登山ガイド 山の風
岩手の山を中心にガイドしています
 



報道によると、今日秋田駒の男岳付近で65歳の女性が転落する事故がありました。
夫婦で登っていて、妻が150mほど転落、心肺停止の状態ということでした。

詳しい場所や状況はわかりませんが、おそらく石につまづくか、岩にぶつかるか、
あるいは何かでバランスを崩して転倒し、倒れた場所が切れ落ちた場所だったのではないでしょうか。

男岳は、馬ノ背との鞍部から登るコースも、金十郎長嶺から登るコースも
登山道そのものは、よく踏まれ、だれでも歩けるしっかりした通常ルートですが
登山道のすぐわきが、スパッと切れ落ちていることろがいくつもあります。

人気のある、多くの人が登る山とコースだけに、残念です。
どんな所にも危険がある、ということを常に頭に入れておかなければなりません。


秋田駒男岳山頂から小岳を見下ろして

写真は事故とは関係ありません。




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この6月末に、世界文化遺産登録がほぼ確実となった富士山。
年間35~40万人の人が訪れると言います。
正式に登録が決まれば、その数はおそらく増加するものと思われます。



それを踏まえ、山梨県と静岡県から、それぞれの知事名で
強行軍で富士登山をする、いわゆる「弾丸富士登山」の自粛要請が出されました。
事故防止などの安全登山のためです。

富士登山者の実に3割が、前日に十分な睡眠や休憩を取らず一気に登る
装備も万全でない「弾丸登山者」だとも言われています。

世界遺産になったから、日本一の山だから一度は登ってみなくては、と
ふだん登山をしたことがなくても、記念イベントとして
富士登山を計画している人も多いことでしょう。

富士山は、標高3000mを越す山です。
登山に慣れた人でもラクに登れる山ではありません。

ふだん登山をしたことがない人は、特に注意が必要です。
前日の睡眠休憩を十分に取り、装備、下調べなどをしっかりして
余裕をもった安全登山をお願いします。

ツアーに参加する場合も
弾丸ツアーではない、余裕をもったツアーを!


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なんて考えて登ることはまずない。
登りたいから登る。たぶんそうだ。

でも、理由があって登ることだってある。
「永遠の仔」のDVDを見て、あらためて思った。

生まれ変わるため だ。



そう。
自分では気づかないだけで
山に登る度に
きっと誰もが生まれ変わっているのだ。

な~んてネ。


タケダスポーツ主催 初心者のためのスノーハイク
2/11の姫神山は催行決定です。参加者追加募集中!

http://takeda-sports.co.jp/event/index.html

2/14(木)・15(金)姫神山 16(土)鞍掛山 17(日)平庭岳も催行決定! 
参加者追加募集中!


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中国万里の長城での大雪による遭難事故は、主催した会社の問題はもちろんだと思うが
予想された悪天に対する現地ガイド?の判断、対応が不適切だったことは間違いない。
朝予定通りトレッキングを開始したとしても、天候を見て早く引き返せばよかったのだ。

ツアーガイドをしていれば、おそらく誰でも多かれ少なかれ似たような経験はしている。

先月28日の岩手山はプライベートガイド。暴風雨ではあったが9合5夕までは登った。
その先山頂まではほんのわずかであったが、危険と判断し引き返した。

昨年の10月初め、ある会社の縦走ツアーの時も、出発時朝は晴天であったが
途中から天気が急変し、雪が降り出して吹雪になってきたため危険と判断
縦走はもちろん、山頂をも踏まずに引き返し、ツアーを中止した。

朝はこんなに青空が見えたのに  

昼前には吹雪に変わり縦走を中止した昨年のツアー


山岳会の特訓でも、山仲間でのチャレンジでもないツアー登山なのだ。
危険を冒してまで、ともに何かを成し遂げる義務はない。安全第一だ。
商品としてのツアー履行義務云々も、命を落としては意味がない。

事故を起こしたこの会社のガイドも時々引き受けていたが
残雪期の縦走ツアーを、無理があると思い往復登山へと
時間的な観点から、登りと下りのルートを逆にと
私の意向を添乗員に伝えてツアー当日現地で
プランルートを変更したことがある。

ツアーガイドは臆病なくらいがちょうどいい。
天候判断は難しい。が、引き返す勇気は必要だ。

改めて安全ガイド、安全登山を考えた。


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秋田駒女岳の東斜面から立ちのぼる煙が気になります。

ムーミン谷かたがり泉水付近からの女岳                 

立ちあがる煙のアップ


女岳は昭和45年に噴火し、噴出した熔岩が冷えたまま山になっています。
山頂部の地面は生温かく、これまでも所々で温かい水蒸気が上がっていましたが
東斜面ではこんなに煙は上がっていなかったように思うのですが…



