紫の物語的解釈

漫画・ゲーム・アニメ等、さまざまなメディアにひそむ「物語」を抽出して解釈を加えてみようというブログです。

【幽遊白書】飛影の物語を追う[出生~蔵馬との出会い]

2010-04-08 23:50:36 | ○○の物語を追う
飛影(ひえい)は【幽遊白書】に登場する妖怪である。



素早い剣技と炎の妖気が彼の武器。
幽白キャラの中でも一番人気のキャラで、主人公の浦飯幽助よりも人気がある。

今回は、そんな飛影の物語を追ってみる。


 出生

飛影は、氷女(こおりめ)という妖怪から生まれた。

氷女の子供は本来、すべて女である。
氷女は百年ごとの分裂期に誰の力も借りずに一人の女の子を生む。
しかし、飛影の母親・氷菜(ひな)は男と女の双子を生んだ。
その双子の男児の方が、飛影である。



氷菜が禁忌を犯して、男と交わってしまったためであった。

氷女は厚い雲に覆われた空飛ぶ城「氷河の国」で下界との交流を断った生活を送っている。
氷女が異種族と交わった場合、子供はすべて雄性側の性質のみを受けつぐ男児が生まれる。
しかも凶悪で残忍な性格を有する例が多く、さらには男児を生んだ氷女はその直後死に至る。
こうした理由のため、氷女は決して異種族と交わってはいけなかった。

飛影は父親の性質を受け継ぎ、生まれながらにして炎の妖気に身を包んでいた。
氷女たちは双子のうち、女児のみを一族として育て、飛影を氷河の国から投げ捨てたのだった。



生まれたばかりの飛影はすぐに氷女たちに捨てられた形となったが、
飛影は何もわからぬ赤子ではなかった。
飛影は生まれる前から、自分を取り巻く氷女たちが何を話していたか
すべて聞いて理解していたのである。

氷河の国から捨てられた飛影は思う。

「氷河の女を皆殺しにしてやる」

生まれてすぐ、生きる目的ができた。
ただ、双子の妹のことは気がかりではあった。


 忌み子・飛影



「飛影」という名前は、ある盗賊からつけてもらった。
魔界の地上に降りた飛影は、殺しに明け暮れる毎日を送る。
来る日も来る日も襲ってくる盗賊たちをつぎつぎに殺し、悲鳴と血を愉しんだ。
氷河の国はもう、見つかっても見つからなくてもどうでもよくなっていた。



飛影は氷泪石(ひるいせき)という宝石を所持していた。
氷女の涙は氷泪石という高価な宝石となる。
飛影の持つ氷泪石は、母親が双子を生んだ際にこぼした二つぶのうちの一つぶで、
氷河の国から放り投げられる際、氷菜の友人から持たされたものだった。

石を眺めると不思議と気持ちが和んだ。
不思議な力を秘めた石を通して、この石と自分をつくった人のことを思った。

「氷河の国を探そう」

飛影の生きる目的は変わり始めていた。


 邪眼の力



旅を続ける飛影は、一生の不覚をとる。
道中出くわした敵の攻撃により、氷泪石を紛失してしまったのだった。
飛影の探し物は二つになってしまう。



もっとよく見える目が必要となった飛影は「邪眼」の手術を受ける。
邪眼をつけるためには特上の激痛に加え、
せっかく身につけた妖力も失わなければいけなかった。
これにより、霊界基準でA級クラスの妖怪だった飛影は最下級クラスにまで妖力が落ちてしまった。
しかし、これは飛影にとって都合がよかった。
一瞬の油断で石をなくした自分自身が許せなかった。



魔界整体師・時雨(しぐれ)の手術により、飛影は邪眼を得る。
手術代として、「妹を見つけても兄と名乗らないこと」という約束をするが、
飛影は初めから、妹を見つけても兄と名乗るつもりはなかった。
手術後、飛影は時雨から剣術の手ほどきを受ける。


邪眼を身につけてほどなく、探し物の一つであった氷河の国は見つかった。
しかし、氷女は皆どこか暗くいじけて見えて殺す気も失せた。
城の裏角に朽ちた母親の墓標も見つけたが、腹は立たなかった。
これが母の意志だったのだろうと考えた。

飛影の復讐は終わった。



が、飛影は新たな目的を得た。
妹のこと。名は「雪菜(ゆきな)」というそうだが、数年前に失踪していたらしい。

「妹を探す」

そんな思いを胸に、飛影は魔界を離れた。


  蔵馬との出会い

邪眼の力をもってしても何故か雪菜(と失った氷泪石も)の居場所はわからない。
人間界を訪れた飛影は、「八つ手(やつで)」という妖怪の情報を得る。
異種族を"食う"ことで能力を上げる妖怪である。



「八つ手が氷女を食った」
という情報を得た飛影は半信半疑ながらも八つ手に挑む。
が、やはり邪眼手術による妖力低下は相当にこたえているようで、
飛影は返り討ちに遭い、深手を負ってしまった。

逃走中、飛影は八つ手からの追っ手とみられる一人の少年を攻撃する。





しかし、少年は八つ手の手先ではなかった。
少年は人間界の町に住み着く人間の姿を借りた妖怪であった。

名を「蔵馬(くらま)」といった。



深手を負った飛影の手当てをした蔵馬は、八つ手退治の協力を申し出る。
これから長い付き合いとなる二人の、最初の共闘であった。



二人のコンビネーションで、八つ手は滅びた。
八つ手は氷女など食ってはいないという。
飛影の雪菜捜索は振り出しに戻る。

しかし、飛影は蔵馬という心強い仲間を得たのだった。



飛影の人生の重大な転機となる「浦飯幽助(うらめしゆうすけ)」との出会いは、
これより一年後である。


 次回へ続く


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