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トヨタがあぶり出す「7つのムダ」

2015年06月06日 17時18分39秒 | 学習支援・研究
恐るべし!トヨタがあぶり出す「7つのムダ」
このカイゼンで、仕事はもっと楽になる

05月20日 04:50
東洋経済オンライン

恐るべし!トヨタがあぶり出す「7つのムダ」 このカイゼンで、仕事はもっと楽になる

(写真:AP/アフロ)
(東洋経済オンライン)

2015年3月期決算で、過去最高益をたたき出したトヨタ。
その収益基盤を支えるひとつが「カイゼン」の取り組みですが、
それは会社のためだけではなく、
一人ひとりの仕事を楽にするためのものでもあります。

トヨタで数百人の部下を持っていた元課長クラスにより、
トヨタの現場の働き方メソッドをまとめた1冊
『トヨタ仕事の基本大全』(KADOKAWA)から、
仕事に役立つトヨタ流のメソッドについて紹介します。

※前回記事:過去最高益!トヨタが伝承する「仕事哲学」

前回記事では、トヨタの現場で脈々と語り継がれている“口ぐせ”から、
仕事の基本的な考え方をご紹介しました。
今回は、今日からすぐに活用できる仕事のカイゼンのコツを、
厳選してお伝えします。
まずは皆さんの今の状態をチェックしてみましょう。

カイゼンは誰のため?
トヨタのカイゼン活動と聞いて、みなさんは何を思い浮かべますか? 
「社員がせっせと効率を上げて得をするのは会社側」
「仕事がもっと窮屈になりそう」
というネガティブなイメージはないでしょうか。

これは、トヨタで数百人の部下を率いた経験のあるトレーナーたちが
指導する現場でも、多くある誤解です。
改善の目的、それは実は、
一人ひとりが「楽になる」ことなのです。

製造現場でも、個々の作業者は一生懸命に作業をしています。
しかし、無理な姿勢をしていたり、
動きにムダがある場合が多々あります。
そして本人は、作業に集中するあまり、
苦痛だったり非効率だったりしても、
いつの間にか慣れてしまうケースが大半です。

これはオフィスでも同じ。
例えば、皆さん自身やあるいは周囲の同僚の方が、
何度も同じミスを繰り返してはいませんか?
チェックリストを作るだけで、
この事態は防げるかもしれません。

「忙しくてそんな時間はない」と言われるかもしれません。
でも、これから何度も同じミスに対応し続ける時間と、
今何とか時間捻出をしてチェックリストを作成すること、
皆さんはどちらがラクだと思いますか?

カイゼンは「分ける」ことからスタート
カイゼンのプロである弊社のトレーナーたちも、
現場をただ見ているだけでそのポイントを見つけるわけではありません。
彼らが口をそろえて言うのは、
「分ける」「視点を絞る」の2つです。

ひとつ目の「分ける」とは、
仕事を細かく区切ること。
考える範囲を絞るのです。
たとえば、「ボールペンで上手に文字を書くには?」
と尋ねられたときに、
「普通にペンを持って」という答えでは何もわかりません。
しかし、「人差し指と親指の位置関係はこの位置で、
ペンから1.5センチの場所を持ち、紙面から75度の角度で……」
と細かく分けることで、
「ペン先から2センチのほうがいい」
という改善案も出てきます。

2つ目の「視点を絞る」というのは、
ある限られた観点のみについて問題を見つけることです。
たとえば、地面を見るだけでは何も見えなくても、
「アリに注目してください」と言われると、
急にアリがたくさん目に入ってくるはずです。
詳細は後述しますが、ある特定の視点に絞ることで、
問題点は見つけやすくなるのです。

それでは最初に、仕事を分ける3つの視点をご紹介します。
ひとつ目は「主作業」で、付加価値を直接生んでいる作業です。
企画書作成の例で考えると、まさに企画書を書く作業。

2つ目の「付随作業」は、直接付加価値は生まないものの、
主作業のために必要な作業です。
企画書作成のためのインターネットでの情報収集や、
社内の過去事例の精読などが該当します。

3つ目の「ムダ」は、なくしてもまったく主作業に影響のないもので、
改善の主要ターゲットです。たとえば、
内容説明のために上司を探す、
上司に指摘された初歩的なミスを修正するなどです。

問題発見の視点1:7つのムダ 
「ムダ」に分類する内容ですが、以下の7つの視点で観察してみると
問題が発見しやすくなります。
それぞれについて、具体的な内容と改善のポイントをご紹介します。

先ほどの仕事の分類と合わせて、
たとえばこのような表にまとめると改善が進みます。

手待ちのムダ
必要な仕事に進めず、一時的にやることがない状態。
オフィスでは、次項目の「加工のムダ」と並んで、
非常に多くみられるムダです。

改善のポイントは、各業務に必要なリードタイムを意識して、
仕事を進めること。たとえば、
ある資料の作成のために別部署に調査を依頼するケース。
ここでは、情報がほしいタイミングから
調査に必要な時間を逆算したタイミングで、
仕事を依頼すると効果的です。あるいは、
細切れの時間が発生したときのために、
5分ならこの仕事、20分ならこの仕事など、
事前に仕事を決めておくと、
細かい時間も有効に使うことができます。

加工のムダ
本来の仕事の完成度とは関係のない部分に、
時間やパワーを注ぐこと。具体的には、
社内の限られた人しか参加しない会議資料を凝った作りにすることなどです。