先日サンライフ盛岡で行った登山教室の様子が
サンライフ盛岡のHPにアップされました。

http://report.iding.org/?cid=25188

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我が家があるのは岩手県滝沢村。日本一の村です。
何がって、村の人口が、です。その数54,184人。でも村です。
なでしこジャパンの岩清水梓選手のふるさと、と言えばちょっと親しみを覚えるでしょうか。
ちなみに、彼女のおやじさんは私の中学時代の一つ後輩。たしかアイスホッケーをやっていたはず。

そんなことではなく、話題にしたかったのは、我が滝沢村には自慢できる百名山がある、ということ。
と言っても、100の名山がある、ということではありません。もちろん山はいっぱいあります。
でも、ここで言う100とは、100回登っても飽きない、ということ。

そうです。
100回登っても飽きない、四季折々に、朝な夕な
登れば登るほどしみじみその良さが深まる素晴らしい名山。

それは 鞍掛山。
標高わずか897.1mですが、春はカタクリ、夏は緑深く、秋は紅葉、冬は雪景色。
そして山頂からの展望が素晴らしい、小さな子どもから高貴高齢者まで楽しめる名山です。


岩手山の麓にゆったりと佇む鞍掛山

そんなふるさとの百名山がきっと日本のあちこちにあるのでしょう。


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先日、ある山でのこと。
雪庇直下を歩く団体を発見。
雪庇の上に乗っている人も見える。



雪庇のある稜線へ続く尾根から激写。
私の歩いている尾根をルートに取るのが通常。

この団体、登りで尾根から外れて雪庇に向かっている。
そして下りもそのルートを歩いている。上の写真がその様子。

男性はリーダーの他数名、女性が大半の20名ほどの山の会らしい。
登山口には、他県ナンバーのマイクロバスが停めてあった。

このコース、通常は尾根の上を忠実に辿って稜線に出る。
視界が悪く知らず知らずに尾根を下りたと言うならまだしも

視界がいい時にわざわざ雪庇に向かって歩き同じところを下りてくる
と言うのは理解に苦しむ。ベテランリーダーのいる山の会のやることではない。

と思うのだが…


※雪庇 / 文字通り、雪のひさし。
        この上に乗ったり振動を与えたりすると、雪庇が崩落し雪崩を起こすことがある。


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昨日蔵王で道に迷った男女が今朝無事救助された。
低体温症の疑いがあるものの、命に別条はないと言う。

見つかった場所は、地蔵山から熊野岳方向に約300mの地点。
標高は1800m近い。2mを越える積雪と吹雪、氷点下10℃を下回る
厳しい環境の中で一晩過ごし、無事発見救助されたことは、奇跡に近いと言える。

蔵王ロープウィの山頂駅から、日帰りの予定で熊野岳を目指した。
地蔵山を過ぎて吹雪で視界が利かなくなり引き返そうとしたが
帰る方向を見失い、午後1時過ぎ携帯電話で救助要請。
その後連絡が取れなくり、天候悪化で救助活動も
中止。今朝山形県の防災ヘリに発見される。

無事で何よりだ。 が、それにしても

帰りの道がわからなくなった、ということは
歩いてきたトレースが吹雪で消されていたのだろう。
吹雪は、帰ろうと決断する前から続いていただろうから
もう少し早い段階で今日は危険と判断できなかったのだろうか。
なにより吹雪の中前進していて「恐い」と思わなかったのだろうか。

2人とも冬山経験は少ないという。

救助要請を受けた時、救助隊は電話で
「穴を掘ってそこでじっとしているように」と
アドバイスしたと言うが、はたして雪洞は掘れたのだろうか。
スコップは持っていたのだろうか。どうやって寒さをしのいだのだろうか。
先日の秋田駒での遭難死は、雪山経験の豊富な大ベテランだったが
雪洞を掘って動かずにいても生きて帰れなかったのだ。

今朝になって天気が好天しヘリが飛べたことも
無事に救助された大きな要因と言える。

遭難状態になってから、事態が最悪の方向に動かず
むしろ奇跡的に良い方向に進んだ結果生還に繋がったのだろう。

山登りは臆病なくらいで丁度いい。

このような地形では

ホワイトアウトになると方向がわからなくなる。



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悲しいことに、秋田駒ケ岳で昨日遭難事故がありました。
冬山=雪崩、遭難=危険、怖い というイメージが強くなります。



