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シリーズ⑨:サンカローク陶器博物館:その10

2016-11-09 08:02:03 | 博物館・タイ
<続き>

●ランナーからの交易陶磁:ワンヌア陶磁

いや~ビックリと云うか、認識の浅さであろう。まさかワンヌアに緑釉陶が、存在するとは思わなかった。ここサンカローク陶器博物館に、その緑釉のハムサ(ハンサとも云う、ヒンズー教の神ブラフマー(仏教名:梵天)の乗り物で白い鵞鳥ないしは白鳥と云われている)が展示されていた。

並々ならぬ造形力と、鮮やか且つ均一に発色した緑釉であろうか。お隣カロンのトゥンマン窯でも緑釉陶が焼成されていたことは、周知のことであるが、それに劣るものではない。暫く見入ってしまった。
残念ながら最初(上写真)の印象が強すぎ、以降のワンヌア陶は下写真の蓋付壺を除き、一般的な陶磁であった。
これはクメール陶で見たような、見なかったような、一度調べなおしが必要だ。蓋はストゥーパ(チェディー)を模しており、これは須弥山に他ならない。多分仏教関連の品と思われる。
この盤は青磁であるが、いわゆる翠色に発色しておらず、酸化焔のもとで焼成されたものである。縁に凹凸がついており、まさに花弁を思わせる。
この形状もワンヌア陶では、よく見る形状である。見込みには印花四つ菱文で装飾されている。これもまた酸化雰囲気で焼成されたものである。
ワンヌアでは、最も一般的な形状の盤であるが、発色がいま一つである。

ワンヌア陶の発色は、上写真の盤欠であるが、写真はややくすんだように写っている。青磁色に発色し、無数に貫入をみるのが一般的である。また写真のように鍔縁でその先端は丸みをもたせ、輪花のように凹凸を持たせている。このようにワンヌア陶の特徴は口縁形状にあると云っても過言ではない。




                                  <続く>


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