改善のポイントは、業務の目的を明確にして、
何が重視されるのかを見極めること。
スピードなのか内容なのか、
内容でも項目なのかビジュアルなのか。
たとえば先ほどの会議資料の例であれば、
社内向けであれば討議項目が事前に箇条書きで
整理されていれば十分です。一方で、
同じ資料でも社外コンペであれば、事情は一変。
内容に加えてビジュアルにもパワーを注ぐことで、
受注可能性が高まる、つまり、
達成度が大きく変わってくるのです。

運搬のムダ
これは、付加価値を生まない歩行・物の運搬・情報の流れのこと。
このムダは状況を見える化してみることで現状を把握しやすく、
比較的改善がしやすい内容です。

たとえば、冒頭の自己チェックシートで
上げた「用事を思いついた都度離席している」のケースでは、
極力一度の離席で用事を終わらせることができるようにします。
あるいは、自分で物の配置を工夫できるのであれば、
物の配置自体を変えるのも一手です。

在庫のムダ
不要な備品・書類・データを持つこと。
在庫のムダは、必要なものを探すムダや間違えるムダ、
あるいは、保管・管理のための余分な工数・コストなど、
多くのムダの原因となります。

改善方法は、自分自身にとって本当に必要な物は何かを明確にし、
それ以外の物は捨てること。
これは5Sにおける「整理」を行うことで大幅に改善が可能です(詳細は次回)

動作のムダ
付加価値を生まない動き。たとえば、
皆さんが右利きで、机やキャビネットの左側に
文具を保管している場合。
取り出す際には体をひねるなど、
動作のムダが生まれているはずです。
前項目の在庫のムダは「整理」で改善しますが、
こちらは「整頓」で改善が可能です(詳細は次回)

作りすぎのムダ
必要以上に多く作ったり、必要なタイミングよりも早く作ること。
発注の手間やまとめ買いでのお得感から、
あまり使わない備品を大量に発注することもこのムダに当たります。 

改善のポイントは、求められる対象・ボリューム・頻度を
その都度、確認すること。以前は
毎月必要だったある資料作成も、
今は半年に1回でよいかもしれません。
前任者から、同じ頻度・内容で実施している業務があれば、
「作りすぎのムダ」が生まれているかもしれません。

不良・手直しのムダ
廃棄が必要なものや、不良品や手直しが必要な仕事をすること。
これは前回ご紹介した「品質は工程で作り込む」に通じるもので、
関係者にも悪影響を与えるものです。

特に、同じミスを何度も繰り返す場合には、
表面的な対策しかとられてないケースがほとんどです。
詳細は問題解決の項目でお伝えしますが、
問題が発生したときには「次回、気をつける」などの精神論で
終わるのではなく、真因への対策を行うようにしましょう。

問題発見の視点2:
“違和感”を感じる対象

7つのムダ以外にも、視覚・感覚から問題を発見することもできます。
具体的には、周囲の景色や一般的な感覚から
“違和感”を感じる場面です。

まず、忙しそうに見える人。
あるトレーナーは、「腕の良しあしは、
作業を見ていればわかる」と言います。
腕のいい人は、体の軸がぶれることなく、
流れるように手先だけを動かしています。
一方で腕の悪い人は、体に軸がなく、
汗をかきつつ大きな動きをしています。

一見、後者のほうが一生懸命仕事をしているように見えますが、
「動き」が多いだけで「働き」は少ないのです。
オフィスであれば、恒常的に
残業している人や締め切りにつねに遅れる人などは、
何か問題を抱えている可能性があります。

次に、汚れがある場所。
家庭であれば、ぐちゃぐちゃの冷蔵庫、
製造現場であれば油や部品が散乱している現場、
オフィスであればホコリをかぶった書類が放置されている場所。
あるいは、視覚的には見えづらいですが、
不要なファイルがたくさんあるPCの中身。

汚れがあるということは、
長期間そのままの状態で放置されている、
つまり、問題が潜んでいる可能性が大。
冷蔵庫であれば賞味期限切れの食品が、
製造現場であれば機械の故障が、
オフィスであれば重要な書類が見逃されているかもしれません。

問題発見の視点3:ムダ・ムラ・ムリ(3ムダラリ)
最後にご紹介するのは、
トヨタでも「3ムダラリ」の言葉で親しまれている考え方です。

「ムダ」とは、前述したとおり、
付加価値を高めない現象や結果。
2つ目の「ムラ」とは、
生産量が業務量にバラつきがあること。
量が多いときにはミスや不良品が生まれやすく、
量が少ないときには計画以上の時間をかけてダラダラとしがちです。 
3つ目の「ムリ」とは、人や設備に過度な負担がかかっていること。
たとえば、能力をはるかに超えたレベルの業務や、
過度な残業が恒常的にある場合など。
もちろん、目標の一定の背伸びは個人の成長に不可欠です。
しかし、これらのケースは一時的には実現しえても、
継続的に実現し続けることは非常に困難。
上司や同僚がフォローするなどの施策を通じて、
通常の段階に戻すことが必要です。

http://news.goo.ne.jp/article/toyokeizai/bizskills/toyokeizai-69649.html?page=1

過去最高益!トヨタが伝承する「仕事哲学」
http://toyokeizai.net/articles/-/68596?utm_source=goo&utm_medium=http&utm_campaign=link_back&utm_content=related

トヨタ、「意志ある踊り場」の先に何を見る?
http://toyokeizai.net/articles/-/69132?utm_source=goo&utm_medium=http&utm_campaign=link_back&utm_content=related


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