が、例えば盛岡周辺にある標高1000m以下の、冬でもよく登られている山で
登山道にできているトレース(雪を踏んだ跡)を辿って登る雪山登山であれば
雪崩、遭難などへの過剰な心配をする必要はないと思います。もちろん

そういう危険が皆無か、と言えばそうではありません。あくまで
よく登られている山を、トレースを辿って登るなら です。

体調が良く、天気が良く、諸々の条件が良い日に
雪山ハイクに適した服装をし、必要最小限の装備を持って
トレースを外れることなく、無理をすることなく登るなら です。

そして、盛岡周辺の多くの雪山ハイク愛好家の人たちは
そういう登山を上手に楽しんでいるように思います。

初めはいい天気だったのに、登っている途中で
天気が悪くなってきたら戻ればいいのです。

風が強くなってきたら一枚着込む
それでも不安なら、登るのをやめて下る。

雪が本降りになって、トレースが消えそうに思うなら
ムリしないで、今日はここでオシマイ と宣言してやっぱり下山。

とにかく途中で不安になったり、今日は何となく調子が悪いなと思ったら
そこでその日の登山は中止です。踵を返してさっさと下るが勝ち。

そういう山で、そういう登山をするのであれば、例えば
ビーコン、ゾンデ、シャベル、ツェルトなどの
本格的冬山装備はなくてもOKでしょう。

要は、まずリスク回避をどう行うか。
それをせずに、ただ本格的装備を揃えても
本末転倒、順番が逆、ということになります。

もちろん、雪山装備を万全にすることに異論はなく
むしろ万全にするのが正しい雪山登山の姿勢だと思います。

が、実際問題として、上に挙げたような登山で必要かどうか、です。
登山道を外れて歩いたり、人のほとんどいない山や、条件の厳しい高山へ
本格的な雪山登山をする と言うのであれば話は全く別になります。

長くなるのは本意ではありませんので、この辺で。

伝わればいいな、と思ったことは
「冬山=危険」というイメージの緩和です。
















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ある里山のツアーで、下山した時にお客さんが言った言葉。

人生いろいろあるけれど
今日も山を歩くことができたのがうれしい

ということなのだろうなぁ、と思って聞いていた。

高い山だろう低い山だろうと
遠くの山だろうと裏の山だろうと
有名な山だろうとそうでない山だろうと

とにかく山を歩くことは楽しいのだ。

低い山だから
名もない山だから
百名山じゃないから
つまらない ではないのだ。

どこだって山を歩くことは楽しいのだ。



山を歩ける境遇にある…
その幸せを忘れてはいけない と思った。


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「東日本大震災後、地震発生率が震災以前より10倍以上に高まった断層帯が全国で11ヶ所ある」

今朝の新聞の第1面にそんな記事が載っていた。
特に発生率が上がったのが、東北から中部地方にかけて。
岩手秋田県境の真昼山地東縁断層帯は約15~44倍になったとある。

真昼山地は北に和賀山塊、南に焼石連峰を連ね、素晴らしいブナが残り、豊富な高山植物が咲く。

調査をした東京大学地震研究所によると、大地震に直結するわけではないが
活動が活発化した可能性があり、継続して監視するべきだ、ということだ。

今の時期、真昼山塊は積雪となっており登山者はほとんどないだろうが
今後は、地震に注意して登らなければならないだろう。



真昼岳山頂付近から北真昼岳方面を望む  奥の山なみは和賀山塊

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17日午前7時50分頃
滝沢村の鞍掛山登山道で、登山者がクマに頭や腕を引っかかれる事故があった。

新聞報道によると
女性は相の沢登山口から1人で歩き始め
約800m進んだところでクマに出会ったらしい。
女性は自力下山、県高度救命救急センターに運ばれ、幸いにも軽傷。

