TOKYO ⇔ SAIGON そしてたくさんの街へ

東京とサイゴン、そして、いろいろな街を巡ります。

19 GROWING UP

2008-06-22 | Weblog

あの夏、彼女は夏休みの旅行のドライブ用にと、自分でカセットテープをダビングしていた。わたしが旅行のたびに自分のをもってゆくので、対抗して自分の分を作っておいたというわけだ。

したがってわたしは、その旅行中ずっと彼女の選曲したカセットテープを聴くことになった。そのなかにそれはあった。プリンセスプリンセスの「ダイヤモンド」「世界で一番暑い夏」と一緒に入っていた「19 GROWING UP」。

この曲は、自分の19歳の頃を思い出させた。と同時に、今はまだ10歳のこの子もいずれはこういう年代を迎えるのだな、ああ、なんて楽しみなんだろう。と、希望と期待を抱かせる曲でもあった。

「盗み出した、彼にも秘密の 女同士少しヤバイ計画
 合言葉は“冴えたやり方”いつだってパイレーツ気取りだったよね」

「もう二度と開くことのない宝の地図
 選んだ心のビートが走り出すから」

「19 GROWING UP 今でもうまくやってるなら 
 忘れるなよ いつまでも GWOWIN’UP」

「GROWING UP 一人で戸惑うときは
 借りたままの腕時計動かせば
 19 GROWING UP 君の笑顔 途切れ 途切れ
 私まで 聞こえる GROWING UP」

ちょっと悪ぶった私の少女時代が、娘の将来とかぶった。

あの旅では、山梨から長野、そして新潟、富山を経て、帰りは群馬を回って帰ったのだったっけ。樹齢500年のブナ林のある鍋倉山に登り、沢で水を飲み顔を洗った。山と海と交互に回った気がする

まだ少女にもなっていない少年のような娘だった。

この曲を長いこと忘れていた。先日、ふと思い出しどうしてもまた聴きたくなって、中古のCDを買った。

20年ぶりで聴くプリプリ、そして「19 GROWING UP」。
どうしたというのだろう。涙がとめどなく出てくるではないか。
もう泣くことなどここ数年なかったのに。

そして鮮やかに蘇ったのが、前述の20年前の「熱い夏」の旅のこと。
日本海が見えれば、娘はすばく水着に着替えて泳いだ。ブナ林には弱音もはかずに登った。クワガタムシを旅の間中、道連れにした。そして音楽は、プリプリ。

結局、娘は19歳になった5日後に死んだ。彼女に「19 GROWING UP」はなかったのだ。

いや、永遠に彼女は19歳のままだから永遠に「19 GROWING UP」なのだ。

たったひとつの曲が、こんなにいろいろなエピソードを思い出させるなんて、思いもよらなかった。 

写真は沢で水を飲む彼女。

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