、世界中の読者を想定して、無国籍的な感覚で書いていると語っていました。ここにも、異邦人が一人。