この看板を過ぎて 

この、新道との分岐の手前で事故があったと推測される。


岩手の山にはクマが棲んでいる。

奥山にも
盛岡周辺の里山にも
登山の対象になっていない山はもちろん
多くの登山者が訪れる鞍掛山のような山にも、だ。

どんなに整備され快適に歩けるように思えても、やはりそこは山。
そして、私たち登山者は、クマの棲む山にお邪魔させてもらっているのだ。

クマにしてみれば、「人間が来た!」だろう。

お互いに不幸なことにならないために
自分の存在を知らせることは、もちろん大切だが
相手の存在、気配を感じとろうとすることは、もっと大切かもしれない。

私たちはそのことを忘れてはいないか。

歩きながら
前方周囲に目をやっているか。
おかしな臭いに気付いているか。
周囲の音に耳をかたむけているか。

自然の中に入って行くのだから、無防備でいいわけがない。

準備や装備も大切。
そして「自然の中に入って行く」という心構えと緊張感が不可欠。
自分の山歩きを振り返り、あらためてそう思った。

事故は不幸なことですが、大事に至らなくて良かったと思います。








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紅葉を求めて山を歩くのが楽しい季節。

2008.10.8 秋田焼山のブナの黄葉

でも、今年は例年より色づきが遅れているように感じる。
「全国紅葉最前線」によると、東北地方の山は10月中旬から下旬
平地では11月に入ってようやく見ごろとなるらしい。山の紅葉はこれから。

だが遅れているだけだろうか…
鮮やかに色づくことなく終わってしまう様な気もする…

美しい紅葉の条件とは
1、充分な日当たり
2、きれいな空気
3、摂氏8度以下の冷気。特に夜の急激な冷え込み
4、適度な湿度

だそうだ。(山と渓谷社「森の休日1 拾って楽しむ 紅葉と落ち葉」による)
ここに来て急に気温が下がったので、紅葉が一気に進めばいい。

「美しい」と感じるのは主観的なものだ。
やっぱり、その時見た紅葉が一番の見ごろ、美しいのだ。

めぐる季節を肌で感じるために
紅葉の山へ出かけましょう。


全国紅葉最前線
 http://kouyou.nihon-kankou.or.jp/

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と、あらためて思いました。
写真のような岩場でなくても、山にはどこにでも危険が潜んでいるのです。

奥穂高からジャンダルムに続く岩稜帯を行く登山者

9月30日、岩手山網張温泉から1人で入山し、「怪我をして動けない」と本人から
119番通報があった男性(26歳)がまだ見つかっていない、と地元紙にありました。

鬼ヶ城周辺で腕と足に怪我を負い動けなくなったらしいのですが
県警山岳遭難救助隊の捜索にも関わらず、3日経っても見つからない…
ということは、稜線や崖から転落または滑落してしまったということでしょうか。

きのう2日は今季一番の冷え込みで、岩手山は初冠雪となりました。
遭難した男性は、食料も雨具も持っていない、というのです…。

でも、山に登り始めたころの自分を振り返ってみると
Tシャツ、短パン、ズックで、リュックにはおにぎり2個に、水筒1本
もちろん、カッパや地図なんて持つことすら考えず登っていたのを思い出します。

今考えてみると、ずいぶん怖いことだな、と思います。
だからこそ、あれを持ちましょう、 これを持ちましょう 
ゆっくり歩きましょう、などと敢えて言わせてほしいのです。

男性がなんとか見つかってほしいと思います。


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先日、盛岡のミスターMから北海道の渡島駒ケ岳の写真が届きました。
函館への旅行の折り、大沼国定公園から撮影されたという駒ケ岳です。


頂上から右に伸びる馬の背が美しい。

「駒ケ岳」と呼ばれる山は岩手にも二つあるな、と思い
じゃあ全国にはいくつあるのかちょっと調べてみました。

資料は「なるほど知図帳 日本の山」 昭文社2006年発行。
それによると、全国の駒ケ岳(駒形山も含め)は、21座。

名前の由来の多くは、やはり馬に因んでいて
馬の形をした山容だったり、残雪が馬の形に見える、というもの。

雪国で農耕が盛んな甲信越、東北地方に多く、興味を引いたのは
滋賀県を境に西日本には駒ケ岳と呼ばれる山がないということ。
春の訪れが早く、山肌の雪も早く解けてしまうからでしょうか。

有名どころは、甲斐駒、木曽駒、会津駒、越後駒…
♪忘れちゃならね~ェ 秋田駒~ 

富士山頂の浅間ヶ岳も駒ケ岳なのだそうです。

その他、南八甲田の駒ヶ峰、岩手の駒頭山など
「駒」のつく山は全国にたくさんあるようです。


二つだと思っていた岩手にある「駒ケ岳」は、実は三つでした。

秋田駒ヶ岳、金ヶ崎駒ヶ岳、そして栗駒山です。

栗駒山は、岩手側では「須川岳」宮城側では「栗駒山」と呼ばれ
秋田側では「大日岳」のほか「駒ケ岳」の別称もあるということです。

駒ケ岳のお話でした。


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