【るろうに剣心】緋村剣心の物語を追う[人斬り抜刀斎]

緋村剣心（ひむらけんしん）は【るろうに剣心】に登場する剣客である。



短身痩躯で一見女性のような外見で、左頬の大きな十字傷が特徴。
廃刀令の布かれた明治の世で、目に映る人々の幸せのため
逆刃刀をふるう流浪人（るろうに）であるが、
幕末の世には「人斬り抜刀斎」の志士名で京の町を震撼させた
人斬りであった。

今回は、るろ剣主人公・緋村剣心の物語を追ってみる。


　 師・比古清十郎に拾われる

剣心は、幼少の頃の名を「心太（しんた）」といった。
その名前を付けてくれた両親は、心太が9歳のときに虎狼狸で亡くなった。
心太は10歳になると身売りに出された。

しかし、道中、人買いや他の身売り人ともども、野盗に襲われてしまう。
心太は通りがかった剣客・比古清十郎（ひこせいじゅうろう）に助けられるが、
人買いや他の身売り人は心太一人を残して全滅していた。



心太は、人買いや身売り人だけでなく、野盗の墓まで立てた。
比古は、そんな心太に少なからず感銘を受ける。



比古は心太に「剣心」という名を与え、剣心を、古流剣術
「飛天御剣流（ひてんみつるぎりゅう）」の継承者にすることを決意する。
こうして、剣心は比古清十郎と共に暮らし、
飛天御剣流の剣技を教わる日々を送ることになった。


　 師のもとを飛び出す

文久3年（1863年）剣心14歳。
動乱に巻き込まれ、多数の人々が命を落としている現実を目の当たりにし、
自分の飛天御剣流の力を動乱を終わらせるために使いたいと考えるようになる。



しかし、比古は剣心に静観するよういさめる。
飛天御剣流は時代の苦難から人々を守ることを理としているが、
それはあくまでも権力・派閥に属さない自由の剣として、なのである。
比古は剣心の精神の幼さ故、飛天御剣流を権力に利用されることを恐れた。

だが、動乱の世を自分の剣で終わらせたいと願う剣心は自分の気持ちを
押さえられず、丸一日、比古と口論＋どつき合いをして喧嘩別れする。

そして、剣心は長州藩・高杉晋作の組織する奇兵隊に入隊。
そこで長州派維新志士筆頭・桂小五郎に見出された。
桂は剣心に問う。
「飛天御剣流で、人を斬れるか」と。



剣心は、自分の汚れた血刀と犠牲になった命の向こうに
誰もが安心して暮らせる「新時代」があるのなら、と答える。
この瞬間、長州派維新志士・「人斬り抜刀斎」が誕生した。


　 人斬り抜刀斎

元治元年（1864年）剣心15歳。
剣心は「緋村抜刀斎（ひむらばっとうさい）」と名乗っていた。



長州藩に都合の悪い幕府の要人などを暗殺する「人斬り」として、
新時代を作るために京都の町を血に染める剣心。



その最中、京都見廻組・清里明良（きよさとあきら）によって
剣心は左頬に切り傷を付けられる。
清里は剣の腕は大したことはなかったのだが、祝言を一ヵ月後に控えていた
ようで、生きる意志の強さは目の見張るものがあったようだ。
この傷は、消えることのない深さで剣心の頬に刻み込まれていた・・・。

元治元年 5月。
剣心は京都に上ってから半年あまりで、すでに100人に近い暗殺をしていた。
そんなある日、剣心は人斬りの現場を一人の女性に目撃される。



女性の名は雪代巴（ゆきしろともえ）。
一瞬、口封じに斬ることを考えた剣心だったが、失神した巴を
長州藩士の利用する旅館へ連れ帰ることにした。
旅館で目を覚ました巴は、自分は身寄りのない者だと言い、
旅館で住み込み働きをすることになった。
剣心は巴のとらえどころのない様子に、少しずつ調子を狂わされ始めていく。
人斬りと普通の少年の間を揺らぎ始めた剣心。
そして。

元治元年 6月5日。
長州藩・土佐藩・肥後藩等の尊攘派の極秘会合が行われた「池田屋」が
新選組に強襲され、世に言う「池田屋事件」が勃発する。
剣心は桂からこの会合に誘われていたが、出席を断っていたため難を逃れた。
また、桂もかろうじて難を逃れている。
剣心は凱旋する新選組を遠巻きに眺め、ある隊士と視線を合わす。



新選組三番隊組長・斉藤一（さいとうはじめ）。
後に、剣心とは長い付き合いとなる男である。

この池田屋事件に激昂した長州藩の強硬派に引きずられるように、
長州藩は挙兵し上洛を開始した。

元治元年 7月18日。
「禁門の変」勃発。約3000の長州兵のなかに剣心もいた。
対する幕府軍（会津・桑名・大垣・薩摩・新選組）は総勢20000。
長州軍は壊滅・敗走。京都は戦火に見舞われた。
その後、長州は朝敵とされてしまう。

剣心は桂の用意した京外れの農村の家に身を隠すよう指示される。
そこで、巴と夫婦を装って暮らすことにとも言われるが



剣心は、できれば形だけでなく一緒になりたいと巴に告げた。

元治元年 晩夏。
剣心15歳、巴18歳の若い二人の新婚生活が始まった――。

　　次回へつづく

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