尾高忠明はこのところ札幌交響楽団やN響でも集中的にシベリウスを取り上げているが、シティフィルにも3曲を引っ提げて登場した。一曲目は実に珍しい組曲「恋人たち」という作品。弦とティンパニとトライアングルという小編成の10分ばかりの曲である。しっとりして繊細な弦楽合奏が、寂しい恋人達の物語りを描いた。二曲目はおなじみのバイオリン協奏曲で、ソリストはパリを拠点に活躍するドン=スク・カン。十分な技巧を持ちなかなか闊達で情念に満ちたソロであるが、局部集中的で全体的見通しにいささか欠けた音楽作りなので、30分が長く感じられた。休憩を挟んで一般的には交響曲が置かれるところだが、尾高はここに交響詩「4つの伝説曲」を据えた。これはフィンランドの伝説「カレワラ」に登場する荒くれ男レンミンカイネンを巡る4曲で構成された連作交響詩で、まさに4楽章の交響曲にあたるという訳である。ここでは松野弘明率いるシティフィルが、尾高に果敢に食い下がり、極めてモチベーションの高い演奏を繰り広げ、中々聴き応えのあるフィナーレとなった。余談になるが、客演ティンパニストとして元N響の百瀬和紀の姿があったのが何とも懐かしかった。
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