Mirumiru(ミルミル)

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子育て支援の非営利団体 Mirumiruの活動日記です。

子どもが育つ読み聞かせ~「マッチ売りの少女」はクリスマスの日ではない!?

2015-12-25 22:43:04 | 子どもが育つ読み聞かせ

クリスマスの夜も更けてまいりました

クリスマス・カラーと言いますと、緑、赤、金色があるでしょうか。

肌寒い冬の季節に、クリスマスの赤色を目にすると、何だかあったか~い心地になります。

 

クリスマスの日の物語というと、「マッチ売りの少女」を思い浮かべる方もいるのではないでしょうか。

ところが「マッチ売りの少女」は、クリスマスの日のお話ではないのです

物語の冒頭を見てみましょう

 

それは、たいへん寒い日でした。雪が降っていました。そして、あたりは、もう暗くなりはじめました。

それはまた、一年のいちばんおしまいの夜、つまり大みそかの晩でした。

この寒い、そして、暗いなかを、ひとりのみすぼらしい身なりの年のいかない少女がひとり、帽子もかぶらず、おまけにはだしで、通りを歩いていました。

(大畑末吉訳 「アンデルセン童話集2」 岩波少年文庫)

 

驚いたことに、「マッチ売りの少女」の舞台は、大みそかの夜なのです

とはいっても、「マッチ売りの少女」には、クリスマスツリーが出てくるじゃないと、おっしゃる方もいると思います。

1本目のマッチの火で、ストーブが現れ、2本目のマッチをこすると、焼きガチョウが出てきます。

3本目のマッチでクリスマスツリーがでてきますお話を見てみましょう

 

少女は、新しいマッチを燃やしました。こんどは、この上もないきれいなクリスマスツリーの下にすわっていました。

それは、この前のクリスマスに、金持ちの商人のところでガラス戸ごしに見たのよりは、ずっと大きく、そして、ずっときれいにかざりたててあります。

なん千というロウソクが緑の枝の上で燃えています。そして、商店の飾り窓を飾っていた色どりの美しい絵が、こちらを見おろしていました。

少女は思わず両手をのばしました ー そのとたんに、マッチは消えてしまいました。

(引用同上)

 

少女は、クリスマスの日のことを思い出して、思い浮かべているのです。

次にこすったマッチで、少女は大好きなおばあさんを見ます。

やさしいおばあさんに消えてほしくない、ひきとめておきたいという思いで、マッチをぜんぶこすります。

 

おばあさんは小さい少女を腕にだきあげました。

こうして、ふたりは光とよろこびにつつまれて、高く高くのぼっていきました。

そこにはもう、寒いことも、おなかのすくことも、こわいこともありません。 - ふたりは神さまのみもとに召されたのです。

けれども、家のわきのすみっこには、寒い朝、小さい少女が赤いほおをして、

口もとには、ほほえみさえ浮かべて - 死んでうずくまっていました。

ふるい年のさいごの晩に、こごえ死んだのです。あたらしい年の朝が、小さいなきがらの上にのぼってきました。

(中略)

この子は、あたたまろうとしたんだね、と人々はいいました。

だれも、この少女が、どのような美しいものを見たか、また、どのように光に包まれて、

おばあさんといっしょに、新しい年のよろこびをお祝いしにいったか、それを知っている人はいませんでした

(引用 同上)

 

最後の一文に、アンデルセンの愛を感じずにはいられません。

少女の死という悲しい出来事にもかかわらず、一筋の光、救いを感じます。

大みそかが終わり、新たな年になることで、清新な気持ちになり、希望まで持たせてくれると言ったら言い過ぎでしょうか。

貧しい少女が、やさしいおばあちゃんのもとで、新たな一歩を歩みだしている、

やはり、この物語は、大みそかであることに意味があります

 

これから迎える大みそか、さまざまな思いを胸に、温かい心を忘れずに、新たな年を迎えていきたいです。

ブログを読んでくださった皆さま、支えてくだり、応援してくださったお仲間や家族に心より感謝申し上げます

ありがとうございます

(おか りつ子)

 

 

 



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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ちよちゃん)
2024-02-25 22:29:05
先日孫と一緒に、「マッチ売りの゙少女」を読んだばかりでした。アンデルセンの゙愛 感じますね~
ただ、小学1年の゙孫に、形にならない大事なこと、どうにもならない理不尽なことを伝えるのはかなり難しく、読み終わった時、少しモヤモヤしました(笑)
Unknown (riko2244)
2024-03-11 06:07:00
マッチ売りの少女の本当の意味が分かり、涙が出てきました。大好きな童話です。孫にも読ませてあげたいです。ありがとうございます😊

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