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東芝問題は粉飾決算か?

2015年07月23日 15時48分54秒 | 学習支援・研究
東芝:1兆円を資本市場で調達、
経営トップ関与の水増し会計で

Bloomberg
7月22日(水)12時25分配信
(ブルームバーグ):東芝が経営トップの関与が認定された
不適切会計の期間中に資本市場から調達した公募増資などの総額が、
約1兆円に上ることが分かった。
投資家は税前利益などが水増しされた財務諸表に基づいて
投資判断を行っていたことになり、
今後の当局による罰則や民事、
刑事責任の判断に影響を与える可能性がある。

ブルームバーグの集計によれば、
東芝は2009年5月に3,330億円の公募増資を実施、
国内外の機関投資家や個人に新株式の発行や株式の売り出しを行ったほか、
09年5月から13年12月の間に計6,400億円の社債や
劣後債などの有価証券を発行した。

東芝の会計問題を調査していた第三者委員会は20日、
08年4月から14年12月までの間の意図的な利益のかさ上げによる不適切会計から、
1,500億円超に上る決算の修正が必要だと発表した。
金融商品取引法第172条の2によれば、
虚偽記載などのある開示書類に基づいて
有価証券を取得させた発行者は課徴金の対象となり、
株券の場合は発行額の4.5%、
債券は2.25%が科される。


図:東芝、各部門(カンパニー)で利益水増し
http://news.goo.ne.jp/picture/business/sankei-wst1507220013.htmlより

早稲田大学法学学術院の黒沼悦郎教授は、
ブルームバーグの取材に
「虚偽の情報を提示して資金調達するのは詐欺行為そのものだ。
有利な条件で資金調達をしていたことに問題がある」と述べた。
その上で「金商法が守ろうとしている法益を侵害する」と指摘した。

利益操作と投資家の判断
東芝は過去最大の課徴金を課せられるリスクがある。
ブルームバーグが東芝が不適切会計期間に発行した株式と債券それぞれの額と、
金商法の算定基準で行った試算によると、
最大で300億円規模の課徴金を科される可能性がある。

早稲田大学の黒沼教授は計算方法や課徴金額について妥当だとしている。
金融庁の箭野拓士広報室長はこれらについて
「現段階でコメントできることはない」と述べた。

不適切会計の責任を取って21日に辞任した東芝の田中久雄前社長は
同日夕の記者会見で、不適切な発行開示類に基づいて
有価証券が発行されたことについて、
「投資家の判断を誤らせた可能性があることについて
真摯(しんし)に受け止めている」と語った。

今回発覚した組織的な利益操作について、
課徴金や今後の生じる可能性のある法的責任について東芝にコメントを求めたが、
槻本裕和広報担当は回答を控えた。
また不適切会計の期間中、東芝の増資や
社債の引受主幹事として携わった野村ホールディングスは
コメントを差し控えている。

「青天のへきれき」
課徴金額のこれまでの最高は、有価証券報告書などの虚偽記載で
08年に納付を命じられたIHIの16億円だった。
07年には当時の日興コーディアルグループが
不正会計で5億円を科された。

いちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役員は、
東芝の水増し決算について
「日本を代表する大きな企業がそんなことをやっているとは
誰も思っておらず青天のへきれき。
憤りを感じている」と述べた。また、
投資家は会社が開示した有価証券届出書などは
正しいという前提で投資している
とし、
「あってはならない行為だ」と指摘した。

第三者委(上田廣一委員長)は
76ページに及ぶ調査報告書の要約版で、
東芝の不適切会計ではいくつかの案件については、
「経営トップらが意図的な見せかけ上の当期利益のかさ上げの実行や
費用・損失計上の先送りの実行又はその継続を認識」
していたとし、組織的な関与だったと認定した。

審判
東芝の田中前社長は21日午後の記者会見で、
第三者委に認定された経営トップを含む
組織的関与や意図的な利益のかさ上げなどの事実について
「個別の内容であるため」として言及を避け、
今後新経営陣の下で「株主、投資家など
ステークホルダーからの信頼回復に全力を尽くす」
と述べるにとどめた。

しかし、資本市場で多額の資金を集め、
世界で幅広く事業展開する上場企業の東芝が、
今回発覚した不適切会計問題をめぐり、
金融当局や国内外の投資家から審判を受けるのはこれからだ。

早稲田大学法学部の上村達男教授は、
東芝の不適切会計について、刑事責任、民事責任、
金融庁からの課徴金など全て該当する可能性があるとみている。
その上で、意図的に行われていたとすれば、
有価証券届出書や報告書虚偽記載など
「金商法違反となる可能性は非常に高い」と分析、
誰が見ても粉飾決算の疑いが問題になっている」
と指摘した。

金商法では有価証券届出書または報告書の虚偽記載の刑罰は、
実行行為者に10年以下の懲役もしくは
1,000万円以下の罰金、または
これらが併科される。また、
法人の場合は7億円以下の罰金が科せされる可能性がある。

記事についての記者への問い合わせ先:東京 日向貴彦 Takahiko Hyuga
,thyuga@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先:
Marcus Wright
平野和, 青木 勝 ,mwright115@bloomberg.net

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150722-00000029-bloom_st-bus_all&p=1

昨日(7月22日)付け「天声人語」より

天声人語
2015年7月22日(水)付
ダンディズムを感じさせる人だった。
小さな酒場のカウンターで、
ひとりグラスを傾ける姿を思い出す。
格好よかった。先日、米国で亡くなった
経済学者の青木昌彦さんである。
何度かお目にかかった

▼比較制度分析という新しい分野を打ち立て、
ノーベル経済学賞の有力候補とされた。
考察の対象は幅広い。
自民党が圧勝した10年前の郵政選挙の後、
民意を誇張して示す小選挙区制度の破壊力を語っていた。
次は民主党の圧勝か、と

▼伝統的な学問の枠組みを乗り越えることに終生挑んだ。
米スタンフォード大学の日本センターを京都に開いたのをはじめ、
「知的ベンチャー」の創設にも尽力した。
その軌跡をみずからつづった著書が、
『人生越境ゲーム』と題されたのもうなずける

▼企業のあり方をめぐる問いも鋭かった。
もうけて株価や給与を上げるだけが会社ではない。
社会的な存在価値も必要だと説いた。
例えば、環境技術の研究に出資して社会に貢献すれば、
市場での評価も高まる。
会社は株主だけのものではないし、
従業員だけのものでもない

▼とすれば、この会社は誰のものだったのだろう。
歴代社長のものだったのか。
東芝の利益水増し問題に経営トップが関与していたと、
第三者委員会が認定した。
過大な収益目標を「チャレンジ」と称し、
その達成を現場に強く迫っていたという

▼青木さんは、人生越境ゲームへのチャレンジには
結末がないと書いていた。
その大きさに比べ、目先の数字いじりの小ささが際立つ。

朝日新聞

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